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カニ嫌い

前にもどこかに書いた気がしますが、カニが苦手であります。

そもそもは子どもの頃の話、生れて初めて海水浴に行った時のこと。たぶん幼稚園に入る前だろうと思う。

両親に連れられて行ったのが、伊豆の下田の外浦海岸。

いやその時点で海水浴に何を期待していたかとかは、もうまったく覚えてません。で、宿泊したのが砂浜脇の民宿でした。

そこで生まれて初めてカニという生き物を見たのですが、最初はたしか岸壁の下でゴソゴソ歩いているのを上から見下ろしただけだったので、あああれがカニさんってものかと思っただけ(というところを見ると、それまでに図鑑か絵本か何かでカニを知ってはいたんでしょうね)

ところが、その日のうちにだったか、そのカニさんが民宿の屋内にまで現われたんですよ。たしか和室の鴨居を横向きに(当たり前だ)のそのそと這っていたんですね。

その時点で、「この生物はオレにとっての脅威だ」ということが深層意識に刷りこまれたに違いありません。それもかなり深いところに。

べつにハサミで挟まれたとか、鼻をかじられたとかではないのに、それ以来カニは私にとって「おそろしいモノ」になってしまいました。

クマとかイノシシとかを別にすれば(そんなのに出逢ったこともないし)ほかの生物にはだいたい勝てる私ですが、カニだけは対決どころか遭遇もゴメンこうむる存在であります。だから海水浴はあまり好きではないし、山に登っても沢などにサワガニとかいたら、すぐに撤退です。カニ嫌い

そんな私にとって、カニが主役の映画があんまりないことは、なかなか幸福なことです。たとえば南洋やカリブ海などを舞台にした映画で、でかいカニ(ヤシガニやザリガニ含む)がのそのそ歩いているのはよく写りますが、そのたびに背中が寒くなるのですから。

とはいえ、恐怖をあおるホラー映画は好きなので、カニが主役となる映画は、それこそ怖いもの見たさで見てみたくなるものです。めったにないし。

前にちょっと触れた、ぎょろ目のカニ怪獣が主役の「巨大カニ怪獣の襲撃」(1957年)は、爆笑ものの造型のカニ怪獣なんですが、あれでもじつは「プルプルと細かく動く口もと」みたいなディティールは意外とリアルなので、あんまりいい気分はしません。ただあそこまで巨大だと、あまりカニ感はないので我慢できます。

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未見なのですが、同じようにでっかいカニさんが大暴れする映画に「ビッグ・クラブ・パニック」というのがあるそうです。2015年の作品で、予告編見ましたけど、およそ50年遅れくらいの特撮感のある映画ですね。カクカクした動きは愛嬌があってカニ感が薄そうなので、今度見てみようかな。500円映画でしょうが。

カニ映画として比較的知名度があるのが「GIANT CLAWS」(1980年)という作品(巨大怪鳥が襲ってくる同名の映画もありますが)

例によって日本未公開・ビデオ発売のみのB級ホラーですが、テレビの「タモリ倶楽部」の番組ネタで邦題を決めたせいで「グルメホラー 血まみれ海岸・人喰いクラブ/地獄のシオマネキ・カニ味噌のしたたり」なんていう超ロングな邦題がついたことで有名。

そんなわけで、スキモノの間では有名な映画ですが、私は見ていません。いや、レンタル時代のVHSがあっただけで、いまだにDVDもブルーレイも出ていないからではありません。

聞くところによると、この映画、最後には巨大ガニが出るらしいですが、それまでは普通サイズのカニが群れをなして襲ってくるんだとか。

ああ、それダメだな

通常サイズのカニがたくさん襲ってくるほうが、カニ嫌いにはこたえるんであります。そう、「怪獣映画」よりも「小動物パニック」のほうが強烈ですね、カニ映画では。

そういえば昔「007/ドクター・ノオ」を初めて見た時に、私がビビっていたのは、あるシーンがあることを予想していたから。

先に原作小説を読んでいた私は、そこに登場するグンタイガニとかいうカニのの群れの話に戦慄したのです。なんでも、カリブ海に生息するこの黒いカニは、無数の群れをなして移動し、途中にあるものすべてを食い尽くすとかいうもの。

これは怖い。もはや嫌いとかいうレベルじゃない。これを映画で見せられたら卒倒するんじゃないだろうか。そのシーンになったら目をつぶっていよう(なぜそうまでしてこの映画を見るのかは別問題)

はい、映画版ではカットされてましたね、この場面。まあ撮影が困難だったんでしょう。いやあ、助かった(笑)

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特撮分野でいえば、カニって生物は足や関節が多く、動きも複雑怪奇なため、クモとか昆虫、爬虫類など、ほかの生物に較べると、コマ撮りアニメでも操演でも技術的にむずかしそうです。だからこれまでカニ映画が少なかったんですね。ただ、前述の「ビッグ・クラブ・パニック」はCGで巨大ガニを動かしているそうですので、CG全盛の時代、これからカニ映画が増えるのかも。ああ、いやだ。

ここでお断わり。

私が嫌いなのは生きたカニだけです。死んだカニ、とくに茹って赤色になったカニは、逆に大好きですので、念のため。

【画像のリンク先はすべてamazon.co.jp】

  映画つれづれ 目次

【2019/9/26】

本文では発売なしとしていた「GIANT CLAWS」ですが、発売されました。タイトルは「地獄のシオマネキ/巨大蟹のしたたり」だけに縮まりましたが。

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まだ見てないけど。

「ビッグ・クラブ・パニック」は、見ました。予想にたがわぬ500円クラスの映画でしたが、まあ50年代アメリカ怪獣映画へのオマージュと思えばマシな感じは受けました。ちょっと甘いけどね。カニ感は薄くて、よかった。

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でもいまのところ、カニ映画はとくに増えていないようです。ああ、よかった(笑)

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