500円映画劇場「ゴールド・ハンター」

500円映画ではちょっと珍しい気がする、フランス製のハード・アクション映画「ゴールド・ハンター」です。副題の「600キロの金塊を追え!」で内容がすべてわかるような作品。

舞台は南米の仏領ギアナ。人跡稀なジャングルの中にある金山を襲撃して黄金を強奪した6人の男女と、彼らを追ってくる金山側(こちらも非合法な連中らしい)のジャングルでの追跡劇なんですが、結論から言えば、いまひとつもふたつも盛り上がりに欠けるものになってます。

最初にアクション映画と書きましたが、必ずしも「アクション」に主眼を置いた映画ではないのかも。金塊強奪組に夫の復讐を誓う妻とか、出産直前の妊婦とか、あまりアクション向けでない人物を配してあったりするのもそのひとつ。スリルは高まるけど、すっきりしたアクションは展開しにくいですね。

そう、アクションではなくサスペンスを主眼にするつもりの映画だったのかもしれません。フランス映画には、このサスペンス映画の最高峰のひとつといっていい「恐怖の報酬」なんて作品もありますからね。たぶんフランスではアクションよりもサスペンスのほうがえらいんでしょう。

ではこの「ゴールド・ハンター」、そのサスペンス映画として上出来かというと、そうでもない。

追う方も追われる方も、ジャングルの環境に文字通り足を取られ、一向に白熱しません。足場が悪く、見通しも効かないジャングル内。美味く使えば「プレデター」のような傑作も作れるんですが、今回は残念ながら、登場人物たちが動きにくく、見るほうも見づらいだけという、「はなはだ残念効果」しか生んでいません。

そのうえ、リアルさにこだわったのか、ジャングル内で主人公たちがどんどん汚れていく。汗まみれ、血まみれ、泥まみれで、見てるとかわいそうになります。これではせっかくブッキングした女優さんも、魅力が映えませんよね。

フランス人が得意とする映画技法のひとつに、グロさがあります。フランス人はグランギニョールの伝統もあってか、残酷描写に長けているんですね。この作品でも、殺し合いシーンや毒草による戦慄シーンなどには、それなりの迫力を感じさせてくれましたが、まあ見せ場はそれだけだったといってもいいでしょう。

でも、この映画に私が乗りそこねた最大の原因は、そうしたテクニカルな問題ではなさそうです。

これは私の昔からの偏見なんですが、どうもフランス語というやつの語感は、アクションやサスペンスといった映画の雰囲気に合わない気がするんです。あのモニョモニョした言語は、やはりロマンスを語るのに適していて、いまひとつ凄みがないんですよねえ。いや偏見ですけど

はい、その通り。私は「フランス映画」に偏見があるんですよ。なんでそんなことになったのか、生まれつきの遺伝子か、育ちが悪かったのか、単なる偶然か何か知りませんが、こればかりは好き嫌いなので仕方がありません。

そんなわけでふだんはフランス映画はあまり見ないんです。今回もそのつもりはなかったんですが、いかにも500円映画っぽいタイトルに騙されました。映画が始まって、タイトルを見た瞬間にしまったと思った次第。手遅れってやつでした。

まあ、たまにはいいですがね。

2010年の作品で、原題は「600 KILOS D'OR PUR」

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