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『駆込み訴え』風、超訳「未来人材ビジョン」

申し上げます。申し上げます。旦那さま。
この国は、酷い。このままではうまくいかねえ。

はい、はい。落ちついて申し上げます。

≪1.問題意識≫

いまやデジタル技術は、外せねえ。
脱炭素も、一気に世界的潮流だ。
AIやロボットの影響で、
この国は働く市場が両極端になっている…。

将来なんて誰にもわからねえ。
もう一度、スキルを身につけたりして、
AIやロボットと共にやっていかなきゃいけねえ。
働く人は減っている。
外国人労働者も、減っている。
この国は、高度外国人からも選ばれてねえ!

この国の社会システム全体を
見直さなきゃあならねえ。
雇用・人材育成と教育システムとを
一体的に議論しなきゃあいけない。

そんな時、企業ができることは?

≪2.労働需要の推計≫

企業には、人材が集まる。
「これから求められる人材像」は何か?
基礎能力や高度な専門知識?
そんなもんだけじゃ、やっていけねえんだ!

ゼロからイチを生み出す力。
一つのことを掘り下げる力。
世界的社会課題の解決意欲。
多様性を受容し協働する力。

…そういう根源的なものこそが必要では。
「問題発見力」「的確な予測」「革新性」
こういうものこそが必要!

はい、落ち着いて申し上げます。

2050年の高成長シナリオにおいては、
事務、販売などの職種の需要が、減っていく。
その分、情報処理や開発製造が、増える。

現在の職種のバランスが変わり、
大きなインパクトで、変化する。
この変化に今のまま対応できるとお思いで?
へっ、できはしねえよ。
一人ひとりが新たな能力を身につけねえと…。

≪3.雇用・人材育成≫

そもそも1990年代以降、
「日本型雇用システム」を変えようと
色々と模索されてきたでしょう?
でも、働き手と組織は、この30年で
変わってきましたかね?

従業員の会社に対する共感と貢献意欲は、
世界全体でみて最低水準だ。
「現在の勤務先で働き続けたい」と
考える人は少ない。
「転職や起業」も少ない。
転職は、賃金増加につながらねえ…。

半数近くのITエンジニアは、
技術やスキルの陳腐化に不安を持っている。
それなのに、
企業は人に投資せず、個人も学ばねえんです。

人材の競争力が下がっている。
留学は、減っている。
多様性はイノベーションに不可欠でしょう?
なのに、経営者は「生え抜き」が多く、
役員・管理職に占める女性比率も、低い。

…国際競争力? ははは、この30年で
1位から、31位にまで落ちておりますよ。

雇用システムと採用戦略をどうにかしねえと
もう、この国はやっていけねえんです。

そもそも、人事戦略が
経営戦略に紐付いてない。
人を中心に据えた経営。
働き手と組織の関係は、
「閉鎖的」な関係から「選び、選ばれる」関係へ
変化していくべきなんです。

「人的資本経営」の変革を通じて、
個人の能力が発揮されるようにならなきゃ!

キャリアや人生設計の複線化を当たり前にして、
多様な人材が、各々の持ち場で活躍。
そうなれば「失敗してもやり直せる社会」へと、
転換していくのでは?

…新卒一括採用、やってますよね。
でもね、大企業では新卒一括採用だけでなく、
多様化や複線化が進みつつあるんです。
インターンシップの重要性も、増している。

外国人?
3割の外国人材が1年以内の離職を経験済。
地域?
4割の地域の有力企業では、
専任の人事・採用担当者がいないんです。

2050年には、きっと、
価値や働くことのあり方が変わるでしょう。
「働くこと」とは何か、「組織」とは何か、
根本から、見直されていく。

こんな未来への備えとして、
働き手が、自分で何とかしなきゃ。

≪4.教育≫

旦那さま、旦那さま、
これからこの国が、他の国と立派に肩を接して
立ち並ぶ光景を、よく見ておいて下さいまし。

これからの教育では、

◆『好きなことにのめり込む』
◆『豊かな発想や専門性を身に付ける』
◆『多様な他者と協働する』
◆『新たな価値やビジョンを創造する』
◆『課題に「新しい解」を生み出す』

こんな人材が育たなきゃ、いけません。

ええ、もちろん、子どもたちは優秀。
15歳の数学的・科学的リテラシーはトップレベル。
でもね、「数学や理科を使う職業につきたい」
そう思う子どもが少ない。
なぜか?
「科学の楽しさを感じる」機会が少ないから?
18歳の「社会への当事者意識」も低い。

へっへっへ、どうです、これが実態。
学校教育がこれまでに「目指してきた理想」と
「今の現実」、この差をどう埋めましょう?


例えば、デジタルを活かすことで、
誰であってもどこにいても課題に向き合い、
「探究学習」を始められる環境が必要ですな。

えっ、そんなのやっている時間がない?
もちろん、人間、一人ひとり違いますから、
学習進捗や学習スタイルは異なります。
でも、AI教材を活用することで効率化し、
探究学習の時間を捻出することはできます。

一律・一斉で画一的な知識を
詰め込めばいいって時代じゃない!
「目指す社会に向けて何を実現すべきか」
そんなゴールを一人ひとりが考える時代。

そんな改革が、教員にできるのか?

そもそも今まで教員には、
探究や研究を指導する役割は
期待されてこなかった。
ですから学校だけに求めるのは酷です。
「学校の外」で多様な才能を開花させる
「第三の場所」をこそ、広げるべき。

①「知識」の習得
②「探究(知恵)力」の鍛錬

2つの間をらせん状に循環しながら、
自らの能力・スキルを高めていく。

「知識」の習得では、デジタルを基盤に。
企業や大学等のプログラムを共通の知として整備し、
自分に最も適したな学びを実現する。
「探究力」の鍛錬では、課題の当事者として。
課題の構造を見極めながら、
知恵を集め、異なる他者と対話していく。
そんな「協働的な学び」が行われるべきです。

スタートアップの知見や、
大学院教育を受けた博士人材も、活用したい。
大学と実業の双方で協働するのも良いのでは?

おっと、子どもたちだけでなく
大人たち、社会人こそが率先して、
学校に入り直し、学び直せることも重要。


こういう変革は教育機関だけじゃ無理。
教員への負担が多いから…。
だから企業こそが、教育に主体的に参画して、
「あるべき姿」へと変革していくべき。

教育は、すぐには変わりません。
枠組みを変えるには、もうこの
2020年代前半に、大きな変化を起こす必要がある。
残り時間は、あと数年!

一人ひとりは多様です。
これを前提に組み合わせの自由度を高める。
教育システム改革に今から着手しなきゃ、
間に合いっこありませんぜ、旦那。

≪5.結語≫

…この私の提言が、
組織内の雇用制度や業界の人材育成の議論に
一石を投じることになればいいんですがね。

はい、はい。申しおくれました。
この国の名前は、日本。
私の名前は、へっへ。未来人材会議。

※本記事は経済産業省の「未来人材会議」の
令和4年5月『未来人材ビジョン』を
太宰治の『駆込み訴え』風に超訳したものです。

【未来人材ビジョン】https://www.meti.go.jp/press/2022/05/20220531001/20220531001-1.pdf

【駆込み訴え】↓

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