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220829 青春18きっぷで1500km大移動⑥(長岡→松本)


 気づいたときには8月が終わろうとしています。なお、この記事を執筆している一週間後にはぼくはすでに北の大地(北朝鮮ではない)にいる予定です。おそらく来週の今頃は車で千歳を超え、噴火湾の周りをグルっと走って函館を目指しています。函館のホテルは驚きの「フォーポイントバイシェラトン」なのであって、なんと一泊9700円です。ま、ポイントで1000ポイントくらい返ってくるので実質的には1泊8700円と言ったところでしょうか。なお、会津若松で泊まった南横イン(仮名)とほぼ同じ値段です。「東縦イン(仮名)はコスパ最悪」というのはぼくが繰り返し主張していることですが、こういう比較をするとコスパの悪さが如実に表れますね。函館のホテルはラビスタをはじめとして良いホテルが多いので函館に行く人はホテルをしっかりと検討することをオススメします。JRインはかなり良かったですね。
 そういえば、高校2年生の時に行った修学旅行では那覇のヒルトンに泊まりました。ヒルトンと言ってもヒルトンが開発したホテルではなくて潰れそうになったホテルをヒルトンが買い取って看板を掛けかえただけのヒルトン(仮)みたいなホテルなので大したことはないのですが、まあそれなりのホテルであったような記憶はあります。確か「ダブルツリーbyヒルトン那覇首里城」みたいな長い名前だったかな。修学旅行ということで首里城には行きなさい、ということになっていたので生徒を首里城近くで解放するべくここにしたのでしょう。国際通りの近くに泊まって「いいかぁ、首里城には必ず行け!」と言ってもわざわざ首里城に行く人はいませんからそういう狙いがあったのだと思います。ぼくの班は首里城の中を駆け足で見学(もはや見てすらいない)し、国際通りに繰り出しました。そこで迷子になった話は確かどこかで書いたと思いますが、あの事件はここから始まっているのです。
 なお、今までぼくが泊まったことがあるヒルトンは那覇にせよ小田原にせよ、ほとんどがこのヒルトン(仮)なので「ヒルトンって言っても大したことないなあ」と思っていたら沖縄の北部に行ったときに本物のヒルトン(なんじゃそりゃって話ですが)を外から拝見し、「おお、これが本物のヒルトンか!すごい!」となった記憶があります。ホテルを拝見するっていうのも変な話ですが、真っ白な壁とその手前の庭園には圧倒されました。最近の沖縄北部はこんなリゾートばっかりです。最近、沖縄のホテルは本島に限らず石垣島方面でも高級リゾートと民宿に二極化しており、「コンフォートホテル」「ベッセルホテル」みたいな中間に位置するホテルが消えている気がします。小浜島に行った記事の中でも似たような話をした覚えがあるので興味がある人はそちらも読んでください。

飯山線の旅に出る

 さて、沖縄のホテルの話はこれくらいにして、本題(あるのか)に入ります。旅行記の上では3日目がスタートするところのはずです。ここまでの移動距離はおよそ500kmとなっており、今日で18きっぷの元が取れる見込みになっています。今日はまず飯山線に乗り、長野まで向かいます。より正確な話をするなら長岡~越後川口の間は飯山線ではなく上越線のような気がしますが、このnoteは別に鉄道マニア向けのものでもなければ鉄道マニアが書いたものでもないので気にしないことにしましょう。一応、ディーゼルカーに対して「電車」という表記を使わないように気を付けているつもりですが、それももしかしたらうっかり「電車」と言っていることがあるかもしれません。
 この飯山線というのは大変に景色が綺麗なことで有名な路線です。線路は信濃川に沿って敷かれており、川と山が織りなす絶景を楽しむことができます。確か進行方向左側に座ると眺めがよかったはずです。信濃川は長野県内では千曲川(ちくまがわ)と呼ばれますが、なぜ千曲川が千曲川と呼ばれているのかがよく理解できる路線でした。千曲川というのは千回曲がると書きますが、つまりそれだけ蛇行しながら流れているということです。

