時限爆弾危機連発(ワイヤージレンマの謎)

このノートを書きはじめのころ、「時限爆弾、危機一髪」というのを書きました。【こちら】

ウィキペディアの、映画「ジャガーノート」の項に、「この映画がワイヤージレンマの元祖である」という間違った情報が載ってる件を鋭く糾弾した原稿でした(笑)

私の指摘にもかかわらず、相変わらずウィキペディアの記述はそのままですが、まあそんなことはいいとして。

その後、じゃあ、時限爆弾を解体する作業の最後に、赤と青のワイヤーどちらを先に切るかというワイヤージレンマの元祖は何なのだろう?と、ヒマな折にコツコツ調べてるんですが、これがさっぱりわからない。

時限爆弾そのものは、それこそ映画創生期のスラップスティックコメディあたりにはもう登場しているのですが、当時のそれはダイナマイトの束に時計がくっついている程度のシンプルなもの。赤か青かも、何もない。

ある程度複雑な仕掛けの時限爆弾となると、ずっと時代は下って、少なくとも第2次世界大戦後かなと思いますが、確証なし。

比較的古いところでは、1958年のイギリス映画「Another Time, Another Place」(日本未公開)で、爆弾処理班が時限爆弾を解体するシーンがあることがわかりました。

007ジェイムズ・ボンドに抜擢される以前の若きショーン・コネリーが出演しているので知られるメロドラマめいた作品ですが、その中にたしかに爆弾解体のサスペンスが取り込まれています。

ですが、そこに「赤か青か」はありませんでした。

たぶん、こうした段階を経て、その後のどこかで、ワイヤージレンマという手法が生まれたのでしょう。

そうしてみると、ワイヤージレンマの誕生は1960年代以降なのかな。

ところで、この「ワイヤージレンマ(Wire Dilemma)」という言葉ですが、前記したウィキペディアの記述に出てくるので何となく信用していたんですが、じつはあんまり確かなものではないようです。

日本語版ウィキペディアの「ジャガーノート」や「時限爆弾」の項目に出てくるのですが、英語版の同じ項目の記述には出ていません。ひょっとして日本独特の和製英語なのでしょうか? これも追跡しなければ。

ところで、時限爆弾に限りませんが、爆弾解体の見せ場となるシチュエーションが、もう一つべつにあります。

言葉では説明しにくいんですが、要するに爆弾の信管を解体する際に、金属製のバーが、コイルとか金属製の円筒の中に差し込まれていて、そのバーを周囲の金属に触れさせないように、そーっと抜き出すというやつ。触れたらドカンなのは言うまでもなし。

私のように不器用な人間には、まったく不可能そうな作業ですね。

ちょっと手元が狂っても、ひと震えしてもオサラバという、サスペンスを盛り上げるには最適なシチュエーションであります。

前にワイヤージレンマの実例として挙げた、「特攻ギャリソンゴリラ」の1エピソード「時限爆弾絶体絶命」では、こちらの手法も使われていて、さらにサスペンスを盛り上げていました。「ジャガーノート」にも、これに類したものがちらっと登場していましたっけ。

こちらにも、何か呼び名があるのでしょうか? 「コイルジレンマ」とか。

この二つの「ジレンマ」ですが、実際の時限爆弾には存在しないものらしいです。私はテロリストではないので、よく知らないし、学ぶつもりもありませんが。「腹腹時計」でも読んでみるしか学びようもないし(古いな)

あくまでフィクションの手法なのだと考えておくのがいいようですね。

ところで、こうした「時限爆弾サスペンス」を台無しにするセリフがあります。

日本の刑事ドラマ、さて「大都会」か「大追跡」だったか、そのへんの石原プロがらみ。たしか沖雅也さんのセリフだっと思ったから、「大追跡」だったかな?

例によって爆発寸前の時限爆弾を、予告時間ギリギリで処理(爆発させるんだったか)した後に、ひとこと。

「几帳面なやつで助かったぜ」

爆弾犯人が予告時間通りに爆発させる義理なんか、まったくないんだよね、考えてみればさ(笑)

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