UFO隠蔽説(無理)

ついに、あのNHKがUFOの番組を流す時代になった。むかし、NTVをはじめ民放各局が競ってUFOを取り上げていたころも、「私どもはそのようなものは放送いたしません」的に無視していた、あのNHKが。

感無量だな。

もっともそれだけUFOが、「ネタ」として市民権を得たということだ。現在では、一部の人々と無邪気な子供をべつにすれば、あのころのように誰もが「UFOは宇宙人の乗り物」的なことを信じているわけでもないようだし。みなさまのNHKも、安心して取り上げられるってもんだ。

落ち着いて考えよう。

はるか太陽系外や、下手すると銀河系の外から、はるばるやって来る宇宙人(今は異星人とかエイリアンとか呼ぶのか)がいるとしよう。それには、それなりの労力がかかるだろう。われわれ的な感覚からすると、途方もないエネルギーを必要とする大事業だ。

そうしてはるばる広大な宇宙空間を超えてやって来た宇宙人諸君は、地球くんだりまで、何をしに来てるんだ?

今のところ公式に国連やどこかの政府を表敬訪問もしてないし、黒船みたいに沖合に停泊して圧力を掛けたりもしていない。してみると、外交目的じゃないんだろうな。じゃあ、商売しに来てる? 科学的観察? ひょっとして単なる観光? でも土産物を買っていったりはしてなさそうだが……

と、ここまでの疑問は誰もが抱くだろう。で、ちゃんとその答えも用意されているんです。

それが「UFO隠蔽陰謀説」

たいがいはアメリカが主役とされるんだが、要するに「秘かに宇宙人と接触し、何らかの協定を結んでいるが、政府がそれをひた隠しにしている」というやつですね。どこの国の政府でも役人でも、いろいろな秘密を国民の目から隠すのは好きそうだから、うなずけなくもない話ではある。

でも、その「政府」って、誰だよ?

そう考えると、たちまち怪しくなる。だってUFO(空飛ぶ円盤)が人口に膾炙するようになってから、もう半世紀以上たってるんだよ。その間、たとえばアメリカでは、いったい何回の政権交代があった? 共和党から民主党へ、また民主党から共和党へ、大統領の座の主人が変わるたびに、政府のスタッフも、役人も、ごそっと変わるんだよ。そのたびに「これ極秘だからね」って言って、これだけの大事が引き継がれ、その間まったく誰も裏切らず、新聞やテレビに漏らしもせず、厳重に秘匿されてきたって?

アメリカだけじゃない。欧州各国や日本でもそうした政権交代が起きているし、ドイツは統合されて東ドイツが消滅、ソ連も解体してしまっている。それでも漏れない秘密って……じっさい、ソ連解体の時に「どれだけスゴイ秘密が出て来るか」と期待する向きもあったのだが、見事に何も出てこなかった。

これはつまり、そもそも「国家が国民の目から隠したい秘密」なんてものは、そうそうあるもんじゃないってことだろうと思う。秘密がないから、漏れもしない。おお、理屈に合ってるぞ。秘密があると思うほうが面白いのは確かだが。

だいたい、政権を奪取した政治家が、これほどの大ニュースを自らアナウンスしたいという誘惑に勝てるわけがないだろう。政治家って人種がどういうものかは、わかるよね。地球全体、人類全体のためを思って、自らの名誉欲を抑える……そんな政治家、いないよ(笑)

 続きはこちら→「UFO隠蔽説(推理)」

 超常現象なんか信じない 目次

ここから先は

0字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?