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「架空の生命保険オン・ザ・ツリー」

命に形をつけるとしたら、それは生命保険かもしれない。
30代男性の約17%が保険に入っていないという。夫もまだ未加入だ。
そんなものかと思っていた。
母の病が分かるまでは。

「え、お義母さん、しぬのか。死ぬのか?」

うろたえたのは夫のほうだ。先年、自分の母を見送った彼にとって親の死は『くっきりした未来』なのだ。
そして夫はいきなり生命保険に加入し、義母を受取人にしようとした。
しかし保険屋は、
「二親等以内でないので、受取人にはできません」

夫はがっくりと肩を落とした。

「受取人にしておけば、お義母さんが長生きするかと思ったのに」
「ママは意外とガッチリしてるから、あんたの保険金をもらうまで死なないね」

そう言いながら、私は申込書を余分にもらっておいた。


いま、我が家のクリスマスツリーのてっぺんには、架空の生命保険加入書が乗っている。
加入者は夫。受取人は義母。

愛情が、ルールを知らないオーナメントになって、輝いている。

【了】(改行含めず405字)


今日は たらはかに さんの #毎週ショートショートnote  に参加しています。
お題は「ルールを知らないオーナメント」


相方ヘイちゃんは、12月いっぱいをつかって「赤い炎とカタリのこびと」をかきあげました。
ヒスイは、へいちゃんの描く、ちょっとショボい人たちによる心温まる話が大好きです。


明日は大みそか。
まにあえば、年内にnoteステッチ部の報告を上げます!!

間に合わなかったら、新年に(笑)
間に合うつもりで、がんばります(笑)

ヒスイの全410字は、ここで読めます。


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