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わが友、ドートマンダー(映画版)

一本の映画を見たのをきっかけに、こいつとの長いつきあいが始った。

テレビでたまたま見た「ホット・ロック」という映画。

その映画にハマり、原作小説を読み、公私にわたって(笑)40年くらいのつきあいになる。

不運な天才大泥棒、ジョン・ドートマンダーのことだ。

アメリカの最高のミステリ作家、ドナルド・E・ウェストレイクが生み出したこの男、天才的な頭脳で大規模な強盗計画を立案し実行するのだが、いつもいつも不運に見舞われて、最後は骨折り損になる(でも捕まることはない)という、プロの大泥棒だ。

14作の長篇ミステリ小説(うち邦訳は9作)と1ダースほどの短篇(短篇集が邦訳されている)に登場している愛すべきキャラクターだが、わが国での知名度はあまり高くない。あんまり日本人向けじゃないのかな。

本国アメリカでは人気者で(だから14作も小説シリーズが続いたんだが)、けっこう映画にもなっている。こんな具合だ。

 1 The Hot Rock (1972)

 2 Bank Shot (1974)

 3 Come ti rapisco ilpupo (1976)

 4 Jimmy the Kid (1982)

 5 Why Me ? (1990)

 6 Jimmy the Kid (1999)

 7 What's the WorstThat Could Happen? (2001)

7本も映画化されているのは単一のキャラクターでは多いほうだと思うが、リストをよーく見ると、けっこうオヤオヤな所がある。

日本で劇場公開されているのは、1の「ホット・ロック」(原作も同題)と、5の「ホワイ・ミー?」(原作は『逃げだした秘宝』)だけ。

2は「悪の天才たち・銀行略奪大作戦」(原作は『強盗プロフェッショナル』)のタイトルでTV放送されただけ。

7の「ビッグ・マネー」(原作は『最高の悪運』)はDVD発売のみだ。

残る3作(3・4・6)だが、なぜか全部同じ原作(『ジミー・ザ・キッド』)なのが不思議だ。子どもを誘拐したおかげでドタバタに巻きこまれる話なのだが、映画にしやすい気がするのかな。ちなみに3なんかイタリア映画だ。

だが、軽いコメディに見えて、けっこうしっかりしたミステリの骨組を持ったシリーズだけに、安易に映像化できそうに見えてなかなか難しい。

ピーター・イェーツ監督が要領よく演出し、若き日のロバート・レッドフォードがドートマンダーを好演した(原作ではしがない中年男だが)「ホット・ロック」を上回る映画は、出来ていないようだ。この映画は、私のオールタイムベストの次点くらいには入るお気に入り映画だし。

では、その映画版でドートマンダーを演じた7人の俳優は誰でしょう? 

 1では、前述したように若き日のレッドフォード。

 2は、意外にもジョージ・C・スコット。ちょっと重すぎるだろうよ。

 3のレナート・チェスティエは、知らない。写真を見る限りでは悪くなさそうだが。

 4では、ポール・ル・マット。これは見てみたいな。

 5は、クリストファー・ランバート。ほどほどに情けなくて、まあよかった。

 6の、ヘルバート・クナウプは、なんとドイツ人。ちょっとキツ過ぎ?

 7では、マーティン・ローレンス。なんと黒人に変身だぞ(笑)  

なんかピシッと決まったイメージが出来てない感じだな。ちなみに1、 4、6以外では、名前もドートマンダーから変えられちゃってるし。

とはいえ、私も日本で劇場公開された2本くらいしかちゃんと見ていないので、いずれなんとか全部を見てみようと思っている。

そんなことも可能になりそうなのだから、いい時代になったもんだ(笑)

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