コダイのブカツ③ 奈良大発掘展について
コダイのブカツ第3回は、九州国立博物館の展示を楽しもう!ということで電車に乗って太宰府へ。
とにかく、暑い。
あまりの天気の良さにうんざりしながらも、参道の広告を見て気分を上げきゅーはくへ。
施設の入口には検温器が設置されており、画面に自分の姿と体温が映し出されるようになっている。
「暑い中歩いて来たことで体温が上がってしまって、もしかしたら中に入れないのではないか…。」とドキドキしながら検温を受けると35度台。ヨユー。
検温を終えて全員が合流し、チケットを買う。館内のでっかい広告でさらに気分が上がる。行きますよ、4階へ!
と、いうことで「しきしまの大和へ 奈良大発掘」です。
ここでよ~くご覧ください。奈良の奈が耳飾りをしているのですよ。わかりやすいようにチラシもお見せしておきますね。
ほら~、可愛いですよね!この耳飾りももちろん展示してありますので、後ほど…。
展示の入口で、やっぱりパッと目が行くのが円筒埴輪。スッ…としたその佇まいが凛々しい!こちらは石光山47号墳出土で5世紀のもの。
刷毛目が横に綺麗にビシッと入っている。
美しいといえば、隣に並ぶ車輪石もである。
もともとは貝製の腕輪だったものが、貝が採れなくなったため石で作られるようになり、そのうち、良い石(緑色凝灰岩)で作られた大きなものをたくさん所有していることがステータスとなって、だんだん腕輪としての意味を持たなくなったそうだ。
いろんな場所で車輪石を見るたびに、入らんな…と思っていたけれど、そういうことだったのか。
それに、良いものが大きくてたくさん。それが偉い。うん、わかりやすくていい。
この車輪石は、木棺を粘土で覆いその上に大量に置いて埋葬したようで、磯部郡の島の山古墳からはシャンプーハット並みに大きなものが大量に出土している。
ちなみに、この車輪石に石釧と鍬形石で宝器3点セットになるのだが、九州ではまとめての出土例があまりない中、沖ノ島で見つかっているのだそう。
展示室に入ると、一番目立つ場所に土偶が。チラシにもど~んと載っていたあの子だ!
石棒を従えて立っているが、緊張感のない表情だからか(ごめん)、ちょっと面白い。
さらに、ふくらはぎがもりもりである。もりもり過ぎて、どういうことだ。心配だよ。
顔にある穴は目のように見えるが、土偶の変遷から耳もしくは耳飾りと考えられているらしく、眉や鼻、目の表現は省略されているとのだそう。えええ、耳!?
その後ろに地味に展示されている木棺は、よくこんなに残っていたね!と声をかけたくなるほどに状態が良い。小さめで、子ども用の棺だったようだ。
そして、隣の展示室へ移って現れるのは特殊器台と特殊壺!大きい!
特殊器台と特殊壺は吉備地方で生まれたもので、器台に壺を乗せて祭祀に使っていたのではないかと考えられている。
特殊器台は埴輪の起源とされており、器台から円筒埴輪、器台に壺が乗ったものから朝顔形埴輪が生まれたとされている。
また、器台の弧文帯が描かれなくなり、それに沿って開けられた穴だけが残って透かし穴になったのだそう。
時代が進むにつれて透かし穴の数も減り、形は丸になっていったのだとか。なるほど、透かし穴の形がいろいろあるのはそのためだったか。ふむふむ。
こちらは河原塚1号墳出土の円筒埴輪で、4~5世紀のもの。アップの写真がないので分かりづらいのだが、縦と横に刷毛目が入っている。
この円筒埴輪を見ているカップルが「結局これってどうやって使われていたの?傘立て?」という話をしていて、「それは良いアイディアだな…。欲しい…」と思いながら先へ進むと…。
ぴょこ。
あらやだ。そんな見せ方しちゃう?「わたしは蒸し器です!」と言わんばかりに見せつけてくれちゃって。サービス精神旺盛!
こちらは初期ぴょこで、後期になるとぴょこのぴょこ部分が小さくなったり、底部の穴が大きくなったりという変化がみられるのだそう。おそらく、ぴょこ部分が必要ではなくなり、製作時の穴開けを楽にしていったのだろう。
円筒埴輪にしてもぴょこにしても、人間ていうのはどうしてこう、何でも最終的にざっくりしてしまうのか。もともとざっくりなわたしが言えたもんじゃないんだけれど。
ここで最初の方に紹介した、割塚古墳出土の立派な耳飾りが見られる。
本物はもっとずっと美しくて、奈良の奈が身に付けるのにふさわしい耳飾りだ。まったく写真がうまく撮れなったので、図録のものを載せておく。
さらに進むと、冑と短甲が。なんと、360度好きな角度から眺められる…!
短甲の背中側はきちんと観察したことがなかったので、こんなに細かいつくりだったのか、と驚いた。いくつの板を繋ぎ合わせているのだろうか…。
あとは古墳時代後のぴょこらしさを感じるものの紹介を。
8世紀の墨書人面土器にさりげなくぴょこみあり。
墨書人面土器は病気になった人が息を吹き込んで川に流したとされているので、この人らも「悪いものはどこか行けー!」という願いとともに流されたのだろう。とにかくいろいろ背負ってきたような表情をしている。お疲れ様です。しかしこんなしっかりした器、ちゃんと流れるのかな。
そして、16世紀の茶釜にもぴょこみが。
これは環付と言って釜を上げ下ろしする時に使う釜鐶を通すものだそう。今はもっと控えめなものが多いので、これも時代によって変わっていったのだろうか。
そんなこんなでこちらの展示は12月20日まで行われており、今回紹介したもの以外にも九州ではなかなかお目にかかれない貴重な展示物がずらずらずらっと並んでいるので、是非ご自分の目でご覧いただきたい。
わたしもまた行く器台!(お願いだから笑って)
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