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#16. 溶けそうじゃない、溶けている


暦の上ではまだ 5 月。にもかかわらず、この猛暑。

「令和」という言葉の秘めるどこか涼しげな響きとは裏腹に、早くも真夏日が到来した。

たいへんな量の汗をかくとき、日本語では「滝のように汗をかく」と言ったりするが、英語はそれを "sweat like a pig" (ブタのように汗をかく) という風に表現する。

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見てくれよ。おれはこっちで滝のように汗をかいてる。君はどうなんだ。

表現の構造としては一緒だが、よく見てみると、日本語は人のかく「汗」を滝に喩えているのに対し、英語は汗をかく「人」をブタになぞらえているという違いがある。

人を主体にして考える英語らしい比喩だけれども、大汗をかく自分のことを、ブタだとはあまり思いたくない。

したたる汗を横目に入れつつ脳内に滝を描く方が、ひんやりとした風をイメージさせて、汗も早めに引いてくれそうだ。

暑いときに使う日本語の表現として、最近では「溶けそう」というものもあるが、これは英語でも同じく、"I'm melting" と言うことができる。

ただし、日本語の「溶けそう」と比べて、英語の方は現在進行形で「溶けている」最中なので、表現としてはこちらの方が強烈である。

真夏日が続いたこの土日、うだるような暑さのせいでこんな悲劇が起きたらしい。

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(元ツイート:https://twitter.com/taco_handmade/status/1132440369897934848)

酷暑にやられ、こんなになったドラえもんなら、いまの暑さを "I'm melting" だと嘆いても、だれも異論はないことだろう。


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