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電撃フリント××作戦

007マニアの私が、ある意味ボンド氏以上に好きなのが、デレク・フリント。「電撃フリント」といえば、私くらいの年齢の人はたいがい知っている……わけではない。

1966年の映画「電撃フリントGO!GO作戦」で突然誕生した、世界最高のスーパー・スパイが、デレク・フリントだ。ジェイムズ・ボンドと違ってフリーランスのスパイなのが頼もしい。ボンド氏は公務員だもんね。英国情報部の武器係Qを上回るアイデアと技術を持っているらしく、ボンドの秘密兵器をもしのぐ秘密兵器を自作していたりする。そんなスーパー秘密兵器でもある小型ライター一個だけを手にしたフリントが挑むのは、世界の気象をあやつるというスペクターもスラッシュも顔負けの大犯罪組織ギャラクシー。いやあ、こう書いていても、燃えるねえ。私だけは。

じつは、私には「私は好きだが人にはおススメしない映画」というカテゴリーがあるのだが、その最上位に位置するのが、この「電撃フリントGO!GO作戦」なのだ。だから私の熱弁に負けて、うっかり見てみたりしないように。責任は取れませんから(笑)

私がはじめてフリント氏の存在を知ったのは、中学生くらいのときだから、70年代の半ばごろ。すでに映画ができて10年くらいが経っていたはずだ。ちなみに、そのころの私の頭の中には「4大スパイ映画シリーズ」があって、「007」「0011ナポレオン・ソロ」「サイレンサー」と並んで「電撃フリント」が地位を占めていた。あ、これは今でもあんまり変わっていない。

そのわりに、「電撃フリント」はなかなか見ることができなかった。まだ名画座をめぐる年齢ではなく、ビデオなどのソフトなどもなかったから、ひたすらテレビでの放送を待つしかなかった。まあその時代は、それが普通だったが。

ようやくテレビ放送があったのは、それから少し後だったのだが、なんと私は、その時は見ていない。なぜならば、放送がよりによって大晦日、それも「紅白歌合戦」の裏番組だったのだ(しかも東京12チャンネル)。家にはテレビは一台しかなく、家庭用ビデオもまだまだ夢物語だったし、家族は当然「紅白」を見たがる(私も見たかった。某アイドル歌手が好きだったから)しで、フリント氏との遭遇はあきらめざるを得なかった。たしか、テレビでは続篇の「電撃フリントアタック!作戦」を先に見たと思う。

そのうち、90分枠のテレビ映画劇場なんかで見られるようになったが、当然カット版。全長版を見たのは、もう大学生になって、名画座通いを始めたころだった。先ごろ閉館した新橋文化で、ようやく全長ノーカット版を見たのだ。プリントがズタズタで褪色もすごかったが、それでもすごく満足して、たしか2回くらい見たはずだ。その後も名画座にかかるたびに見にいったが、あんまり頻繁に劇場にかかる映画ではなかった。

ポケミスで出ていたノヴェライズ版や、すみやで買ったサントラ盤LPも忘れがたい。どっちも私の宝物で、今でもしっかり持っている。

やがてビデオソフト時代が来た。これまた当たり前だが、こんな映画はなかなかソフト化されない。結局、海外旅行に行った際に、アメリカの場末のビデオ屋で安売りになっていたのを見つけた。うれしかったねえ。その後、国内で出たソフトももちろん買った。DVDも買ったよ、もちろん。ブルーレイも、出たらたぶん買うだろう。

フリントを演じたジェームズ・コバーンは、これ一作で私の最大の贔屓俳優になったのだが、本人もこの役に愛着があったらしい。撮影中に空中分解寸前になった「電撃フリントアタック!作戦」の完成に向けては現場でリーダーとなり、なんとか完成にこぎつけたのも、コバーンのおかげだとか。その後も、シリーズ第3作の実現に尽力したそうだが、残念ながら第3作は、何度も噂には上りながらついに実現せずじまいになった。コバーンが元気なうちに、ぜひとも実現させてあげたかったもんだ。

と、シンミリしておいて何だが、じつは第3作はひそかに実現していたのだ。いや、これについてはあんまり語りたくないので、また別の機会にね。

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