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「一方向から見るな。世界は多面体だ」ヒスイのささやかな感想文

今日は、ちょっとした本の感想を。

学生時代に読んだときと、また違う感想が出てくる。のが
本を読む楽しさかも。


『ピカソとの日々』フランソワーズ・ジロー/カールトン・レイク


ピカソの愛人だったフランソワーズ・ジローが、作家と共著で出した自叙伝風のもの。

ノンフィクション、と書いてある書評、感想コラムが多いのですが
語り手はジローひとりだし
ピカソはこの本の出版後、怒りくるい、
何度も出版差し止めをしよう、と行動していることを考えると
ノンフィクションとは、いいがたい、と思う(笑)。

内容の正確さ、というのは
「自叙伝ふう」である以上は
どうにもできない。

第三者が、複数の一次資料をあたって、事実を突き止めたものではないから
すべての文章に、ジローのフィルターがかかっている。

それが
学生時代には、わからなかった。

ただ、『ピカソってかっこいいジイさんだー!』
『フランソワーズ、美人だったのねー』
と思っただけ。

それが、今読み直すと
ジローの、非常に巧みな作為性に、目を見張る。

作中で書かれているジローとピカソ、ふたりきりの会話は
内容を割り引いて読まなきゃだめだ。
それが本当かどうか、誰にもわからないから。
重要なのは、
ジローの語りから浮かび上がってくる、ピカソの行動。

わがままな男だったかもしれないし
女にとっては非常に威圧的だったかもしれないけれど

ピカソはジローの前に、ドラ・マールというアーティストと8年もつきあい、(超有名作「泣く女」のモデルになった女性)

別れた後も未練っぽく(笑)
何度も何度も、ジローを連れて、元カノ、ドラに会いに行っている(笑)
しまいには、ジローを連れてドラの自宅にまで押し掛ける始末。
これ、けっこうなストーカー行為よ(笑)?


ジローと10年暮らし、2人の子供が生まれた後も
結婚せず、
子供を法的に認知せず、
最終的に、ジローのあとに知り合ったジャクリーヌ・ロックと再婚した。
(これは、ジローと暮らしている間は前妻と法的に離婚できなかったから、という理由もあります)。

これが「事実」で
女としてはまあ、
ストレートに腹が立つ男だと思う(笑)

でもそれが、ジローの「自叙伝ふう ノンフィクション」にかかると
非常に美しい恋物語に変わる。

自叙伝を読むとは
つねに書き手の偏向性を、意識していなければ
まんまと、誘導される
ということだ。


今日は
自分に対する戒めとして(笑)

何を書く時も
一方向から見るな。
双方向、三方向、多方向から見て
自分の頭で、考えること。

世界は、多面体でできているのだから。



さて。あと3日になりました!
「しっぷちゃん企画 ドラマティックな31日 ヒスイの早起き鳥チャレンジ」

8/29  5:50!

ほほほほ。
すごいでしょう。
実は今日、同居人・ケロリンが出張でして。
朝早く出るというので、
駅まで車で送っていった
だから、こんな時間なのです(笑)。

今日は仕事をかたづけて
アマゾンで映画でも見て
早寝しますー!

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