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「俺の上に、鋭利なちくわを。永遠の休息を」ヒスイの毎週ショートショートnote

あの日、おでん屋に入ったのがいけなかった。
ちくわと大根を頼んでから2分後に、地獄が始まった。

冗談じゃないんだ。この国の上で異様な爆弾が爆発して、国民はほぼ死滅した。俺が生き伸びたのは、おでん屋のおやじが俺にかみついたからだ。
血が出た。思わずちくわをつかんだ。

何か、すごく大切なものが俺の中から消え失せた。

おやじはニヤリと笑い、
「我が眷属よ、生きよ」と言った。
おやじの胸には、窓枠が杭のように刺さっていた。
次の瞬間、砂となって消え失せた。

そして世界は、第三次大戦に突入。
最新兵器はどんどん人を殺していった。
そう、『人』は死んだ。
俺は死なない。
なぜなら俺は『人』でなくなっていたから。

誰が信じる?おでん屋のおやじが吸血鬼だなんて。

そしていま、俺は干からびて尖ったちくわを胸の上で撫でている。
地上にはもう、誰も残っていないようだが――だが、俺は信じている。
誰かがきっと来てくれるって。

それはきみでもいいんだぜ?

俺の胸に、鋭利なちくわを。
永遠の休息を。

『了(改行含めず422字)』


本日は、 たらはかに さんの #毎週ショートショートnote  に参加しています。
お題は「鋭利なちくわ」

相方ヘイちゃんは、おでん種を使いこなしてます!

ちくわとはんぺん。どっちも食べたい♡

明日はシロクマ文芸部でお会いしましょう。

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