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地中海に「メノルカ島」という島があります。
スペインのバレアレス諸島州の島のひとつ。
フランスの南、スペインの東部のあたり。

古代には「石をうまく投げる人たち」を
たくさん輩出したということで、
カエサル(シーザー)の『ガリア戦記』
にもその記載がある島々の一つです。

さて十八世紀半ばのこと。
当時はイギリス領だったこの島を、
フランス軍が攻撃しました。
その際、島にある港町「マオン」を訪れた
司令官のリシュリュー公爵
(『三銃士』のリシュリューとは別人)は、
料理店で、あるソースに出会います。
卵と油とレモン果汁で作られた、
どろっとしたソースでした。

「こ、これは美味い! う、ま、い、ぞ~!」

公爵は、フランス本国に帰った後、これを
「マオンのソース」として紹介し、
フランス料理界に広めた、と言います。
人呼んで「Mahonnaise(マオンネーズ)」。
これがいつしか
「Mayonnaise(マヨネーズ)」と呼ばれて、
世界中に広まっていきました。

以上がマヨネーズの起源のお話(諸説あり)。
キユーピーのホームページを参考に、
ちょっと脚色して書いてみたところです
(公爵がマンガ『ミスター味っ子』の
味皇みたいになっていますが)。

ちなみに日本で初めて
キユーピーマヨネーズが売り出されたのは
1925年(大正十四年)だそうです。
今から約百年前のこと、ですね。
「マヨネーズ」という言葉すら知られていない
当時は、何と整髪料と間違えられたことも
あったそうですが、徐々に受け入れられて、
1941年(昭和十六年)には
約五百トンも出荷されるようになりました。

キユーピーマヨネーズは
卵黄タイプで、クセの無い植物油と米酢を
使っているため、和食にもよく合います
(世界的には白身も使った全卵が多いです)。
「本場」ヨーロッパのマヨネーズとは、
風味がかなり違うんですね。

そのため、日本で言う「マヨラー」
いわゆる「マヨネーズ愛好家」の存在は
ヨーロッパの人にとっては
あまり理解されないそうです。しかし、
日本式のマヨネーズを味わってみると、
「なるほど、これはやみつきになるわ…」と
納得されるとのこと。

さて、この日本式のマヨネーズなのですが。

「ツナ」と掛け合わされて、
「コンビニおにぎり」に採用されたことで、
さらに普及していくことになります。
…ご存知、「ツナマヨ」ですね。

私はかねがね、ツナマヨを発想した人は
天才じゃないかしら、
と思っていたのですが、調べてみると…

なんと「小学生」(当時)とのこと。
セブンイレブンの開発関連の担当者の
お子さんだったそうで、
いわゆる「マヨラー」の子だったそう。
この子が、白飯にツナとマヨネーズをかけて
美味しそうに食べているのを見た担当者。
試しに自分でも作って食べてみると、
これがまた、美味い!美味すぎる! そこで
「おにぎりの具」として採用され販売された、
というエピソードがあるそうなのです。

これが1983年(昭和五十八年)のこと。
それから、約四十年。

今ではコンビニおにぎりも進化を遂げ、
様々なバリエーションがありますが、
不動の王者は、今でも「ツナマヨ」です。
いかに、ツナとマヨの組み合わせが
日本人の味覚に合っていたか、の証拠ですね。
(そう言えばマンガ『美味しんぼ』三巻でも、
山岡さんがカツオの刺身の醤油に
マヨネーズをかけて食べて
海原雄山から一本取っていました)。

では、まとめましょう(おにぎりだけに)。

地中海の小島から生まれた、マヨネーズ。
それが極東の日本まではるばるやってきて、
ツナと出会い、「ツナマヨ」へと進化し、
今でもコンビニで、売れに売れています。

卵、油、酢。さらに魚。そして米。

単独だと何の変哲もない具材たちが、
土地の風土と風味に合うように改良され、
混ぜ合わせ、掛け合わされる
ことにより、
「ツナマヨおにぎり」という
絶妙の味わいを醸し出している…!

私はここに、歴史と地理が生んだ、
奇跡のコラボレーションを感じるのです。

さて、読者の皆様におかれましては、
どんなコンビニおにぎりが好きですか?

読者の皆様の組織では、
どんな能力を混ぜ合わせ、掛け合わせて、
コンビの、トリオの、カルテットの
妙味を引き出していますか?
「ツナマヨ」のような、
最強の組み合わせの方たちは、いますか?

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