007/ジェイムズ・ボンドは10年もつ

007シリーズの新作「Bond 25」の監督に、スウェーデン出身の女性監督スサンネ・ビアが候補になっているという報道があった。もし実現したら、シリーズ初の女性監督である。かつて「男の子映画」の典型だった007シリーズも、ずいぶん変わったもんだ。

また、ここまで4作でジェイムズ・ボンドを演じてきたダニエル・クレイグが降板し、新たなボンド役を探してもいるらしい。「マイティ・ソー」でロキを演じているトム・ヒドルストンが噂にのぼっているようだ。

要するに、007シリーズの新作は、製作されるということ以外、まだ何も決まっていないってことだ。

さてさて、クレイグが降板して新ボンドということになると、7代目ジェイムズ・ボンドの誕生となるわけだ。

もう再三書いてきたことだが、これまでボンドをいちばん多く演じたのは。3代目ボンドのロジャー・ムーア(7本)、次いで初代のショーン・コネリー(6本)、5代目のピアース・ブロスナンとクレイグがその次(4本)で、あとは2本だけのティモシー・ダルトンと1本のジョージ・レイゼンビー。

と、これは本数ベースでの比較だが、じゃあ彼らが「ジェイムズ・ボンドであった期間」はどうだろうか?

そこでさっそく調べてみた。

「ジェイムズ・ボンドであった期間」は、初めてボンドを演じた映画が公開された年から、次のボンドが登場した作品の公開年の前年までとカウントしてみる。その結果を可視化してみると、こうなる。

なるほど、本数ベースでトップの3代目ムーアが、やはりここでも最長記録保持者のようだ。

「死ぬのは奴らだ」の1973年から、次のダルトンのデビュー作「リビング・デイライツ」公開の前年である1986年まで、じつに14年間ボンド役者の座に居座って、いや君臨していたのだ。

調べてみてわかったのだが、最長記録保持者のムーアと、これは容易に想像がつく最短記録保持者2代目レイゼンビーの2年間を例外とすると、ほかの4人はほとんど10年前後でボンド役者の座を去っている。

初代コネリーは(レイゼンビー時代の2年を内包するが)1962年から、ムーアへバトンタッチする1972年までの11年間、ボンド役者の座にあった。

ムーアから引き継いだダルトンは、1987年の「リビング・デイライツ」から「消されたライセンス」の1989年までだが、その後製作中断期間が入っているので、実質的にはブロスナン第1作「ゴールデン・アイ」前年の1994年まで「最後のボンド役者」だった。8年間だ。

5代目ブロスナンは1995年から2005年まで11年間、そして6代目クレイグも1996年から現在までで、やはり11年間。

これらからわかるように、ざっといえば約10年がボンド役者の賞味期限のようだ。

007シリーズは開始から60年余を経ているのだから、6人が10年ずつで、ちょうどいい計算だな。

007シリーズは、主役の交代を経ながらも、同一のシリーズとして長い期間にわたって続いてきた、稀有なシリーズだ。その間に、物語のスタイルを変えたり、製作体制を変えたり、いろいろな「改革」を施して、生き延びてきたのだが、10年くらいをメドでボンド役者を交替させるというのは、あんがい長生きの秘訣のうちでも最も重要なものなのかもしれない。

ということは、やはりダニエル・クレイグはそろそろ卒業の年限になっているということかね。

次の新作がいつになるか、まだ公式のアナウンスはない。早く新作を見たいものだが、かつて5年間の中断期間があったことを思えば、焦ることはない。7代目の登場をのんびり待つことにしよう。

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