恐怖のキノコ

人間、生きている限りは勉強だなぁと痛感したのは、数年前のこと。息子を連れて科学博物館を訪ね、「生物の分類」の展示を見たときのこと。

私が学生のころに理科や生物の授業で習った分類では、まずざっくりと「生物は動物界と植物界に分かれる」 はい、リンネの二界説ですね。

ところが、今は八界説まであるんですね。

いやぁ、私の知らないうちに、そんなに謎の生物が発見されていたのか……いや、そうじゃないって。より分類が細かく、研究が進んだってことです。

で、何より衝撃だったのが「キノコって植物じゃないんだ!

これまで半世紀以上生きてきて、キノコが植物じゃないって知ったのはこの時が初めてだったんですよ。衝撃でしたね(キノコは「菌界(ファンジャイ)」なんです) 以来、スーパーマーケットや食卓でキノコを見るたびに、いちいちこいつは「ファンジャイ」なんだとか思ってしまいます。

で、お話かわって、そのキノコが主役(?)で出てくる映画といえば、なんといっても「マタンゴ」ですね。1963年の作品。

東宝特撮映画の中でも、群を抜いて怪奇色が強く、映画としては完全にホラー映画。なので、われわれ世代の子供らには、予備知識なしでテレビ放送された「マタンゴ」を見て、トラウマになったものが多かったです。ゴジラをはじめとする大怪獣が大暴れする映画を期待して見たのに、ドロドロした人間たちの葛藤と、見るからにグロテスクな特撮を見せられたんですからね。

いまだに「あの映画は怖かったねえ」というオッサンたちが多いのは、そのせいですね。前に書きましたが、ビビリだった私は「マタンゴ」をちゃんと見たのは大人になってからだったので、このトラウマは抱いていません。

ちなみにうちの息子はキノコが大嫌いで一切口にしようとしませんが、それは「マタンゴ」とは関係なしです。べつにDVD鑑賞を強要した私のせいではありませんから。

もう一本、私に強い印象を残した「キノコ映画」があります。

ディズニーの「ファンタジア」です。子供のころ、親に連れられて、今はなき渋谷パンテオンで鑑賞しました(もちろんリバイバルです。製作は1940年、日本初公開は1955年ですから私が生まれる前です)

ごぞんじのように、クラシックの名曲にアニメーションを組み合わせたオムニバス映画ですが、ミッキーマウス主演の「魔法使いの弟子」や、迫力満点の「はげ山の一夜」をしのぐインパクトを残したのが、組曲「くるみ割り人形」に出てきた「キノコの踊り」でした。

当時の私にとって、この踊りの何がどう面白かったのか、もうよく覚えていませんが、今でもこの愛嬌たっぷりのキノコたち(マッシュルームなんですって)のダンスはよく覚えていたりします。

むかし、アメリカのどこかで(フロリダだっけな)たずねた古書店で、この「キノコの踊り」のセル画を発見したことがあります。けっこうな値段だったので、買わずに帰ってきましたが、あれ買ってくるんだったな。

数百ドルもしたので、たぶん本物だっただろうし、ニセモノだったとしても、あのキノコたちをわが家に飾っていたら、ずいぶん楽しかっただろうなぁ。

後悔先に立たず(笑)

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