見出し画像

大相撲外国場所

今年の秋場所も、またまたまた白鵬の優勝で幕を閉じた。これで2006年1月場所の栃東を最後に、もう8年半以上、日本出身力士の優勝がない(2012年5月場所の旭天鵬がいるから「日本人の優勝」はあるよ)

まあそんなことは構わないさ。

多くの外国人が相撲に魅力を感じて入門してくれ、さらにそれをきっかけに世界中に相撲が普及していくのは、相撲というスポーツが発展している証拠なのだから。いっぽうで、世界に広まれば広まるほど、日本出身者の優勝や出世は厳しくなるのが当たり前。なにしろ、世界には日本人よりもはるかに多くの外国人がいるのだからね。柔道が、そうでしょ。

それにしても、こうしてモンゴル勢が番付最上位を占拠するなんて、ほんの十数年くらい前には思いもよらなかった。

かつて日本柔道がオリンピックや世界選手権で苦戦しはじめたころ(ま、いまでもそうだが)、いしいひさいちの漫画に、オリンピックで柔道がメダルを取れないのに業を煮やしたエラい人が、こうなれば相撲だ、相撲を五輪種目にすればメダルが取れる、なんて言い出すってのがあった。それは実現するが日本勢はやっぱり惨敗というマンガで、オチのセリフは実況アナの「モンゴル強い!」。

当時はそんなことは絵空事だったからこそ、オチになったわけだ。なかなか予言めいた漫画だが、さて、あれはどこに出ていた漫画だったかな。アサシオくんだったか、違ったか。

しかしいっぽうで、外国出身力士が増えたからといって、必ずしも相撲が海外で普及しているわけではないというのも、また事実だ。

なぜか? それは簡単な理由だ。相撲を日本でしかやっていないからだ。相撲の魅力を伝えるのに、いちばん効果的なのは、そりゃ相撲そのものを見せることでしょう。海外にはたまに巡業で行くけれど、数日間でちょっと花相撲を見せるだけ。

なんといっても、真剣勝負の本場所を見せるのが必要でしょう。巡業だけじゃ、相撲の本当の魅力は伝わらないよね。

ということで、相撲協会は、海外での本場所開催を真剣に検討してはどうだろうか。

まずは手始めに、今、集客が一番苦しいという九州場所を2年に一度にし、そのかわりに隔年でモンゴル場所を開催するのはどうだ? 白鵬はじめ、地元出身の横綱が勢ぞろいし、ホープ・逸ノ城もいる。観客動員はバッチリだろう。国技館以上の器でも、まず毎日満員御礼間違いなし。話題にもなるし、これを機に相撲が国際的に認知されるスポーツになるかもしれない。

まあ、頭の固い親方衆がそこまで踏み切れるかどうかは知らんが。

それに、「角通」を自認する外野の方が、相撲の伝統が破壊されるとかいって反対しそうか。いま、外人力士ばかりがウンヌンといってるような連中がね。

だが、相撲は江戸の昔から、何度も大胆きわまりない改革を繰り返して生き残ってきたのだ。

たとえば、場所制度優勝制度横綱の番付地位化東西制とその変更、1場所15日制までの変遷など。戦後からでも、優勝決定戦の導入年6場所部屋別総当たり制ビデオ判定の導入などなど。競技そのものも、仕切り制限時間を設けたり、引き分けを廃止したり。土俵のサイズも変え、テレビ中継のために四本柱を廃して吊り屋根にするなど、けっこうすごい改革を次々に行なってきたじゃないか。

これらの改革、ほとんどここ1世紀くらいの間に行なわれたものばかり。伝統ったって、そんなもんなんだから。

ここはひとつ、旧弊にとらわれずに、海外場所を実施していただきたい。見に行くからさ(笑)

大相撲/丸いジャングル 目次

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?