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誤った情報、嘘の情報。いわゆる「虚報」

その理由は、色々あるでしょう。
「誰かが誰かを陥れるために、あえて流す」
「限られた情報が、歪められて伝わってしまう」
「情報が錯綜し、変な形でつなぎ合ってしまう」


まるで『伝言ゲーム』です。

「情報」は、出し手と受け手により
成り立つものですから

「受け手が誤解してしまう」

という部分は、あり得ます。

本記事は「ウーブン・シティ中止?」という
『虚報』についてのお話。

トヨタグループがいま建設中の街、
『ウーブン・シティ』
静岡県の裾野市で、作られています↓

香川照之さんがCMの中で
アピールしていたので、
ご存知の方も多いのでは?

このウーブン・シティの建設が「中止」に
なったという情報が、2022年9月はじめに
SNS上などで駆け巡りました。

私は、疑問に思いました。
以前に、このウーブン・シティについて
記事を書いていたからです。

そこで、この中止になった、という情報の
元を探ってみますと、案の定、

ウーブン・シティの建設自体が中止
という情報はどこにもなく、
あくまで、「行政側」の裾野市が、
『次世代型近未来都市構想(SDCC構想)』
(スソノ・デジタル・クリエーティブ・シティ)
という構想をやめると発表した
、に過ぎなかった。

つまり、裾野市の「構想」が終わるだけで、
トヨタがウーブン・シティ建設を
中止するわけではなかったのです。

『…「シティ」というから、
行政側、裾野市がウーブン・シティを
つくっているんじゃないんですか?』

はい、全く、違います。

ウーブン・シティとは、あくまで
「トヨタが自社の工場の跡地に建設する
実験都市」
です。

トヨタが主体となってつくっている。
裾野市が主体では、ない。

(このあたりのことは
以前の記事で書きましたので
よろしければご参考に)↓

裾野市のウーブン・シティでは、ない。
トヨタの、ウーブン・シティなんです。


どうもこのあたりが誤解、虚報の元では…。
行政側が「SDCC構想」をやめる、
行政計画のひとつをやめる、と発表しただけで

ウーブン・シティが無くなるわけではない。

…私は、この「虚報」、怖いな、と思いました。
というのは、ここに「情報の受け手」の
リテラシーというか、断片的な誤解というか、
そういうものを感じたから。


もちろん私も全知全能ではない。
偏った情報で偏った解釈をしがちです。
ただ、以前に記事を書いたことで
ウーブン・シティについて
知識があったから違和感を感じただけで、

もしそれが無ければ無邪気に
「ウーブン・シティ中止?!」という
虚報を真に受けていたかもしれない…。

香川さんのスキャンダル報道も、
この虚報に拍車をかけたかもしれません。

◆香川照之さんCM降板
→トヨタ激怒
→香川さんがアピールしたウーブン・シティ
→トヨタが視聴者心理を慮って建設も中止

…という「大間違いの三段論法」が、
受け手側の脳内で起こった可能性がある。
「つながった、謎は全て解けた!」という誤解!
私は、とても怖い、と思います。
「情報の独り歩き」です。

もう少し、詳しく見ましょう。

『次世代型近未来都市構想(SDCC構想)』
(スソノ・デジタル・クリエーティブ・シティ)

とは、そもそも、いまの裾野市長が言い出した
構想ではない。

あくまで「前市長」が言い出したことで、
「現市長」の構想では、ない↓

(ここから引用)

『SDCCは、
人口減少と高齢化が進む地方都市の課題を解決し、
交通環境整備や農林業振興、
災害に強いまちづくりなどを目指す構想。

前市長の高村謙二氏が
2020年3月に発表した。


人工知能(AI)やドローン、
アプリに加え、自動運転技術や
水素エネルギーなどの利活用を掲げていた。

トヨタや東京大生産技術研究所が
アドバイザーを務め、
産学87団体が参画した。
市と43事業の実証実験に取り組んだが、

市長交代に伴い2年半で終了する。

当初は構想期間を15年前後としていた。

村田市長は2日の市議会
9月定例会の代表質問で
「まだまだ浸透していない用語が多く、
市民には分かりにくい内容だった。
今後はSDCC構想にとらわれず、
その時々に合った方法で
足元の課題を解決していく」と説明した。

市はビデオ会議システムや
キャッシュレス決済など、
現在の市民生活に直結する技術を
普及させながら、市役所業務のIT化を
進めて市民サービス向上と効率化につなげる。

ウーブン・シティの開設を見据え、
周辺地域の開発も進める。』

(引用終わり)

…ということです。
これをもって「ウーブン・シティ中止」と
いうのは、いささか短絡では?

あえて偽悪的な表現をしますと、

「トヨタがウーブン・シティを作ると言った。
2020年、前市長はそれに『のっかった』。
町が全面協力する構想を打ち出した。
2022年1月に市長選挙があり、市長が変わった。
前市長の構想を、いまの市長が
そのまま続ける筋合いはない。
市民にとっても、どうもわかりにくい。
二年ほど続け、一定の効果が出た。
前市長が始めた構想をやめる、と発表した」


…それだけのことでは?
市長が変われば、当然、市政も変わりますよ?
それが、ウーブン・シティ中止という
話にすりかわってしまった…。

最後に、まとめます。

この虚報からは、
いくつかの教訓が得られるように思います。

◆「スキャンダル・CM降板」の衝撃
◆「シティ」という言葉の魔力
◆「受け手側への周知徹底」の欠如

まず「香川さんのスキャンダル」と
「トヨタのCM」。これが結びついた問題↓

CM降板=計画中止。
インパクトのある情報が仇になった。
人間の頭というものは、詳細をすっ飛ばして
インパクトのある情報だけが残りやすい
ので、
この断片的なイメージが
「つながってしまった」のでは?

「シティ」という言葉も、逆効果でした
(良い悪いではなく、言葉の魔力として)。
これが「ウーブン・トヨタ・エリア」とでも
呼ばれていれば、裾野市全体ではなく、
あくまで「トヨタの敷地内」で建設している、
と正しく理解されたのでしょうけど、

「シティ」=街=裾野市全体
と誤解されている。

本当は、広い裾野市の、ごく一部なのに。

だから、裾野市主体の計画だと誤解されて、
裾野市が構想を中止、という発表が、即、
シティ自体を中止する、と誤解される…。

これらをまとめると、
「受け手側への周知徹底の欠如」
ということになろうかと思います。

(もちろん、行政側の協力がおおっぴらに
受けにくくなったことで、
トヨタ側の計画に
何らかの影響が出ることはあり得ます。
本記事自体もあくまで「限定された
執筆時点での情報」をつなぎ合わせて
書いてあることをご容赦ください)

以上、本記事では、
ウーブン・シティの話を元にして
「虚報」について書きました。

…読者の皆様自身の、SNS上での
「広報」「情報」は、いかがでしょう?
虚報を、生み出してはいませんか?

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