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「東京一極集中」いわゆる「東京一人勝ち」!
よく言われることですよね。

「地方には人が少ない…」
「おらこんな村いやだ…」

かなり昔から言われてきました。
「コロナ禍で地方が再び注目の的!」
「地方創生だ、まちの消滅を防げ!」

最近、言われていますよね。

人口移動には必ず理由があります。
もちろん要因は複雑ですが、
「全体としての大きな傾向と理由」はある。

本記事では「東京一極集中」について
歴史と地理の観点から書いてみます。

まず、東京、と一口に言っても広いので、
本記事で言う「東京」についての確認を。

東京都庁のあるところは、新宿です。
東京には、ご存知「二十三区」があります。
東京都、と言えば、奥多摩や小笠原諸島も含む。
東京圏、と言えば、神奈川や埼玉、千葉も含む。
これは「首都圏」と言いかえられることもある。

そう、私たちは漠然と「東京」と言われれば
「あのへん」をイメージします。
「東京一極集中」と言えば、
人口が東京の「あのへん」に集まるイメージ。

新宿「だけ」を思い浮かべるわけではない。
例えば新宿の会社に、埼玉県あたりから
通ってくる人も含んでいる、と思います。
ですので、本記事で言う「東京一極集中」は、
「東京圏」(=首都圏)を指す
ことにします。

では、この東京圏の人口はどれくらいでしょう?
アジアの都市圏で比較してみますと(2016年)。

◆東京圏(日本):約3800万人
◆ジャカルタ圏:約3100万人
◆デリー圏:約2600万人
◆ソウル圏:約2300万人
◆マニラ圏:約2300万人

インドネシアやインド、韓国、フィリピン、
そういった大都市圏よりも、多いんです。

国内で比較してみましょう。
日本には「八大都市圏」があります。
(ここでは東京都市圏=関東大都市圏)

◆関東大都市圏:約3800万人
◆近畿大都市圏:約1900万人
◆中京大都市圏:約940万人
◆北九州・福岡大都市圏:約550万人
◆静岡・浜松大都市圏:約280万人
◆札幌大都市圏:約260万人
◆仙台大都市圏:約230万人
◆広島大都市圏:約210万人

…うーん、圧倒的じゃないか!

なんとなく「三大都市圏+福岡のあたり」で
それなりに拮抗しているイメージが
あったかもしれませんが、
東京38:近畿19:中京9:福岡5
東京4:近畿2:中京1:福岡0.5くらい?
近畿・中京・福岡を合わせても、
東京都市圏の人口よりも少ない。
これがすなわち「東京一極集中」です。

では、なぜ、こんな状況になったのか?
歴史と地理から考えていきます。

まず、ぱっと思い浮かぶのは
「出稼ぎ」のイメージかもしれません。
貧しい「農村」から、豊かな「都会」へ!

朝ドラ『ひよっこ』では、
有村架純さん演じるヒロインが、
「金の卵」として、農村から都会に
「集団就職」で上京していきましたよね。

1950~60年代、高度経済成長、
1964年には「東京五輪」も開催されますが、
就職できる年代になった人たちが
東京などの都市圏に押し寄せてきた。

戦後まもなくの第一次ベビーブーム、
出生率4以上の「団塊の世代」の人たちが、
「農村では食っていけないから
都会に出て働こう(働かせよう)」と動いた。


(注:意外かもしれませんが戦争中は、
「農村の時代」「地方の時代」
です。
満州や北海道に「開拓」に出ていったように、
食料生産が重要でしたから。「疎開」もあった)

地理用語で言えば『太平洋ベルト』ですよね。

戦後日本の国是は『加工貿易』
資源を輸入し加工して、付加価値を付けて輸出。
〇〇工業地帯(地域)へと人口が集中していった…。

そこで都市圏にできたのが「ニュータウン」
新しい街。人がやってきたら住むところが必要。
都会の郊外に「団地」ができる。
「ドーナツ化現象」などが進みます。

ただ、ちょっと考えてみると。

この論理が通用するのは、
バブル経済期まで、ではないか?
それからは「失われた〇〇年」で景気も良くない。
「加工貿易」も海外に工場が移転していき
成り立たなくなっていったのでは…?
東京圏に来るメリットが薄れたのでは…?

それがそうでもないんです。その理由の一つが、
「情報の時代」になったから。

「企業の本社移転」から見ていきましょう。
地方で創業して、地方に本社があった企業が、
どんどん「東京」に本社を移した。

三和銀行(現・三菱UFJ銀行)、
住友銀行(現・三井住友銀行)、
丸紅、サントリー、ジャスコなど、大阪の大企業。
出光興産(北九州)、宇部興産(山口)、
カルビー(広島)、雪印乳業(札幌)、
久光製薬(佐賀)、タマホーム(福岡)、
エディオン(広島)、ニトリ(札幌)、
ベネッセ(岡山)など、地方の大企業。

関西由来の総合商社、
三菱商事、伊藤忠商事、住友商事、
丸紅、双日、兼松、トーメン(現・豊田通商)。
「全部」2010年までに、東京に本社を移転。

…当然、本社が移転すれば
そこで勤める人たちも転勤してきます。
勤めたいという人たちも、引き寄せられる。

1997年には「高層住居誘導地区」が決定され、
「建築基準法」の改正案も、成立しました。
これにより、いわゆる「タワマン」
建てることが可能になり「都心回帰」と言われた。
(それまでは超高層マンションは建てられなかった)
新しい「ニュータウン」とも言えます。

この本社移転には、情報や広報の価値の増大、
ビジネスの複雑化が、大きく関わっています。

東京に来れば、色々な企業があるんですよ。
マスコミ本社も多い。
コラボしやすい。情報も集まりやすい。
地方にいると流行から遅れ、孤立しがち…。
そう、不景気「だからこそ」企業は
「生き残りをかけて」東京に集まってきた!

「…ちょっと待ってくださいよ。
90年代は情報技術の発展の時代です、地方でも
情報が得られるようになった
じゃないですか!」

…確かにそうですが、逆説的に言いますと、
「オンラインが発展したから『こそ』
オフライン、対面の重要性が、より増した」

という側面もありますよね。
となればアイドルと同じで
「会いに行ける」場所のほうが強い。

「直接顔を合わす」ことで縁が深まるのは
SNSを運用している皆様には
実感されるところかな
、と思います。

最後にまとめます。

本記事では東京一極集中の状況と、
その理由を探ってみました。

…ただし、支柱が「一本」しかない構造は、
ぽっきりいったら、それきり。


支柱は、多いほうが、安定する。
近畿・中京・福岡など他の大都市圏はもとより
小さな都市圏、農村も含めて、
「その土地なり」の生き残りを模索する。

その土台として、遠回りに見えても、
東京一極集中の現状と理由をつかむのが、
「地方創生」の第一歩
だと、私は思うのです。
東京圏の人の大部分は地方出身、なのですから。

読者の皆様の舞台は、どうですか?
皆様自身は、いま、どこにいますか?

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