#3. 夜空の星にあてられて
インフルエンザが猛威をふるう。予防の術こそ心得ていても、通勤ラッシュに混じっていると、ウィルスと無縁でいるというのは、無理難題にも思えてくる。
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日本でおなじみ「インフルエンザ」は、英語ではもっぱら flu と言うのが慣用的で、influenza とフルで言うのは医者くらいしかいないという。
この influenza という単語は、その字面から見ても明らかなように、「影響」という意味を表すイタリア語から来ている(現代英語でいうところの influence である)。
ではなぜ「影響」を意味する単語が、例の疾患の名前となったのか。Online Etymology Dictionary には、以下のような説明があった:
Used in Italian for diseases at least since 1504 . . . on notion of astral, occult, or atmospheric influence.
天体や神秘、あるいは大気の影響であるという考えのもと、少なくとも 1504 年以降、イタリア語で病名として用いられるようになった。
つまり、さまざまな現象が科学で解き明かされる前の時代、人々はインフルエンザのような病気に、星とかそういうものの影響でなると考えていたのだろう。
凶悪なウィルスの仕業であると、もうわかっている身からすれば、こういう前近代的な話には、やはりロマンを感じてしまう。
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罹れば苦しいことのみ多い病だが、昔から「病は気から」と言う。星にあたって罹ったのだと思えば、すこしは気持ちも明るく
......ならないか。
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