ゾウ映画

鬼畜ホラーのシリーズ映画じゃないですよ。

デッカクて鼻が長い、あいつです。

昔も今も動物園の人気者ですが、さて、そのゾウさんを主役にした映画というと……

あ、もちろん私の趣味からして、「かわいそうなゾウさんを描いた感動の映画」とかはナシね。

そういえば、大昔、まだ私が映画を見はじめる前くらいに、なぜか家族連れで「巨象の大陸」(1971年)ってドキュメンタリー映画を見ました。それも東京都内唯一のシネラマ映画館だった、テアトル東京で。

正直いって内容はよく覚えていませんが、テレビの「野生の王国」を大きくしたような映画だった気がします。まぎれもなくゾウが主役でしたが、なんでそんな映画を家族連れで見ることになったかもまた、まったく記憶にございません。

堂々とゾウが主役をはった映画といえば、私的にはなんといっても「脱走山脈」(1969年)

第二次大戦中、捕虜になった米軍兵がなぜか動物園のゾウの飼育係になり、そのゾウを連れてスイスに脱出するという、よく考えたらムチャクチャなお話し。でも、なぜかこれが面白いんですよ。

原題の「Hannibal Brooks」は人名で、ハンニバル・ブルックス。

ハンニバルといっても、人食いのレクター博士じゃなくて、もちろんゾウの軍団を率いてローマに攻め込んだ、あのカルタゴの英雄ハンニバルから(ブルックスが主人公の名前)

そう、さらにムチャなことに、ゾウを連れて、ドイツ兵の追跡を振り切って、アルプスの国境線を突破するんですよね。ありえないだろう?

派手な戦闘シーンや息づまるサスペンスがあるわけではなく、わりとノンビリした雰囲気で進みますが、最終的に国境の警備所を突破するシーンのスペクタクルは凄いです。しかもここで、なぜゾウを主役にしたかの狙いが、よくわかるんですね。必見ですよ。

フランシス・レイ作曲の美しくも素晴らしいテーマ曲も、印象強いです。でもこの映画のサントラ盤LP(たしか持ってたはず)のジャケットは、主役のブルックスを演じるオリバー・リードでも、ゾウのルーシーでもなく、なぜか助演のマイケル・J・ポラードの単独写真。

当時は、この特異な風貌の俳優の人気が、それくらいあったってことですね。まあ、あの名作「俺たちに明日はない」(1967年)の直後ですからねえ。

ジョン・ウェインが猛獣ハンターになってアフリカでドタバタする愉快な映画「ハタリ!」(1962年)では、かわいらしい子象たちが場をさらいます。そのシーンにかぶさるヘンリー・マンシーニの名曲「子象の行進」は、いまだにスタンダードナンバーで、映画よりもよく知られていますね。

「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」(1984年)でも、大活躍したショートラウンド少年とからむゾウは印象に残りましたが、もうひとつ物足りなかったですね。邪教集団を相手にゾウの群れが突撃するようなクライマックスを期待したんですが。

とはいえ、ゾウ映画のナンバーワンは、もう「ダンボ」(1941年)以外にありえません。

空飛ぶゾウを主人公にした感動の物語。ディズニーのアニメ映画の中でも、もっともポピュラーなもののひとつ。「1941」(1979年)で、ロバート・スタック演じるスティルウェル将軍が、日本軍空襲かという大騒ぎの中、映画館で鑑賞して涙していた、あの映画ですね。

さすがにこの映画やダンボというキャラクターを知らない人はいないでしょう。私の世代ではたいがい子供のころに、一度や二度はダンボに触れているはず。

と、えらそうに書きましたが、私がこの映画を初めて見たのは、もう小学校の高学年になってから。学校の体育館で催された映画教室(昔の学校では年に一度はあった)でのこと。

にもかかわらず、この「ダンボ」のストーリーや見せ場は、すでにこの時点で私の頭にはインプットされていました。

なぜか?

私がもっと幼かった幼児の時代に、この「ダンボ」の絵本を愛読していたからです。当時はディズニーの名作のほとんどには、こうした絵本で接したものです。もちろん自分では読めないので、親の読み聞かせで。

そのせいなのかどうなのか、私はダンボの親友になるネズミの名前の「ティモシー」を、なぜか「シイタケ」と覚えてしまって、ずいぶん後までそう呼んでいたという逸話もあります。なんで椎茸だったのか(笑)

なぜこんな話を思い出したかというと、ディズニーがこの「ダンボ」を実写映画化するらしいからです。

「ダンボ」を実写で? ちょっと理解不可能なんですけど。

すでにディズニーは「マレフィセント」「シンデレラ」や「美女と野獣」などを実写化してますが、それらは皆、曲がりなりにも人間が主人公。

でも、「ダンボ」はそうじゃないんですよ(そもそも人間はろくに出てこなかったはず)

監督は、あのティム・バートンだとか。

さあ、どんなことになるのか? ゾウ映画の決定版になるのか? お手並み拝見と行きましょうか。

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