ネッシ

UMAはそこにいる

数日前の夜のこと。いつものようにわが家の犬コロを夜の散歩に連れて行った。

夜、といっても宵の口だったが、人気のない住宅街を歩いていたところ、視界の隅を動くものがよぎった。背後の道路を振り返ると、幅6メートルの舗装道路を横切るナニモノかが目に入る。

最初はネコかと思ったが、あきらかに身のこなしが違うし、だいたいデカい。というよりも、ネコよりも体が長い。いや、体全体の長さよりも、その半分くらいを占める尻尾が長いのだ。

わが家の周辺はまだ自然が残っているらしく、タヌキやイタチはたまに目撃する。ネコじゃないなと思った次に頭に浮かんだのはそれだった。

道路を横切ったそのナニモノかは、今度は民家の塀沿いに、蓋をした側溝の上をスルスルとこちらに接近してきた。あきらかに体型がタヌキではない。そのうえ、イタチよりもデカい。体高は低いが、体長は70から80センチくらいか。つやつやした短い毛並みが、街灯の光を受けてグレイっぽく見える。

驚きのあまりに見守っているヒトとイヌを無視するかのように2メートルほど先まで接近してきたそのナニモノかは、そこで不意に方向を変え、われわれの目と鼻の先でふたたび道路を横切り、蓋がない部分からするりと側溝に潜り込んでしまった。

一瞬の後、イヌとヒトがその場に駆けつけたが、そのナニモノかはいずこへともなく消えたあとだった。

ナニモノかの正体は、たぶんハクビシン。最近は都心にも出ると聞くし、近所でも前から噂はあったが、実際に見たのは初めてだ。残念ながら顔の白線は確認できなかったんだが。そのうち、狩ってやる(笑)

さて、このハクビシン目撃をつらつら思い返すうち、あることに気づいた。

ツチノコの正体って、こいつじゃないのか?

そう、クッシー、ヒバゴンと並ぶ日本のメジャーUMA、短い蛇・ツチノコだ。

太さと長さが目撃談のほとんどと一致するし、意外になめらかでクネッとした動きはヘビ類に見えないこともない。夜だと短い毛がつやつやに光るので、ウロコに見えるかも(目撃談には毛が生えていたというのもある)。私が目撃したのは舗装路でだったが、草むらなどであの短い足もとが隠れていたら、けっこうヘビっぽく見えるだろうな。

まあ全部が全部とは言わんが、かなりの多くの目撃談で、その正体はイタチやハクビシンだったんではなかろうか。いや夢のない話だが。

しかし一方で逆にいえば、都会の真ん中、とはいわんがまあ街中にあるわが家の近所で、これだけ大きな獣が密かに生息しているのだから、正体不明の生物が山中などに潜んでいて、今まで発見されていないこともまた充分に考えられるわけだ。

そういえば、絶滅種とされていたニホンカワウソやクニマスが、じつは生息していて再発見されたり目撃されたりしたらしいというニュースもある。あんがい野生動物っていうのは、われわれの目につかないところにたくさんいるものだ。

いや、目についていても気づかないってことのほうが、あんがい多いのかも知れない。そりゃそうか、仮に近所のドブ川にカワウソがいたとしても、「ああ、デカいネズミだな」としか思わないだろうし、裏山にニホンオオカミがいるのを目撃しても、「わ、デカい野犬」くらいにしか思わないだろう。カワウソかもしれない、じつはオオカミじゃないか、なんてふつうは思い浮かばないもんな。

ということで、UMAはひょっとしたら、ウチの近所にもいるのかもしれない。いやクッシーやヒバゴンみたいな怪獣系はともかくとして(笑)

  超常現象なんか信じない 目次

雑日誌 目次

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?