ロサンゼルスの戦い

スティーヴン・スピルバーグ監督の「1941」がやっとブルーレイになったのでさっそく購入しました。太平洋戦争開戦直後の1941年クリスマスに日本軍上陸の恐怖から起きるドタバタを描いたスラップスティック・コメディ超大作。私、この映画大好きなんです。

で、知っている人は知っているので、あたらめて書くのもなんですが、この映画、実話をもとにしています。いや、ワイルド・ビル・ケルソー大尉は実在しませんが。

その事件が起きたのは1942年2月25日

この日、日付けが改まった直後の午前1時44分、ロサンゼルスにある陸軍の防衛レーダーが正体不明の飛行物体を確認しました。その数、じつに25機。

前年の12月7日にパールハーバー奇襲があったばかりで、当時アメリカ、とくに西海岸では日本軍の上陸攻撃があるのではとの疑心にかられていたところです。実際、この直前の2月23日には日本の潜水艦による石油施設への砲撃で軽微とはいえ損害も出ていたものだから、すわ日本軍襲来かと大騒ぎになりました。空襲警報が発令され、迎撃機が飛び立ち、対空砲火の火ぶたが切られます。その模様がラジオで中継され、住民はパニックを起こしました(このへんは映画「1941」そのもの)

けっきょくのところ敵機は発見されず、もちろん上陸もなし。しかし、対空砲弾のかけらで3人が死亡するなど、人的被害まで出てしまいました。

その後、軍は不明機の正体を「気象観測用の気球の誤認によるもの」と発表して事件は幕引きとなります。

もちろん、この事件は、世に「空飛ぶ円盤」の存在を知らしめたケネス・アーノルド事件(1945年6月24日)以前の出来事だったので、当時は誰もそんなことは考えませんでしたが、のちに「あれはUFOだったんじゃないか?」と言い出す人がいて、いまではUFO事件史ではクラシックなネタとなっています。

ただ、けっきょくは「観測気球の誤認だった」という説が受け入れられたかたちで、UFO研究家たちの間でもあんまりまともに取り上げている人は少ない事件のようですね。

でもちょっと待った。ほんとうに「観測気球の誤認」だったんでしょうか? 日本軍じゃなかったことははっきりわかっているので、もちろん「観測気球の誤認」がいちばん合理的な説明でしょうが、合理的だから正しいとは限らないのがこの世の常。

いろいろ調べてみると、「気球そのものは確認されていない」「数多くの目撃者がいる」「目撃者たちは、それがジグザグに飛んでいたり発光していたりしたと、気球とは思えない証言をしている」「軍のレーダ-でも問題の物体が上下動していた記録がある」「気球は25個も飛ばされていない」などとけっこうあいまいな点が多く残されています。まあ戦時中のことゆえ、仕方ない面もありますが。

その後の数多くのUFO事件と比べても、圧倒的に多数の目撃者(なにしろ高射砲で狙って砲撃までしている)がいたりして、すごくきわだった事件だと思うんですがねえ。異星人だったかどうかはともかく、何かしら怪しいものが、あの夜ロサンゼルス上空に飛来したのは、間違いないんじゃないでしょうか。

それが何だかわからないんだから、UFO(未確認飛行物体)なのは確かですね。超常現象は信じない私ですが、この事件にはまだまだ闇が隠されているような気がするんですよ。ちょっとだけですけど

たぶんスピルバーグは、「未知との遭遇」を作るためのリサーチ中にこの事件を知り、そこから膨らませて「1941」を作ったんでしょう。なので、今度はUFOの正体が、バカップルの偵察機とか荒くれ戦闘機ではなく、ほんとに異星人だったって映画はどうですかね?

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