右側の方に何か写り込んでいる。

 蛇行している川というのはカーブの外側に崖が、内側には河原が形成されますが、その自然地形を観察することもできました。都会の川だと岸が護岸で固められているので外側も内側もありませんが、田舎の川を見れば流水の働き、すなわち侵食・運搬・堆積の各作用がどのように作用しているのかを実感できます。「だから何だ」と思う人もいるかもしれませんが、教科書に書いてあることを実地で確かめるというのは楽しいものです。
 列車は山の中を進んでいき、戸狩野沢温泉に到着しました。ここで列車を乗り換え、さらに先へと進んでいきます。もちろんここでもローカル線恒例(?)の座席獲得競争が行われ、ぼくは無事に勝利をおさめました。そのあと列車はしなの鉄道の線路を通り、長野駅に到着。長野駅で出場するにはしなの鉄道の豊野~長野間の運賃260円の支払いが必要になります。長野駅では出場する人が多いようで、精算をする窓口には長蛇の列ができていました。
 ぼくは長野に用はないので、ここで篠ノ井線に乗り換えて松本へと向かいます。なお、長野に住んでいたことがある生徒に「長野駅って何かある?」と聞いてみたら「善光寺はありますけどぼくは嫌いです」と言っていました。まあ、小学5年生がお寺を好きで好きでたまらないというのはなかなか変わっているのでこの反応は自然なことでしょう。どうやら定期的にお父さんに連れて行かれていたらしく、あまりいい思い出がないようでした。
 同じような話は日光の修学旅行にも言えて、生徒に感想を聞いても東照宮とか輪王寺に触れる子はほとんどいません。だいたい「○○が障子を破いて怒られた」とか「風呂で泳いだら怒られた」とか「朝食がマズい」とか、そんなものです。そりゃ、小学生に神社仏閣を見せたって「きれいだな」と思うことはあってもそれで終わりでしょう。
 中3で行った奈良・京都も同じでした。なお、ぼくは極めて変人なので伊勢神宮には数十分しか滞在していないし、京都に行ったのに金閣にも銀閣にも清水寺にも行っていないし、奈良に行ったのに鹿せんべいは買っていません。伊勢神宮を眺めるなら各駅停車で旅をする方がいいし、京都に行くなら嵐山でトロッコに乗って川下りした方が楽しいし、奈良に行ったら桜井線の103系に乗ることの方が重要だからです。むしろ中学3年生としてはそちらの方が健全な気もします。仏像を眺めて「うーん、素晴らしい!」とか言っている中学生がいたら不気味じゃないですか?

姨捨からの絶景

 さて、また例によって話が脱線していますがここから先の区間もきわめて景色が良いことで有名です。特に有名なのは姨捨駅で、ここは日本三大車窓の一つに数えられています。駅のホームからは長野盆地が一望でき、しかもスイッチバックが行われている珍しい駅です。普通列車と特急列車の行き違いができる駅なので普通列車に乗っていると待ち時間に駅のホームに出てゆっくり景色を眺めることもできます。唯一惜しいのはここを通る列車のほとんどがロングシート車両であるという点です。何と、首を横に120度くらいひねらないと景色が見えません。ボックスシートがある車両でも、谷側がロングシートなのでイマイチ。そこで、席を確保したうえでこのあたりだけドアの横に立つのがいつものぼくの行動パターンです。長野で席を確保しておいて、姨捨の周辺だけ席を立って景色を眺め、また元の席に戻るようにすれば景色を楽しみながら席を確保することもできます。
 しかし、姨捨を出てもきれいな景色が広がっているのが篠ノ井線であり、姨捨の先は編成の最後尾に行くのがオススメです。ワンマン列車なら編成最後部の窓からきれいな写真を撮ることができます。普段とは違う角度から景色が見えて気分的にも新鮮です。ローカル線に乗るとわかってきますが、絶景とは飽きるもの。「また川かよ」「また山かよ」「あー、どこまで続くんだこの田んぼ」みたいになってくるので、たまには視点を変えて車窓を楽しんでみましょう。
 そうこうしているうちに電車は松本駅に到着。この駅は「まつもとー、まつもとー、まつもとー、終着松本です」と駅名を3回、語尾を伸ばして発音する昔のアナウンスが未だに残っている駅です。このアナウンスを聞くと「ああ、松本に来たなあ」という気分になります。鉄オタの生徒がいる授業で松本盆地が出てきた時にはこの話をしますが、鉄オタの中でも2割くらいの鉄分濃い目の生徒には通じます。では、鉄オタがいない授業では松本盆地は素通りなのかというともちろんそんなことはなくて、今年の夏期講習では「はい、ここ松本盆地ね」と言ったら生徒が「え、マツモトキヨシ?」と言ってきました。それに対するぼくの返事は「違うよ、富澤たけしだよ。」でした。まったく、この講師にこの生徒ありって感じですね。そんなことばかり言っているのになぜか生徒アンケートを見ると評価が高いので不思議なものです。

