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令和2年・11月場所雑記

いつもならば九州・福岡で開催されるから九州場所と呼ばれる11月場所が、今年は東京の国技館で開催されました。

違和感はなはだしい。

NHKの中継で解説の北の富士さんが「11月に東京にいるなんて初めてだよ」と感慨深そうでしたが、多くの相撲人がそうだったでしょう。ましてや食べ物の美味い博多に行きそこねたんだから、力士や親方諸兄、マスコミ各位のガッカリぶりは想像に難くありません。

でも、いちばんのガッカリは年に一度の生観戦の機会を逸してしまった九州の相撲ファンでしょう。

ホントに、こんな事態は今年限りにしてほしいもんですね。

さて、そんな異常事態下での本場所開催にも、徐々に慣れてきた感じがします。歓声なし拍手のみの観客席とか、口をつけないで形だけの力水とか、取組後のリモート取材とか……いやいやそんなものに慣れてはいかんのです。

出来るだけ早くの正常開催を願って、この話はオシマイ。

場所前から両横綱が全休を決めこんで開幕した11月場所は、当然残された3大関が軸になっての展開になるだろうと予想していました。新大関の正代をはじめ、貴景勝朝乃山と全員20代。期待するなというほうが無理でしょう。

ここ数場所の充実ぶりを見ると正代と朝乃山が優勝争いを引っ張るものと期待しました。いささか安定感にかける貴景勝よりも、勢いのある正代、安定感のある四つ相撲の朝乃山を買ったのですが……まさかその2人が序盤で消えるとは、予想もしませんでしたよ。

まあどちらも取組中のアクシデントなので、やむを得ません。とにもかくにも負傷をきっちり治して、初場所で巻き返してください。

私の予想をくつがえして賜杯を掴んだ貴景勝はお見事でした。いつ崩れるかと心配しながら見ていたのですが、その安定感は最後まで崩れませんでした。大関昇進当時の勢いが戻った感すらあるので、来場所の綱取りにも期待しましょう。

さて、最後の最後まで貴景勝と優勝を争った照ノ富士

もしも優勝していたら、関脇以下で3回の優勝という途方もない金字塔を打ち立てるところでした。ちなみに、関脇以下で同一年内に2度優勝とか、関脇と小結の両方で優勝するのは史上初とか、いろいろ記録づくめの優勝になるはずだったのですが、まあしかたない。

そんなことよりも、来場所はもう大関取り。こちらも大変な記録になるので、頑張ってください。

また終盤まで優勝争いにからんだ平幕の竜電志摩ノ海。年3回の平幕優勝というのも前例のないことなので、ちょっぴり期待したんですがね。

照ノ富士もそうですが、負傷などによって大きく番付を落としていた力士の復活もありました。

2,019年初場所で負傷して幕下まで堕ちていた千代の国が再入幕で勝ち越して敢闘賞を獲得、また度重なる負傷で序二段まで下がっていた宇良が再十両で優勝争いにからみ、また幕下上位まで進出して十両目前だったのに負傷休場で序の口まで下がった野上が序ノ口で復活優勝するなど、なかなか感慨深い復活劇がありました。

そういえばわが川崎市の星である友風は、いまだ負傷が癒えず休場中。焦らずがんばってほしいところですが、そろそろ復活できるのかな?

土俵上のことに触れれば、なぜか今場所は終盤戦で十両以上にめずらしい決まり手が続出しました。宇良が居反りの大技を決めたのをはじめ、播磨投げ頭捻り外小股といった見慣れない感じの決まり手が登場しました。長年相撲を見ている私でも、そうそう見た記憶がない技ばかり。こういうのは楽しいので、どんどん出してください(でもケガには気をつけて)

さて良いほうの力士がいれば、ガッカリ組もいるわけで、その代表が白鵬鶴竜の両横綱。

これは別稿で書こうと思いますが、今年の年間最多勝ではこの両横綱がボトム2となってます。うーむ。休場しても負け越しても番付の下がらない横綱ゆえの現象ではありますが(大関以下の力士がここまで不調だと十両以下に陥落してしまうでしょう)

年齢的に考えても、さすがに今度こそ剣が峰。とくに鶴竜は、今年後半は勝ち星なし、年間でわずか13勝なので、もはや待ったなし、次の出場時に結果が出なければアウトでしょう。白鵬も春場所の優勝があったとはいえ、年間24勝は白鵬史上最低。

横綱審議委員会も堪忍袋の緒を切ったのか、場所後に両横綱へ「注意」を発したようです。このまま引っ込むようでは男がすたる。両横綱の奇跡の復活を期待しましょうか。

もう一人、デビューからずっと「春場所ニューカマー」で注目してきた御嶽海が、またしてもガッカリ組。負け越してまたまた関脇陥落です。もう若手とも呼べなくなってきている年齢です、奮起して万年大関候補から脱却してください。

土俵の移り変わりは予想以上のスピードで進んでいるようです。遠藤とか逸ノ城なんて、ついこの前まで若手だと思っていたんですが、もうベテラン風味が出てきているようです。

上位初挑戦の琴勝峰が勝ち越したし、幕下筆頭にまで上がってきた納谷がどうやら十両昇進を決めたりしていますが、彼らは20歳そこそこ。

それどころか三段目優勝を飾り序ノ口から3場所連続優勝を成し遂げた北青鵬は19歳、今場所は幕下一桁まで来ながら壁に跳ね返された北の若が20歳、幕下33枚目まで上がってきて勝ち越した中学横綱出身の吉井などはまだ17歳。どんどん若い力士がのし上がってきているのです。

ここ数年、毎年毎年今度こそ新時代が来るのかと思いながらも時代は膠着していましたが、いよいよかな。そんな期待を持たせた納めの場所でした。

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