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500円映画劇場「アイス・プラネット」

ここしばらく、外出自粛などもあって、ヤスモノ映画をあまり見ていませんでした。わりとマトモな(てのも変な言いかたですが)映画を見ていたんですね。

そのせいか、ひさびさに見た500円映画のインパクトは強烈でしたね。やはり人間、慣れっていうものはおそろしいもんです。

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「アイス・プラネット」(原題:ICE PLANET) 2001年のドイツ映画とする資料が多いのですが、実際にはカナダ資本がだいぶん入っているようです。おお、ヤスモノ映画量産基地のカナダですか。

人類を二分する大戦争で、地球の人口の一割が失われた未来。謎のエイリアンが地球を襲撃。軌道上基地で訓練中だった戦艦は偶然のように時空の歪みを抜けて、氷で覆われた不思議な惑星に脱出する。そこは銀河系外の惑星だった。やがて、そこにもエイリアンたちの侵略が……。

オリジナリティのなさは覆いようもない映画です。上記したストーリーも、なんかどっかで見たような要素ばかり。エイリアンのイメージや、謎の氷の惑星(アイス・プラネット)の風景などにも、完全なデジャビュ感あり。そういえば脱出した人類の軍服(ほとんどが軍人なんですね)も、どっからどう見ても「スター・トレック」の制服とそっくり。

ま、それも道理。この映画を主導したらしい監督のウィンリック・コルベはテレビ畑のベテラン監督で、「私立探偵マグナム」「ナイトライダー」「白バイ野郎ジョン&パンチ」「私立探偵スペンサー」などを数多く手がけ、なかでもTNG以降のいくつもの「スター・トレック」シリーズにも監督として参加しているのですから。

オランダ出身の彼が得意のジャンルを引っ提げてヨーロッパ凱旋を狙ったのか、あるいは製作・脚本のM・G・コンフォードが実績のある監督を引っ張ったのか。

どっちにしろ、失敗だったようですね。

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監督のせいなのか、脚本のせいなのか、それとも企画そのものに問題があったのか、とにかくかったるいのです。83分とけっして長い作品ではないのに、見ているといっこうに話が進展せず、いざ進展すると説明不足でなんだかわからなくなることの繰り返し。おかげでどんなストーリーだったか、後半はさっぱりわからなくなってきます。

そして、何ひとつ解決しないまま、最後は「さあ旅立ちだ」的なショットであっけなくエンド。かといって、このあと登場人物たちがどうなったのかが気になるとかの気持ちは生まれず、ああ終わってよかったと思う始末。これじゃダメじゃん。

いちおう言っておくと、CGはまぁまぁの出来栄えです。氷の惑星のビジュアルも既視感はあるものの悪くない。ちなみに宇宙船内のスタジオセットもけっこうちゃんと出来てます。そのへんは、そこらの500円映画よりはずっとマシ。

ただそれを活かしきれていないのです。

一例を言えば、エイリアンの地球襲撃シーン。宇宙空間での派手な空中戦になるのですが、カメラはなかなか宇宙船内から出ず、戦闘の様子を見守る人々のリアクションで戦況を伝えようとします。上手くいけば深みのある見せ場になるんでしょうが、残念ながら上手くいっていません。

するとどうなるか。

大きな見せ場になるはずが、かったるいダラケ場になってしまいます。これが映画冒頭なのだから、それ以降のノリが悪くなるのもいたしかたなし。

監督が自らの演出力を過信したのか、俳優の力量が不足だったのか、それともCGの製作費が惜しかったのか……そんな邪推が生まれるばかりですね。

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じつはこの作品、テレビシリーズ化を企てたパイロット版だったそうです。ウィキペディアによれば、2001年に製作放送された(らしい)後、2005年にテレビシリーズ化が予告されましたが、頓挫。けっきょくシリーズは製作されじまいになった模様です。さもありなん

これだけいろいろなスペースオペラが映像になっている時代に、ただ宇宙を舞台にしたアドベンチャーでございといわれても、それだけじゃねえ。

まぁいまから20年の前の映画をつかまえて、そんな文句を言っても始まらないんですがね(それを言っちゃあオシマイですがね)

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そうなると最大の問題は、いまごろそんなモノを買って文句を言っているのは、どこのどいつだ(ドイツ映画だけに・笑)?

私ですよ(笑)

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