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ヘン顔怪獣大登場!

今年の夏に公開されるゴジラの最新作、庵野秀明監督が手がける「シン・ゴジラ」の予告編が公開され、最新版のゴジラの姿が明らかになった。

CGを駆使したというその姿は、異様に巨大なサイズ、赤く光る地肌、小さな前肢、うねる尻尾が特徴である。

まあ、監督さんが監督さんだけに、やっぱり「使徒だな」みたいな感想が出るのは否めない。私は、あの触手感あふれる長い尾に、すごい「使徒らしさ」を感じた。

日本ではその「ゴジラ」こそが怪獣の代名詞で、そのほかの怪獣たちも大半はその造形をある程度は踏襲しているといえよう。その後に、映画やテレビで山ほど誕生した怪獣たちの圧倒的多数は、ゴジラにならった恐竜っぽい怪獣だ。

東宝怪獣でいえば、幼虫時のモスラや宇宙怪獣ドゴラが例外だな(ま、ホントはもっといろいろあるけど)

ところが、怪獣映画の元祖であるアメリカでは、前にも書いたが「巨大化生物」が多数派。デカい蜘蛛とか蠍とか蜥蜴とか蟷螂とか蟻とか飛蝗とか、いわゆるムシ類が多い。

そして、こうした怪獣たちには、じつはある種の共通の欠点がある。

それは、「姿にスゴみがない」ことだ。

いくらデカくなっても、要するにムシはムシ。ましてこうした怪獣映画のほとんどは、低予算の作品なので、肝心の怪獣登場シーンでの「巨大感」が不足気味となる。そうなると、単なるムシ類が写っているだけになってしまうのだよ。ムシ嫌いな人ならばそれで充分だろうが、怪獣っぽいは迫力は不十分となる。

そこで、映画屋さんたちは、巨大化させるムシたちに、過剰なお化粧をさせるのだ。

まあ、トカゲにヒレをくっつけたり、クモにシマ模様をペイントしたり程度の、安いお化粧がほとんどだが。

そんなことをしても、そうそう迫力だ出るものではないのだが、そうした装飾が奇妙な「味」を出す例が、ごくたまにある。

たとえば「大怪獣出現」(1957年) 海底から出現した巨大な軟体生物が襲ってくるという、およそヒネリのない怪獣映画だが、その怪獣の容貌がなかなかユニークで、このジャンルのクラシック(?)になっている作品だ。

映画をちゃんと見てもよくわからないのだが、これどうやら巨大カタツムリっぽい怪獣(ちらほらと殻が写るシーンがある) だけど、その顔つきはお馴染みのナメクジっぽい顔面とはまったく違う。

でっかく丸いクリクリの両目がどーん。なるほど、この顔からカタツムリを連想しろというのは無理な話。ここだけの話、私はずっとこれをイモムシだと思っていた(イモムシにもあんな目玉はないが)

もうひとつ、さらにインパクトがあるのが「巨大カニ怪獣の襲撃」(1957年) かの「ヤスモノ映画の帝王」ロジャー・コーマン先生謹製の怪獣映画。まあストーリーとかはどうでもいいんだが、ここに登場するのが、巨大化したカニ怪獣……なんだが、このカニにも、なぜかギョロッとした中年男みたいな目玉がくっついているのである。この面相、一度見たら忘れられない。

じつはこの「巨大カニ怪獣の襲撃」は日本では劇場未公開。テレビ放映もなかったようだが、なぜかスキモノたちの間では有名だったりする。

そうしたスキモノたちは、たぶん、むかしはちょくちょくやっていたテレビの「映画特集」(たくさんの映画の名場面やワンシーンをダイジェストで次々に見せては評論家などがコメントするプログラムで、版権意識が高まった今日ではまったく作られなくなった)の怪獣映画版などで、このカニくんの姿がワンカット流れたのをチラ見したのだろう。私もそのクチ。

だが、たぶんそのチョットだけの映像だけで、この史上最大に有名なカニは、映画そのものを見なくても、強烈な印象を残せるのだから、大したもんといえばいえよう。

興味が湧いた人は、ぜひとも今すぐに「巨大カニ怪獣」で画像検索をかけてみてほしい。笑えるぞ

それにしても、この「大怪獣出現」のカタツムリ野郎と、「巨大カニ怪獣の襲撃」のカニ師匠が、同じ1957年に誕生しているのは、いかなる神の配剤なのか?(笑)

【画像のリンク先はamazon.co.jp】

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