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「セーヌの流れと寝息で、人生が決まりました(笑)」ヒスイと映画

今日は「人生が決まる瞬間に立ち会う映画って、あるな」というお話です。


映画「アダマン号に乗って」を見た時に、ヒスイの人生は変わりました。


アダマン号とは、フランス、パリのセーヌ川につないである木造船です。
ここが精神疾患のある人のためのデイケアセンターになっていてます。

冒頭のシーン。
とんとんとん、という川の音につながるように、
たくさんある船の窓がひとつずつあけられていきます。
(うろ覚えです、ちがってたらごめんなさい)

そしてひとりずつ、デイケアセンターの利用者があつまってくる。
川岸と船をつなぐタラップを歩いて、船に入っていく。
そして絵を描いたり、コーヒーを淹れたりと、さまざまなワークショップで1日を過ごします。

この映画の良さは、セーヌ川とおなじゆっくりしたテンポにある、と思う。
アダマン号は結構大きな船で。
でも、ちゃんとつながれているので、流れてしまうことはありません。

それはまるで、
ココロのバランスをちょっと見失ってしまった人たちを
しっかりとつなぎとめているような感じです。

アダマン号の堅牢さと同じく、
デイケアセンターのスタッフも、利用者さんと適切な距離を守り、
助けるところは助け
ノン!という所では、キチンと理由を説明しながらも断固とした態度を貫く。

姿勢にブレがないから、利用者さんも説明を聞いて納得できるんだろうなと
見ながら思ったものです。

何人もの利用者さんがでてきて、
かたって、
歌ったり、
絵を描いたり。

さまざまな場面を、セーヌ川のゆるやかな流れが
ひっそりと抱き取っていく。

こんなデイケアセンターがあったら、
バランスを崩した自分とも、いいかんじに付き合いなおせるんだろうなって
ふと、思いました。


この映画、そもそも、見たい!と言い出したのは
同居人のケロリン。
ヒスイは付き合って見たのですが、
非常に良かった。
ココロを洗われるような気分になる、というのは、まさにこのことで。
ドキュメンタリー映画としては
非常に出来のよい、爽快な作品でした。


ゆるやかなセーヌの流れ。
無理のない人の付き合い方。
とんとんとん、と木造船が揺れる時に出す音…と連動して聞こえる、おだやかな息。

・・・・・・ああ? おだやかな息??
映画もラストちかく、ふと見ると、となりでケロが変な声を出しました。

「フンがっ!?」
みたいなやつ。
横を見ると、ケロリンが愕然としている。

「なによ、ケロ?」
「ヒスイ……この映画、まさか、もう終わり?」
「そうだよ。100分近く見てるもん。もう終わりでしょ」
「まじかよ……おれ、最初の窓が開くシーン以降、記憶がねえわ」

は?

「信じられねー、寝てたわー。ヒスイ、おまえこの映画、これからもう一回、見る気はないか?」
「ないよ。一人で見れば?」
「つめてーオンナだな」

寝てる方が悪いんだろが(笑)!
映画館を出るまで、ケロは未練がましく、ずっと、
「なあ、もう一回見ようや」と、言い続けていました。

それを聞きながら、
耳の底にずっと、セーヌ川に浮かぶ船の音が、聞こえ続けていました。

とんとんとん、すやすやすや(笑)。

その瞬間、こういう音を聴きつづける人生も、悪くないなと、思ったのでした。
ヒスイの人生は、セーヌ川とアダマン号と、ケロの寝息で決まりました(笑)


そんなかんじです。



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だんだん、ペースが戻って来たかな、というかんじ。
もうちょっと続けますね!


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