ジャッキー・チェンと勝負する(61)

終盤戦に入ったとたんに、これかよ(笑)という「死闘伝説/ZERO!」(1993年)の登場であります。まあ、たしかにジャッキーは出てるけど。

「レッド・ドラゴン」でジャッキー・チェンを見出しながらも、その後意見が合わず、けっきょくはジャッキーに逃げられた老匠ロー・ウェイ。よほど悔しかったのか、その後で手元にあった没フィルムを駆使して「醒拳」を作って一儲けしたのだが、それだけではおさまらなかったらしい。

そこで、自分の配下にあった頃のジャッキー映画を引っ張り出して、修行場面や格闘シーンを抜き出してつなぎあわせ、ジャッキー・チェン版「ザッツ・エンタテインメント」を作ったのが、これ。

だから、正真正銘のジャッキー・チェンのファイトも見られるし、ぜんぜんインチキではない気もするが、やはりバチモンだよなぁ。

とくに、この「ジャッキー・チェンDVDコレクション」の一巻として出されると、いっそうその気分が高まる。

ここで見られる作品は、「少林寺木人拳」(1976年)、「レッド・ドラゴン」(1976年)、「精龍拳」(1977年)、「拳精」(1978年)、「蛇鶴八拳」(1978年)、「カンニング・モンキー/天中拳」(1978年)、「龍拳」(1979年)、「クレイジー・モンキー/笑拳」(1979年)の8作。

ね、全部コレクションですでに見た作品ばかり。どっちかといえば、「新鮮度ZERO!」だね。

未公開の秘蔵フィルムでもあれば、あるいはその後のジャッキー映画ではお馴染みになったNG集でもあれば、まだ魅力があったかもしれないのだが、それもない。

ロー・ウェイ先生、腹いせに全部捨てちゃったのかな。

そういえば収録作品もえらく画質が荒れてるし、フィルムも傷だらけ。おかげで見づらい部分も多い。

ジャッキーの若き日の姿が見られるといっても、映画本体がいくらでも見られるいまの時代になっては、さほどの価値もない。

日本ではかつてビデオ発売されたのだが、今回が初DVD化だとかいうあたりからも、その「価値」が知れようというものだ。

ちなみに、この作品、ネットなどではTV作品となっているのも多いが、たしか東南アジアあたりではちゃんと劇場公開したはず。だいたい1993年の時点でワイド画面なのは、明らかに劇場向けだから。まあ日本でも劇場未公開だし、そんなことはどうでもいいのだがね(笑)

ただし、そんな「死闘伝説/ZERO!」ではあるが、考えてみたらこんな作品が作られ、また通用しているあたり、逆にジャッキー・チェンの偉大さを証明しているとはいえよう。いまの時代に、たった一人の俳優の名場面を集めて映画が作れるなんて、ジャッキー以外に誰がいる?

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