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パシリムと鉄の大海獣

去年夏に公開された「パシフィック・リム」、いやぁ燃えましたねえ。いまだにあの興奮が忘れられずに、サントラCD聴いてます。そろそろブルーレイも買おうかな。

さて公開当時から、というよりこの映画の話を聞いた当初から感じていたのが、「巨大ロボットで怪獣を迎撃する」このコンセプトに対する既視感(デジャヴュ)。

もちろん、鉄人28号、マグマ大使、ジャイアントロボ、マジンガーZ、ガンダムからエヴァンゲリオンにいたるまで、多くの先達が存在するのですが、なんかそれとは違う……

まあ思い至ったのは映画公開前で、だからこそここでこんなこと書いてるんですが。

はい、「巨大ロボットで怪獣を迎撃する」の元祖は、水木しげる先生の「墓場の鬼太郎」ですね。意外? でも水木先生もそう述懐しておられます。あれはオレのアイデアだってね。

もちろん「パシフィック・リム」にはお化けも妖怪もねずみ男も出てきませんが。そりゃそーだ。

「巨大ロボットで怪獣を迎撃する」のはマンガ「墓場の鬼太郎」そして白黒TVアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」のなかでも屈指の巨編「大海獣」なのです。

われわれ世代には一般常識のようだった「大海獣」ですが、知らない人のためにざっくり説明すると……

ニューギニアの奥地で発見されたクジラの祖先の陸棲大海獣(でかい)を調査するための探検隊に鬼太郎が参加。首尾よく大海獣の血液を採取することに成功しますが、探検隊は鬼太郎と天才少年科学者・山田くんを残して全滅してしまいます。なんとか救出された二人。ところが、名声を独り占めにしたい山田くんは、鬼太郎に妖力封じの毒を飲ませ、大海獣の血液を注射します。するとあら不思議、鬼太郎は巨大なる大海獣に変身。何とか自力で日本へ帰りますが、妖力を封じられて仲間とも意思疎通できず孤立無援。東京に上陸すると完全に怪獣扱いされて自衛隊の猛攻を受けてしまいます。鬼太郎絶体絶命!

さてその鬼太郎=大海獣を何としても口封じしたい山田くんが作り上げるのが、迎撃兵器の「鉄の大海獣

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「生き物と鉄ならば鉄の方が強い」という微妙なコンセプトで作られた搭乗型巨大ロボ「鉄の大海獣」。姿かたちは大海獣そっくりで能力は抜群。鬼太郎=大海獣の主武器である、なんでも毛が生えちゃう光線(一部諸氏には羨望の的)に対処すべく、両手が鋭利な刈り込みバサミだったりするのがイイ。しかも大「海」獣相手に作られたくせに、水中戦を想定しておらずに水没するとか、愛嬌もあります(笑)

「パシフィック・リム」のデル・トロ監督が「ゲゲゲの鬼太郎/大海獣」(放送後に劇場公開もされました)を見たかどうか知らないけど(たぶん見てないだろうけど)、私的には「パシリム」の元祖は「鉄の大海獣」だと勝手に思うことにしてます。

ついでに。

「大海獣」のラストでは鬼太郎=大海獣に原爆が投下されるという非道な展開になります。その後、妖力封じを解毒され、血液も分離された元の姿に戻った鬼太郎に「あとは放射能の毒が問題」と科学者がのたまいますが、それに対して、ご存じネズミ男が言い放つセリフ。

「鬼太郎に妖力さえ戻ったんなら、放射能なんて小便にして流しちまうよ」

鬼太郎の小便は「元祖・高濃度汚染水」なわけですね(笑)

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