編成最後尾から撮影。

松本をウロウロ

 さて、松本では時間があるので駅前を散策することにします。何があるのか全く調べずに行きましたが、駅前の看板によると松本城と旧開智学校があるようなのでそこに行ってみることにしました。ぼくは別に城好きではありませんが、「国宝」と書いてあるので距離的にもちょうど良いし行ってみることにしたのです。どうやら駅前からバスが出ているようですが、歩けない距離ではないので歩いていくことにしました。模範的観光客の皆様は巡回バスのようなものに乗せられてドナドナされていきましたが、ぼくは暑い中荷物を背負って徒歩で行きます。歩いていく道のりも楽しいからです。15分くらい歩いたら松本城に到着。
 とりあえず城を外から眺め、中に入るか考えます。入館料が500円までなら入ろうと決めて調べてみると700円かかるとのことだったのでもちろん入館するのはやめました。700円あったら赤福氷を食べてお釣りが来ます。300円追加すればクラスJにも搭乗できます。そう考えると、ただの建物(国宝である時点でただの建物ではないのかもしれませんが)に入るのに700円はあまりにも高いだろうというわけです。30万円の株は平然と買うのに700円の入場料を惜しむあたり、だいぶ思考が投資家になっているというかだいぶ頭がおかしくなっているというか、なかなか変わった行動をしているという自覚はありますよ。ただ、周囲で株をやっている人間に聞いてみると大体みんな同じような思考回路をしているのでそういうものなのだと思います。
 さて、700円を節約することに成功したぼくは旧開智学校に行くべくさらに歩を進めます。標識に従って歩いていけば旧開智学校ですが、しかしなんと工事中。中に入れないということは入場料を節約できるということです。とにかく自分が価値を感じないものには金を払わないというところを徹底しています。なお、旧開智学校のすぐ隣には開智小学校があり、こちらは現役の小学校として活躍中です。校門には「旧開智学校ではありません。入らないでください」みたいな掲示がたくさんされていましたが、実際中に入ってくる人は多いのでしょう。

松本城。


 そういえば、🗼♨も、🗼に行きたい外国人観光客が近道だと思ってたまに敷地内に侵入していました。ちなみに芝生はとんでもない生き物で、外国人観光客に東京タワーへの行き方を聞かれて「I don't know.」って言ったり、「Sorry, I can't speark english.」って言ったりしていたのを思い出します。流暢な英語で「私は英語ができません」と言われた観光客のポカンとした顔は今でも忘れられません。ぼくが声をかけてしっかり案内しておきました。品川駅で道に迷っていたおそらくオーストラリアから来たと思しきお兄さんに声をかけたときは「おお、やっと英語が話せる日本人に出会えた」と感謝されましたが、そろそろ日本人も意識改革をした方がいいんじゃないでしょうか。ぼくは日本で英語を話すときには常に「I'll try.」と言うようにしています。そうすれば向こうはわかるように話してくれるし、聞き取ろうと頑張ってくれるし、大体「お前の英語、ふつうにわかるよ」と言ってくれるものです。
 また話が逸れていますが旧開智学校は要するに「特に何もない」と言って良いと思います。中に入ればまた何か違うのかもしれませんが、外から見る分にはちょっと古くて西洋風な建物が建っているだけでした。というわけで、さっさと松本城の方へ戻ります。入場料が高すぎるので中には入りませんが、この黒い壁を持つ城は眺めている分にはとてもカッコいいものです。いろいろな角度から城を眺め、いい時間になったので松本駅に戻ることにしました。

なんだこれ・・・。


 来た時とは別の道で駅まで戻っていると、途中に謎のカエルが現れました。芸大の学生が作ったそうですが、まあよくわからない感性の作品でした。松本とカエルの接点は謎だし、表情がこんなことになっているのも謎ですがどことなくかわいいような気がしなくもありません。天才の考えることとはよくわからないものです。
 ファミリーマートで180円のカフェラテを買い、中央本線の電車に乗り込みましたがこの話をしているとまた字数がとんでもないことになってしまうので今日はこのあたりで終わりにしておきます。このペースで行くと一日を記述するのに二日かかりますから、この旅行記は⑩まで完結しないことになりそうです。

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