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扇状の地形と書いて「扇状地」(せんじょうち)!
そのものずばりのネーミング。
よく盆地にあるような地形です。

「おうぎを広げたような地形」です。
扇の要は狭くて、扇の端は広がっている。

どうやってできるのか?

山から平野に出たところまで来ると
川の流れが急にゆるやかになりますよね。
となると、それまで急な流れで
運ばれてきた砂や礫(つぶて)が、
運ばれなくなって、堆積していきます。

昔は、川に人工堤防などありませんでしたから、
氾濫するたびに、川の流れがころころ変わる。
こうして、色んなところに
砂や礫がたまった地形が広がっていきます。
ですが、山から平野に出る入り口の地点は
「扇の要」として変わりませんから、
そこを角にして、砂礫がたまった地形が
扇形に広がっていく
、というわけです。

本記事では、この「扇状地」の例えを
「心の地形」にあてはめて、考えてみましょう。

扇状地は、上述したように、
山から流れてきた川が
砂礫を運んできてできた地形です。
したがって、とても「水はけが良い」

では、山から出てきた川はどうなるのかというと、
「水無川」と言って、地下に潜った川になったり
「伏流水」と言って、地下水になったりします。
そして、扇状地の端っこ、扇端で地上に出てきて
「湧水」、湧き水として出てきたりします。

…人間の心の中、扇状地の「感情」も、
この「見えない川」と同じではないでしょうか?

もし、感情のすべてがそのまま表現されて、
むき出しのまま人間社会ができていたら、
もう、この世はしっちゃかめっちゃかですよね。
洪水頻発、とても危険な生活になります。

「あいつ、ムカつくわ~」
「ふざけんな、あのやろう!」

そんな負の感情までそのまま現わしていては、
万人の万人に対する闘争状態、本能むき出し、
みんなが喧嘩上等の、恐ろしい世界になります。

でも現実社会は、そうではない、ですよね。

みんな、喜怒哀楽をそのまま全部、
表現することは、していません。
心の中に、地下水として流して、
表面には全部は出していません。

もちろん、人によって違いはありますが、
「感情を押し殺して」過ごすことも、多々ある。

どこか「扇状地の見えない川」「伏流水」に
似ていないでしょうか?

ただ、扇状地の端になると、
この川は「湧水」として湧き出します。
人間の感情も、無くなったわけではない。
どこかで「湧水」として、湧き出している。

その湧き出し方、湧き出させ方こそを
どうやってうまく行うかが
現代人の悩みどころ
、だと思うのです。

いまは情報爆発の時代、ですよね。

知らぬが仏で、知らなければ
生まれなかった感情も、
否が応でも生まれてきてしまう時代です。

ましてや「良い情報」よりも
「悪い情報」「憤るようなひどい情報」が
世の中に出てきやすい情報空間があります。
そのため、負の感情というどろどろした水も
つい心に生じてしまいがち、なのです。

「いや、私はうまく『昇華』できてますよ?」

そう言えるあなたは、本当に素晴らしい。
うまく、自分の負の感情をコントロール
できていると思います。
…しかし、世の中は必ずしも
そういう人ばかりではない、とも思うのです。

無表情で水無川みたいな隣の人が、
実は心の中では激情の洪水を秘めている…。
いつも明るいあの人の、
心の中はどろどろした伏流水で満タン…。

…そういうことも、あるのでは?
そういうことを「想像」できているのか?

人によって、自分の感情を
すぐ地表に出すか、それとも潜行させるか、
これは千差万別です。だからこそ、
周りの人が、それを「想像」し、
いざという時には対処しなければならない。
これを、忘れてはいけないと思うのです。
人間、誰しも、一人ひとり、
心があるのですから。


ここまで、扇状地の水無川・伏流水を、
人間の「秘めた感情」にかこつけて
書いてみました。
最後に、まとめていきましょう。

扇状地においては、
水はけのよい土壌、地下に流れる水を
うまく「利活用」しています。

水はけが良いので「水田」は作りにくい。
ですので、例えば「果樹園」として活用され、
美味しいりんごや桃などが作られています。

そう、「水田」を作れない分、
果物という「美味しい果実」を
作ることができる
のです。
感情が出せないことを嘆くのではなく、
その地形をうまく利活用し、
誰かに味わってもらう「果物」の形にして、
うまく昇華し、
消化してもらうことが可能なのです。

例えば、SNSの投稿。
もちろん負の感情をそのまま投稿したら、
許されざる誹謗中傷、
心を傷つけるジャックナイフになりますが、

ちょっといったん深呼吸し、
「なぜ自分がそう思ったのか」
「その感情を人の心を想像するための
教訓として活かすことはできないか」
そのように正の感情へと転化することで、
皆が味わえる美味しい果物へと
変えられると思います。

もちろんこれは、何でも甘々にして、
糖分100%の投稿にしろ、という
わけではありませんので補足しておきます。
「少し」苦味があったほうが、
奥深い味わいになりますので…。

また、扇状地の真ん中(扇央)においては、
「井戸」を掘ることで、地下の水を
活用することもできます。
そうすることで、川がない場所でも
人間は生活することができます。

この井戸を、自発的、
あるいは他者の力を借りて
うまく掘っていってはどうでしょう?

つまり、うまく「感情」を
小分けにして、地表に出す工夫をするのです。

家族や友人、同僚にちょっとした感情を
(もちろん相手が嫌な気持ちにならないように)
吐露してみるのもいいでしょう。
カウンセリングをうまく活用するのもあり。
相手がいなければ、日記をつけたり、
SNSなどで小分けにして投稿するのもあり。

そのようなことを日常的に行うことで、
いざ「水不足」の際にも
すぐに補充することができます。
「洪水」にも、対処できます。
つまり、感情のコントロールが
しやすくなるのだ、と思います。

扇状地では、その地形の形成過程から、
「土砂災害」「洪水」の危険性を
常にはらんでいます。

同様に、人間の心も、
うまく水利をコントロールしておかないと
「土砂災害」「洪水」の危険性を
常にはらんでいる
と思います。

読者の皆様は、いかがでしょう?
また、読者の皆様の周りの方はどうですか?
感情を地下にためこみすぎて、
堤防が決壊、洪水の危険性がありそうな
人はいないでしょうか?

人は誰でも心の中に
「扇状地」を持っている…。
そのつもりで「想像」して
有事に備えることもまた、必要かと思います。

…え? そういうお前はどのように
コントロールしているのか、ですって?

このようにリンクトインなどSNSで
投稿していく中で、うまく自分の
「井戸」を掘っている、つもりです。
あと、やさぐれた時には、
美味しい(ちょっとお高めの)果物を買い、
フルーツポンチで心を潤しています。

皆様は、どうやって
自分の伏流水を表現していますか?
心の扇状地を、潤していますか?

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