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史上最強の年間最多勝2022

今年最後の本場所、九州場所の新番付が発表になり、いよいよ初日も迫ってきました。

この時期になると、またまた気になってくるのが、毎年恒例「年間最多勝」の行方です。

さて、今年はどんなことになっているでしょうか。まずは秋場所までの情勢を見てみましょう。
(9月場所までの勝ち星順。赤字は優勝、網掛けの場所は十両)

見づらい表でごめんなさい

本欄で年間最多勝に注目しだしてから、年間最多勝争いはロースコアが続いていました。年間最多勝力士の成績が60勝、つまり1場所平均10勝を下回る成績が続いていたのです。

ちょうど、記録王の白鵬をはじめ横綱勢が衰えを見せて引退へ向かい、その後を襲う時代の英傑が出ないまま推移しているからです。そういえば幕内最高優勝も毎場所のように顔ぶれが変わっていますね。

そんななか、昨年は横綱に昇進した照ノ富士がぶっちぎりで年間最多勝を獲得、成績も77勝と、ひさびさに年間最多勝にふさわしい成績をあげました。

さあこれでいよいよ照ノ富士時代に突入かと思ったんですが、土俵の覇権はそう簡単には握れません。

上の表を見ればおわかりのように、今年も優勝が1回はあるものの、途中休場も2場所と、失速気味。秋場所まで42勝にとどまっていますから、仮に九州場所で全勝しても57勝で、60勝ラインに届きません。

そのうえ、膝の手術に踏み切ったとかで、どうやら九州場所は休場の見込みなので、残念ながら照ノ富士の2年連続2度目の年間最多勝は消滅したようです。でも、故障個所が故障個所だけに、ここは焦らず治療して、来年の年間最多勝奪回を目指してもらいましょう。

もう例によってですが、横綱に続く大関陣は今年もまったくダメでした。貴景勝が38勝、正代が34勝。ここまで5場所の合計で40勝が勝ち越しラインなわけですが、2人ともそこに届いていません。猛省と奮起が望まれます。

そして、初場所に優勝し、念願の大関の座を射止めた御嶽海も、その後は大失速。わずか4場所で大関を陥落し、ここまで36勝止まり。すっかりダメ大関の仲間入り……いやそれも失格ですか。

この3人は、年間最多勝よりも以前に為すべきことが山積みですね。

ということで、年間最多勝争いは、またまた大混戦です。

ここまでトップを走るのは、春場所優勝の若隆景。安定した成績を残して、トータル49勝。初の年間最多勝に手が掛かっています。九州場所に11勝以上を挙げれば、年間60勝にも到達するし、大関盗りへの足固めにもなります。若隆景には重要な場所になるでしょう。

追う第2位は46勝の琴ノ若。いよいよホープ、大器、サラブレットが台頭してきた感じです。若隆景とは3勝差なので、九州場所に大勝ちできれば、初の栄冠も手にできそう。そうなれば新三役昇進も手にできそうなので、注目ですね。

トップと5勝差の44勝が豊昇龍、続く43勝が霧馬山若元春。このへんまでが最多勝争いの圏内でしょうか。最多勝獲得には優勝するくらいの好成績が必要ですが、そうなれば、いずれも話題性豊富な顔ぶれなので盛り上がること間違いなしですね。

ご覧のとおり、年間最多勝争いの上位は非常にフレッシュな顔ぶれ。誰が年間最多勝を獲得しても、初の獲得となります。

そのうえ、5人とも年内の番付最高位が関脇以下。年間最多勝を関脇以下の力士が獲得するのは、1960年の大鵬、1992年の貴花田(のちの貴乃花)、2019年の朝乃山だけという非常にレアなケースになります。

現役の朝乃山を除けば、ほかの2人は文句なしの大横綱。年間最多勝を早いうちに獲得するのは、たいへんな出世コースなのかもしれませんね。

さあ、誰が栄冠を手にするのか、九州場所最大の見どころですね。

大相撲/丸いジャングル 目次

【2022/12/2】
大混戦になった九州場所は、阿炎が土壇場の大逆転で見事に平幕優勝を飾って幕を閉じました。

さて、年間最多勝争いですが、場所前までトップだった若隆景がやや不調で星が伸びず、逆に優勝争いをリードした豊昇龍が猛追。琴ノ若ともども、2差まで迫りましたが、けっきょくは逃げ切りで若隆景が初の栄冠を手にしました。最終結果はこのとおり。

黒文字が幕内6場所在籍力士、シャドウ入りは十両、赤字は幕内最高優勝

ご覧のとおりで上位10傑に入った上位力士は大関・貴景勝のみ。横綱・照ノ富士と大関・御嶽海が16位タイで、大関・正代は21位タイというテイタラク。大戦国時代を象徴するような結果となりました。

ちなみに、全場所勝ち越したのは若隆景と豊昇龍の2人のみで、年間勝ち越しの45勝をクリアしたのも11人だけということになりました。これはコロナ禍による休場が多かったせいでしょう。そんなことも今年の大相撲の混乱ぶりの象徴と言えましょう。

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