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入院騒動〔1〕

人生で初めて、入院というのをしました(もちろん出生時は別として)
50年以上生きてきての初体験です。

1月の下旬ごろから、妙に咳が出るなとは思っていました。当初は、今年は花粉症が早いのかなくらいに思っていたのですが、だんだんひどくなってきたので、こりゃ風邪でも引いたかと近所の医院へ。

風邪ですかねとの診断で薬をもらったりしたんですがいっこうに好転せず、再診でレントゲン撮って見ると、肺炎を起こしてました。

そこで抗生剤などを処方されたのですが、それから1週間が過ぎても悪化するばかり。そのうえ、普通に動いていてもすぐ息切れするようになってきたので、再度診察。

これはすぐに専門の病院へ行ったほうがいいということになり、紹介状を書いてもらってレントゲン写真など一式を携え、その足で、幸い自宅からそう遠くないT病院分院の呼吸器内科へ。

病院で受け付けてもらうとすぐにドクターが診てくれて、ほぼ即断で「こりゃ入院ですね

なんでも病名は「器質化肺炎」だそうで、それも肺炎は肺炎でも細菌などの原因ではなく、自己免疫によるもの(膠原病の一種)だろうとか。

ああそうなのか、じゃあ検査のための入院で数日程度なのかなと思ったのですが……

ドクターいわく「詳しい検査をしないと治療にかかれないのですが、検査は本院で行ないます。空きがあるのは金曜日ですから、それまでこちらに入院して木曜日に本院に転院。検査のあと、週明けに分院に戻ってもらって治療開始ですね」

この日は火曜日。つまりこれだけですでに1週間コースじゃないですか。

「検査」ってのは「気管支内視鏡、胸部CTなどなどなど」

で、分院に戻ってからの治療って、どれくらいの……「そうですね、2週間くらいは」

映画「大脱走」で、ハンネス・メセマーの収容所長に「独房(クーラー)20日間」と宣告されたスティーブ・マックィーンの心境であります。

グローブとボール持ってきてないし。

かくして人生初の入院生活は、何の予告も覚悟もなしに、始まりました。


とにかく苦しめられていたのは、呼吸のつらさ。

ふつうに歩いていてもゼイゼイと息が切れ、いつもは平気で登っている坂や階段も途中で息継ぎしないと登頂できない状態でした。

入院時に血中の酸素濃度を測るメーターてので計ったら、90%ちょっと。

なんだけっこうあるじゃないかと思ったら、そうではなく、正常値は95%以上。

90%を切ったらピンチだそうで、測ってくれた看護師さんが「あなたこれじゃ酸欠よ

すぐに酸素吸入をすることになりました。

ほら、「笑点」の桂歌丸さんが、鼻にチューブいれて黒いボンベにつながってるでしょ、あれと同じやつ。

大したもんで、これのおかげで、すっと呼吸が楽になります。数値も95%に近づきます。

酸素って、大事!

検査転院までの分院の入院生活で、まずまいったのは、食事。

関東生まれの私は、当然ながら濃い味つけが好み。

ところが、基本的に病院食ってのは薄味なんですね。

それだけでも嫌になるのに、入院当初は体調も悪く、食欲もなし。

こうなると、何を食べても不味く感じます。

そのうえ、ふだん朝はパン食なのに、病院メニューは朝から米飯。これにはまいった。

前途を考えると、暗澹とした気持ちになりましたね。

おまけに、この時点では私の入院は、基本的に「経過観察」

つまり、何もやることがないんです。

もちろん、定期的に看護師さんが体温や血圧を測りに来てくれますが、それだけ。

要するに、退屈なんです。

幸い、病室にはテレビがあったので、もっぱらテレビ鑑賞に励むのですが、このテレビがいまどき、テレビカード方式

プリペイドカードで見る有料のペイテレビなんです。

1000円のカードで、ちょうど1000分、テレビを見ることができます。1分間で1円。

高いか安いかで言えば、けっして法外に高いわけではないんですが、テレビに付属したカウンターで残ポイントが着々と減ってゆくのは、なんとなくプレッシャー。気になるんだよね。

しかも病室は4人部屋なので、音声はイヤホン使用。そして病室消灯が午後10時なので、テレビ見るのはそこまで。1000分てのは、約17時間ほどなので、まあカード1枚で1日分と思えば、理屈にはあってるのか。

なんか見ていても、なかなか番組に集中できませんでしたね。

だいたい、この時期は体調悪くて、なんとなくテレビを眺めるか、あとは寝てるかで、なんとか乗り切りました。

こうして入院初期の分院暮らしを悶々としてすごし、木曜日の朝、本院へ転院です。

【続く】

【だいぶん演出して書いていることをお断わりしておきます。また、病院やそこのみなさんにはもちろん、家族をはじめ、多くのご心配やご迷惑をおかけした関係者各位には、感謝を申し上げます】

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