見出し画像

【書評】キャリアづくりの教科書

表題の本を以前 shinyorke さんがご紹介されていたので、読んだ感想をまとめます。


キャリアに、地図を。

という書き出しにもあるように本書は、この変化の激しい時代のキャリア形成に対する指針を説いたものになっています。

対象読者

  • 今後のキャリア形成について不安を抱くすべての方にオススメです。年齢は問いません

概観

本書は大きく分けて5つのパートから構成されています。
第1パートでは現在の転職市場で起こっている変化について、第2パートでは自己分析について、第3パートでは市場価値について、第4パートでは実際に市場価値を上げる方法論、第5パートでは他者のキャリアを支援する方法について記述されています。

所感

本書では転職業界での共通認識を述べ、その共通認識を元にキャリア論を展開しています。

その共通認識の一つが、「35歳転職限界説」です。その言説に対して、本書では以下のように述べています。

一般的な区切りが「35歳」だというのは、転職市場では一定の事実と言っていいだろう。

35歳での転職が限界であると言っているわけではないですが、35歳を区切りに転職市場での見られ方は一変し、専門的なスキルやキャリアでしか評価されなくなるといった風に述べられています。

35歳というのは学部卒で入社した人からしたら13年、大学院卒で入社した人からしたら11年程経過した期間でしょう。新卒が一つのボーダーだとしたら、この35歳というのもまた一つ大きなボーダーとしてキャリアを設計する必要があります。

では、どのように35歳までに市場価値を高めたら良いのでしょう。

本書では、市場価値について、以下のように定式化されています。

市場価値 = 「希少性」 x 「市場性」 x 「再現性」

この3つの変数について、書籍内で重みづけがされていたわけではないですが、個人的には「市場性」 > 「希少性」 > 「再現性」の順で比重が大きいような気がしています。

まず市場性として市場規模や市場の成長性がその業界での上限値を決め、その次に希少性として業界でのスキルによる偏差値のようなもので給与レンジが割り当てられ、最後に再現性という係数が掛けられる、そんなイメージですね。

市場価値の中身がわかったところで、具体的にどうやって市場価値を上げていけば良いのでしょう。本書では20代、30代、40代に分けて解説しています。

まず20代では、自身の希少性となるスキルを1つでも持てるようにいわゆるT型人材の縦棒の部分の土台を形成できるように動くこと。
スキルの目安としては、そのスキル単体を用いて外部から継続的に一定の報酬を貰えるレベルであったり、上位10%に入る成果を出すレベルとされています。

次に30代では、20代で作ったスキルを縦に広げてI型にするか、横に広げてT型やH型に拡張するよう説かれています。
しかし、本書ではI型のキャリアは推奨されていません。なぜなら、典型的なI型である弁護士や会計士のような士業もそれ単体ではAIに代替されたり様々なリスクに晒される可能性があるからです。

最後に40代では、「自分自身の『高次』の言語化」と「自身固有の強みを活かす」という2点が重要だとされていました。

おわりに

まだギリギリ20代ではありますが「35歳」というのをターゲットにキャリアを再考できるきっかけとなる良書でした。

本書では「市場価値」以外にも自己分析の仕方や転職の仕方、他者の支援についても詳細に書かれていたので、それぞれ必要になったタイミングで読み返そうと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?