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入院騒動〔4〕

点滴は本院にいる間に外れたんですが、血中酸素濃度を測る機械と酸素くんは離せません。常時酸素吸入は不要になっても、まだ動くとゼイゼイいったりするので、要チェックなんです。

↑ 分院での相棒にして親友「酸素くん」

酸素測定機はすぐれもので、こちらの血中酸素濃度が下がると無線でナースステーションの警報が鳴る仕組み。ちょっと動きすぎたりして90%切ったりすると、看護師さんが飛んできてくれます。

ところで私は睡眠時に無呼吸症候でもあるらしく、よくイビキがうるさいと妻に言われたりするんですが、おかげで数回起きたのが深夜の椿事。

ぐうぐう寝ていたら、いきなり看護師さんがやって来て起こされ「大丈夫ですか?」とか聞かれるんですよ。

どうやら眠っている間に血中酸素濃度が急降下することがあったらしいんです。

平常時の酸素濃度が下がっているせいで、ふだんならどうもない事態でも、警報レベルになるんですかね。一時は、うつ伏せになっただけで警報が発令されたりもしました。かなわんね。

その後、呼吸の状態が良くなると、そんなこともなくなりましたが。

分院に戻り、オリンピックの終了も見えてきたので、退屈しのぎへの手を打つことにしました。

あと2週間、耐えねばなりませんから。

そこで、看護師さんに訊いたら、かまいませんよというので、妻(毎日見舞いに来てくれてた。感謝)に頼んで、自宅で使っているラップトップPCを持ってきてもらいました。

テレビとスマホと食事しか楽しみがないので、退屈しのぎの種類を増やそうと考えたのです。

ところが、考えてみたら病室にはネット環境がありません。

わが家には手持ちのルーターなどはなかったので、またまた妻にお願いして、レンタルのルーターを手配してもらったのですが、それが届くまではまったくの役立たたず。いまどきのPCは、ネット環境がなければなんの役にも立たないことがよくわかりました。

数日後、ルーターが届き、やっとネット接続ができるようになったら、途端に世界が拡がった気がしましたね。それまでの閉塞感が、大きく解消されたような気がしました。

いまや生活必需品なんだなぁとか思いつつ、音楽聴いたり、映画やアニメを見てました。アニメを見てたら、病院スタッフに「それ、ゲームですか?」とかいわれたっけ(笑) いや、自宅での日常に近づいた気がしましたね。

病気の種類を問わず、入院生活で確実に衰えるのが、筋肉。ことに足腰の筋肉が衰えると言われました。

ドクターからは、なるべく病棟内を歩くことと、寝てばかりいないで縦になっているといいよとアドバイスもらいましたので、念のために酸素くんを引き連れて、病棟内をうろつくことを心掛けました。

でも、そんなに広大な病院ではないし、歩くといってもせいぜい100メートル以内。それに、ほかの患者さんや病院スタッフが忙しそうに歩き回っているので、あんまり邪魔になってもなぁとついつい思いがち。

そこで分院に戻った入院10日目くらいから、スケジュールを決めて、午前中(外来がある時間なので、入院病棟は比較的すいてる)はなるべく談話室などへいって、そこのベンチに座っていることにし、午後は病室でテレビ(ネット開通後はPC)を見るときも、極力ベッドの上に座って見ることにしました。自宅ではゴロゴロしながら見るのに。

午前中の散策タイム(病棟内限定)で、窓の外の景色を眺めると、どうしても外出願望がふくらみますねえ。

窓から、外にある桜の枝にふくらんだつぼみなど見ると、ああこいつが咲く前に退院したいなぁなんて思うわけです。

こうして生活リズムみたいなのが出来てきました。

このころから、だんだんと他の患者さんのことや、病院の仕組み、さまざまなスケジュールがわかってきます。入院生活にも慣れてきたんでしょうか、いやそんなことに慣れたかったわけではないんですがね。

同室の患者さんに同病の人がいるらしいとか、となりのベッドの患者さんは高血圧がひどいらしいとか、あっちの患者さんはどうやら東北地方から来ているらしいとか、看護師さんのシフトがどう決まるかとか、自分の担当ドクターの勤務時間とか、病棟内のどこに何があるのか、とか。

なかには過去に何度も入院を経験していらっしゃるかたや、長期入院のかたもいらしたようで、やけに物慣れ、病院スタッフと友達みたいに話す患者さんも何人か。常連さんですか(笑) 

実際はどうなるかはともかく、こちらは長居をするつもりはないので、こうした方々と話すこと話したりすることはせず、ほとんど引きこもってましたが。

妻の意見によると、こうした際に女性の患者さんはけっこう話したり友達になったりするんだとか。対して男性患者は、おおむね黙して過ごす傾向が強いとか。

そういえば、先年入院生活を送った母親も、同室の患者さんたちと友だちになって、退院後も連絡取ったりしてましたね。男女差なのかな、やっぱり。

私はその後も、とくに新たな人間関係を築くことなく、退院しました。

ああ、もう退院して日が経ってきたので、スタッフのみなさんも、担当のドクター以外は、名前も顔も思い出せないや(もともと人の名前や顔覚えるの苦手)

あんなにお世話になったのに、すみませんねえ(笑)

【続く】

【だいぶん演出して書いてます。病院やそこのみなさんにはもちろん、家族をはじめ、多くのご心配やご迷惑をおかけした関係者各位には、感謝とお詫びを申し上げます】

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