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『金持ち父さん貧乏父さん』と言えば、
ロバート・キヨサキさんが書いたシリーズで、
「お金」について赤裸々に書いた書籍です。

原題『Rich Dad Poor Dad
– What the Rich Teach Their Kids About Money
– That the Poor and Middle Class Do Not! 』
これが1作目で、1997年に世に出ました。

シリーズのうち
『Cashflow Quadrant:
Rich Dad's Guide to Financial Freedom』
(邦題では
『金持ち父さんのキャッシュフロー・クワドラント』
は、2000年に書かれ、日本でも2001年に出ています↓

キャッシュフロー・クワドラント。
直訳すれば「お金の流れの四象限」

キヨサキさんは、この著書の中で
四つの象限を明示して、
どの象限が「金持ち父さん」になり、
どの象限が「貧乏父さん」になるのかを
はっきり書いています。

本記事では、この四象限モデルを分析し
それに対する考え方を書いてみました。

≪「キャッシュフロー・クワドラント」≫

そのテーマは「お金の流れ」です。
クワドラント=四象限。
要約すると、次の四象限に分かれる、と言います。

◆E:Employee(労働者)
◆S:Self employee(自営業者)
◆B:Business owner(ビジネスオーナー)
◆I:Investor(投資家)

◆E:労働力を売る・意思決定権なし
◆S:労働力を売る・意思決定権あり
◆B:仕組みを作る・意思決定権あり
◆I:他人を利用・意思決定権あり

そのように分けた上で、E・Sではなく、
B・Iを目指そう!という主張が展開されます。

この本は、多くの読者に多大な影響を与えました。
「お金の流れ、そうだったのか!」
「これまでの認識、うそだったのか!」
そのような大きな衝撃を受け、
「働かなくても自動的に生み出される収入」
(権利収入)を得るべく、
「俺はビジネスオーナー王・投資王になる!」
とばかりに、この象限を目指す人が増えていく…。

そのあまりに新鮮で刺激的な内容ゆえに、
ネットワークビジネスなどに「洗脳」するために
この書籍が用いられているのではないか…
と言われるほどです。

本記事では、良い悪いは、言いません。
あくまで、読者がどうとらえるか、ですから。
キヨサキさんは「お金の流れ」が持っている
ある意味、冷徹で赤裸々な事実を述べています。

このモデルは、
「お金の流れ」のモデルであるがゆえに、
「排他的なクワドラント」とも言えるでしょう。

つまり、E(労働者)や、S(自営業者)と、
B(ビジネスオーナー)や、I(投資家)との間には
厳然たる「壁」「違い」があるのだ、と。
「あなたとは違うんです」的な。

「お金」ですから、
ないよりもあるほうが、いい。

その考えに基づいているために、
この象限分けには明確な価値判断があります。
貧乏なE・Sより、金持ちのB・Iが「良い」!
それを主張するための、モデルです。

≪『ジッグラト・スペアリブ』モデル≫

これに対して、私が提案している
『ジッグラト・スペアリブ』モデルは?

このモデルでも、四象限に分けています。
『キャッシュフロー・クワドラント』と同じなのか?

違います。

なぜなら「お金の流れ」ではなく
「立ち位置」を示すモデルだから。
立ち位置に、絶対的な良い悪いはない。
どの象限にも良い面と悪い面があり、
それを客観的に把握していこう、と促すモデルです。

モデルの概要は、次の通り。

◆ジッグラト=ジグソー/ピラミッド
◆スペアリブ=スペア/アドリブ

縦軸はジッグラト、ジグソーかピラミッドか、
横軸はスペアリブ、スペアかアドリブか、
これで四つの象限に分ける。

◆ジグソー=平等的、流動的、柔軟的な環境
◆ピラミッド=序列的、階層的、固定的な環境
◆スペア=代替できる、標準化された仕事
◆アドリブ=即興で対応する、属人的な仕事

こう考えると次の四つの象限が生まれます。

①ジグソーでスペア(柔軟な環境・標準化の仕事)
②ジグソーでアドリブ(柔軟な環境・属人的な仕事)
③ピラミッドでアドリブ(固定の環境・属人的な仕事)
④ピラミッドでスペア(固定の環境・標準化の仕事)

これらの間に、優劣はない。
いわばそれぞれの世界(ワールド)があり、
それらが共存している、と言えます。
「③④はダメ! ①②に行こう!」では、ない。

改めて、この二つのモデルの違いを書き出すと。

◎「キャッシュフロー・クワドラント」
テーマ:お金の流れ
価値判断:あり
性質:排他的な四象限

◎『ジッグラト・スペアリブ』モデル
テーマ:立ち位置
価値判断:なし
性質:共存的な四象限

まとめていきます。

「お金の流れ」をモデル化すると、
そこには冷徹な現実が浮かび上がります。
なぜ貧乏なのか? なぜ金持ちなのか?
その理由を「明確に」解き明かすがゆえに、
『金持ち父さん貧乏父さん』シリーズは
ベストセラーになったのでしょう。

ただ、その斬れ味がゆえに、
「洗脳」などに使われやすいのも事実です。

洗脳、つまり人に「ある価値観こそ絶対だ」と
「思い込ませる」ためには、
「絶対悪」と「絶対善」とに世界を「分断」し、
絶対善の象限に行くにはどうする?
どうやれば救われるのか?
と、突き詰める手法がよく使われます。


そういう危うさがあるのではないか?

「お金の流れ」という明確で冷徹で
分かりやすいワンテーマのモデルだからこそ、
極端な結論が導き出されやすい

(補足しておきますが、
それが悪いと言っているわけではありません。
ただ、そういう性質を含んでいる、
ということが言いたいのです)。

『ジッグラト・スペアリブ』モデルは、
あえて、もう少し複雑にしています。
「立ち位置」ですから。
その捉え方から、千差万別です。

どれがジグソーでどれがピラミッドか?
どれがスペアでどれがアドリブか?
主観的な「その人次第」の分別です。

当然、斬れ味は「なまくら」。
フィーリング次第ですから。
複数の象限に立ち位置を置くのも問題なし。

ただ、だからこそ「お金」だけでなく、
「生き甲斐」「キャリア」のような
複雑なものをも表現できるモデル
では
ないか、と思っています。

それぞれの世界、他人の立ち位置、
そういったものを「排他」「排撃」ではなく、
リスペクトして「理解」「想像」するために
役立つのではないかと…。

以上、本記事では
鋭すぎるモデルの利点と欠点、
あいまいなモデルの利点と欠点を、
◎「キャッシュフロー・クワドラント」
◎『ジッグラト・スペアリブ』モデル
この二つのモデルを対比する形で
考えてみました。

◆鋭すぎるモデル(排他的)
利点:わかりやすい
欠点:悪用されやすい

◆あいまいなモデル(共存的)
利点:悪用されにくい
欠点:わかりにくい

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