古代人超閑説

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オーパーツ【名詞】発見、発掘されたが、その場所や時代には存在し得なかったと考えられる物品のこと。また、その当時の技術、あるいは現代の技術でも作成が不可能だったにも関わらず、現に存在している遺跡や遺品。

オーパーツって大好きです。

こちらに書いたように、去年大英博物館で「クリスタルスカル(水晶ドクロ)」を見て感動してきたんですが、その他のものも好みです。

現代の建築機械をもってしても建設困難な建造物(ピラミッドとか)、ライト兄弟よりもはるか以前に造られたジェット機の模型、人類が未到達だった時代に描かれた南極大陸の地図、いかなる冶金技術によるものか不明の錆びない金属、上空からしか見られない地上絵、人類誕生以前に滅亡したはずの恐竜を描いた古代の絵画や彫刻……いいねぇ。

昔は多くの子供向けの本で、こうしたものが次々に紹介され、やがてテレビ番組になり、私たちの心理の奥底に定着していったものです。

そして、その多くの場合、これらは「太古の昔に地球を宇宙人が訪れていた証拠である」的な結論に結びついていました。ロマンだねぇ。

もちろん、人類が誕生してから、現在の文明が発生するまでの間には、現代文明史が100回以上も納まるほどの時間的な隔たりがあるのだから、現人類文明とぜんぜん別個の文明が生じ、発展し、滅亡した可能性だってないわけじゃない。それのきっかけが異星人のもたらしたものかも知れないってことだって、可能性という点ではゼロじゃない。

しかし、私はある時点から、こう思うようになった。

古代人をナメるなよ

一見、現代技術がないと不可能に見える事物だって、じつは古代人にはちゃんと出来たのかも知れない。その技術が長い歴史の中で忘れられたのかも知れないし、その技術の使い方が大きく変わっただけなのかもしれない。

そして、私が思うに、古代人が豊富に持っていたにもかかわらず、現代のわれわれがすっかり失ってしまったものが、確実にひとつだけある。

それは、「時間」だ。

考えてみよう。一日の長さは、人類発祥のころから現代にいたるまでまったく変わらず、24時間である。そして、人類が生存のために絶対的に必要とする時間、食事・睡眠に費やす時間も大して変化していない。これは生物としての人類にとって、生きるために欠かせない時間である。この長さは、人類誕生以来、そう変わってないだろう。

だが、そのほかの時間、古代人は何をしていた? 狩猟で暮らす人々も、漁労で暮らす人々も、農耕で暮らす人々も、そんなに長時間働く必要はなかったはずだ。だから、現代社会に生きるわれわれと違って、一日にものすごく長い空き時間があっただろう。

では、その時間に何をしていたか?

吉幾三の歌ではないが、テレビもない、ラジオもない、ビデオもゲームもありゃしない。いやそれどころか、新聞・雑誌や読書すらもないんだぞ。

もうおわかりだろう。クリスタルスカルを作るのにどれだけ時間がかかるとしても、ピラミッドを築くのにどれだけの人力が必要だとしても、自分が見たこともないものを想像するのにどれだけかかろうとも、ビクともしないだけの「時間」が、彼らにはあったに違いない。だって、他にすることは何もなかったんだろうからね。

オーパーツの「正体」は、あり余る「時間」の産物にすぎないのだ。これが私の考えた「古代人超閑説」だ。この説ひとつで、オーパーツから巨石建造物まで、たいがいの「古代文明の謎」は解決できてしまう、禁断の学説である。

つまりあれだな、そう考えてみると、人類の発展の歴史は、要するに壮大なる「閑つぶし」なんだな。

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