「地域おこし協力隊」制度:2022年の現在地
89人から6,015人、さらに一万人へ!?
寺田総務相は2022年9月の記者会見で
「地域おこし協力隊」の隊員数を
2026年度(令和八年度)には
「一万人」にすることを目指したい、
と表明しました↓
本記事は
「地域おこし協力隊」についてのお話。
そんなイメージをお持ちでしょうか?
ここはひとつ、この制度を主管する
総務省のホームページの
「地域おこし協力隊」の記述から、引用を↓
(ここから引用)
(引用終わり)
◆都市地域から過疎地域等へ
◆「地域協力活動」を行う
◆地域への定住・定着を図る
◆任期は1~3年
これが「地域おこし協力隊」の制度の骨子。
もう少し「活動内容」「お金」の話を
引用してみますと…。
(ここから引用)
(引用終わり)
ということです。
つまりは「募集する自治体による」ですね。
…ここから、読者の皆様も
何となく推測できると思うのですが、
地域や自治体、そこでの仕事は千差万別。
募集に応じて着任する隊員も、千差万別。
つまり、最適なマッチングにより
限られた任期内で素晴らしい活動を行い
その退任後も定住・定着して
「地域に欠かせない人材」になっていく!
そういうケースもあれば、
ミスマッチング、お互いに誤解・すれ違い、
もめにもめて、任期を全うできず
隊員にも地域にもダメージが残ってしまう…
そんなケースもあり得る、というわけです。
このあたりは、私企業の
採用や人材活用と同じです。
「組織」「人材」「地域」のマッチの問題。
では具体的に
何人の隊員が着任してきたのか?
どのくらいの自治体が
この制度を活用しているのか?
(データ元はこちらから)↓
https://www.soumu.go.jp/main_content/000799461.pdf
制度が始まったのは平成21年度、
2009年度のことです。
隊員数89人、全国で31団体でした。
これが令和3年度、2021年度になりますと、
隊員数6,015人、全国で1,085団体。
概数で行きますと、約10年の間に、
◎隊員数約100人→約6,000人(約60倍)
◎団体数約30団体→約1,000団体(約33倍)
に拡大している!という制度です。
2022年の日本の自治体(地方公共団体)数は、
1,700~1,800くらいです。
(どう定義するかで変わります)
そのうちの半分以上が
この制度を活用している、ということです。
いわゆる「過疎地」の町や村では、
今ではそのほとんどがこの制度を活用し、
隊員がいる、といってもいい。
さらに冒頭で述べたように、
これが四年後の2026年度には
「一万人」になる。今の二倍弱!です。
…私は、ちょっと、不安を思えます。
数が増えるのは、良い面も、悪い面もある。
総務省の記載にもあった
「隊員のサポート」は、ちゃんと
追いつくのでしょうか?
手段と目的がすり替わってしまい、
隊員にも地域にもダメージが残るような
ミスマッチングは増えたりしないのか?
(ここから引用)
(引用終わり)
…このようにご自身のブログで訴えかける
元地域おこし協力隊の方も、います
(2017年に書かれたブログ記事から引用)。
総務省の調査によると、
想定していたよりも早く退任した隊員数は、
2019~2020年の二年間で合計604名。
そのうちの106名が、
受け入れ地域・受け入れ自治体・隊員の
「三者のミスマッチ」が原因である、
と報告されています↓
もちろんその一方で、
隊員も、団体も、地域にも、
素晴らしい満足感のある成果を上げる。
そんなケースも、数多くあります。
総務省、各地方公共団体におかれては、
ぜひ、活動する「隊員数」だけではなく
「本当に地域おこしにつながっているの?」
「隊員の現場での活動は実際どう?」
「地域・団体・隊員、三者のマッチングは?」
ここをこそ充実させてほしいな、と
私は、思います。
最後に、まとめます。
これらの「課題」を踏まえ、
地域おこし協力隊では、新しい制度や役職が
新設されています。三つだけ挙げますと、
①は文字通り「おためし」。
住民との交流を含む体験プログラム。
二泊三日程度。
②は文字通り「インターン」。
二週間以上三ヵ月以下の期間で、
実際の仕事に従事できます。
③はいわゆる「橋渡し」の存在。
個々人の隊員と、運営側の町や村。
その隊員と組織の間を取り持つマネージャー。
中間管理職、クッション的な役割。
※詳細はこちらのレポートより↓
(…というか、2020・2021年度って
ごく最近なんですが、
それまでこういう制度や役職が無かった、
ということは、
『隊員ガチャ』『地域ガチャ』『役所ガチャ』
的なケースも、かなり多かったのでは…)
と、それはさておき、
試行錯誤の中で、この制度は
まさにいま、拡充している最中、なのです。
読者の皆様の町の
地域おこし協力隊の方は、いかがですか?