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トレイン映画〔戦争編〕

最近は鉄女とか鉄ガールとかも多いようですが、やはり鉄道といえば、男の子が大好きなシロモノ。

そこでもう一つの男の子大好きアイテムである「戦争」と鉄道の組み合わせもまた、男の子映画にはたくさんあります(誤解ないようにいちおう言っときますが、ここで男の子が好きな「戦争」というのは、あくまでフィクションの材料としての戦争のことですよ)

たとえばその名も「脱走特急」(1965年)

第2次世界大戦末期、イタリアからドイツへ列車で輸送される連合軍捕虜たちが、その列車を乗っ取り、一路スイスへ向かうという、「大脱走」の系譜を継ぐような脱走映画。

フランク・シナトラはじめ、トレヴァー・ハワードとかヴォルフガング・プライス(おお、マブゼ博士ではないですか)など、このジャンルではおなじみの「男ばっかり映画」です。

残念ながら「大脱走」ほどのダイナミックさに欠ける出来栄えでしたが、700名の捕虜脱走という設定はなかなかのものですね。鉄道が主舞台になる戦争映画としては合格点かな。

いっぽう、ナチスドイツ占領下のフランスで、ドイツへと運び去られようとするルーブル所蔵の美術品の輸送を阻止しようとする国鉄職員たちを描いた名作は、その名もずばり「大列車作戦」(1964年)

ドイツへの輸送を阻止するために、バート・ランカスター演じるフランス国鉄職員たちが立てる作戦が、鉄路堂々巡り作戦。

だれよりも線路を知り尽くした鉄道員たちが、巧みな偽装で、一路ドイツへ向かっていると思わせながら、輸送列車をフランス国内に足止めすべくさまざまな妨害工作を行なうのでる。

フランス国内の鉄道をあちこち引き回すには、相当の路線知識が必要とされるわけで、まさに鉄道マニアでないと立てられない作戦。鉄男たちなら、一度はやってみたい作戦では?

「戦争映画」といわれると、どうしても目がいきがちなのは、戦場でのドンパチの戦闘シーン。銃弾、砲弾、爆弾が飛び交うドッカンドッカンが「戦争映画」と思いがちですが、この2作ではそんな戦闘シーンはほとんどありません。

でも、見事に「戦争映画」 そういえば、戦闘シーンのほとんどない「戦場にかける橋」の主役であるクワイ河の橋も鉄道橋、「大脱走」でも脱走捕虜たちが鉄道でスイスへ向かうのは見せ場のひとつでしたね。

典型的な造りをしなくてもそのジャンルの作品たりうる。これだから映画ってのは面白い。鉄道戦争映画ってのは、そうしたものの一つの代表例なのかもしれませんな。

とはいえ、ドンパチ型の戦争映画では鉄道の出番はないかというと、そんなこともありません。

真面目な話、大量の兵員や物資を一気に運べる鉄道は、軍事戦略上で重要な設備なので、ドンパチ戦争映画でも、しばしば大きな見せ場になります。

「バルジ大作戦」では鉄道トンネルでタイガー戦車と機関車が激突、「戦略大作戦」ではドイツ軍の鉄道基地をシャーマン戦車が襲撃し、「史上最大の作戦」でも鉄道線路爆破の破壊工作が見せ場のひとつでした。

鉄道は戦争映画にとっても使い勝手のいい、便利なアイテムなんですね。

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