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「140字・20秒の恋歌:㉕失われた右手は、月夜に生まれる」

何かがずっと、ちがうちがうと叫んでいた。
私は声を聴かないふりで夜を乗り越えた。
聞かないほうが、楽だと思ったから。
聞かずに走っていけると思ったから。
声が私を損なうまで、耳を夜に預けてしまっていた。

月が昇り、私は気がつく。
隣に立つきみの影が、月夜に私の手を握っている。

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