信頼

その後、政府により手配された救命部隊が駆けつけ、霞月は政府直下の病院へと迅速に搬送された。
歌仙は付き添いを許されたが、青江は―

「申し訳ありません、随伴登録は歌仙兼定とへし切長谷部の二振しか行われておらず…」
「ああ、解ってるよ。組織はそういうものだからねぇ」

規則外を、例外を認めない。つまり随伴登録の為されていない青江は付き添うことができない。
斬りつけた張本人だと言うのに傍で〝生きてくれ〟と励ますことすら許されないと言うのか。いや、斬りつけた張本人だからこそ傍に近寄らせないと言うことか。…そうじゃないと解っていても、そんな捻くれたことを考える辺り、自分で思っている以上に堪えているのかも知れない。

傷付けておきながら、死んでほしくないと願うのはおかしいだろうか。

「青江、本当に今言ったことが全てなのか」
「そうだよ。夢に惚けて彼女を斬った。それが真実だ」
「…そうか。でも僕は、君が意味もなくそんなことをする奴だとは思わない」
「そう思ってくれるのはありがたいけど、現実は変わらないよ。ほら救命隊の人が呼んでる、行かないと置いて行かれてしまうんじゃないかい?」
「…青江」
「なんだい」
「主と共に戻るよ」

その目に映るのは信頼か。真っ直ぐに信じて疑わない強い光を、青江は見送った。一瞬肩に置かれた手の重さに薄く笑いながら。
そうして歌仙は着物の裾を翻し、救命隊と共に本丸を出て行った。政府へと繋がる門の向こうに消えていく歌仙たちを見送り、青江は本城へと踵を返そうとし―足元の存在に気付いた。
事態の緊迫感からかふさふさのしっぽも耳もしょんぼりと萎れているが、目は〝大丈夫か〟と問いたげに窺っている。
まさかクダギツネにまで心配されてしまうとは。それだけ頼りない顔をしているということだろうか。
自嘲は心の中だけに留め、青江は穏やかに目を細めて視線を合わせるようにしゃがんだ。

「僕のことなら心配しなくて良いから、君も歌仙たちに付いて行ってくれ。向こうからこちらへ連絡することの方が多くなるだろうからね」

こんのすけはその場で迷うようにくるくると回った後、〝それでは〟と言い残し、礼をして駆けて行った。
これで事態を知るのは整備士と青江のみ。そして整備士は基本的に本城へ来ることはない。
審神者の不在を、その理由を、自分が告げねばならない。元より逃げるつもりもないが―

「君が帰ってくる前に、僕は討たれてしまうかも知れないね」

目を開け―回想から戻った青江は、一振呟いた。風が髪を浚ったが、言葉はその場に落ちていった。明け方まで人がいた痕跡を残す、霞月の執務室に。


夜が明け日が昇り、厨を始め徐々に活気付く本丸。鍛錬を行う者、朝風呂を堪能する者、馬の世話に向かう者、微睡みにもぐる者、丹念に身嗜みを整える者、各々朝の過ごし方がある。だがそれも、食事の支度が整うまで。審神者の方針により、一部例外を除き食事は全員で摂ることとなっている。遅れた者に慈悲はない、食いっ逸れたくなければ朝食の時間が終わるまでに食堂に来なくてはいけない。今まで次郎太刀が数度寝坊しているが、それはまあ別の機会の話になるだろう。
そして、方針を定めた張本人がいないことも、珍しくないのだ。何しろ理不尽傲慢我儘気紛れ天邪鬼の権化が審神者をしているのだ、食堂どころか本丸にさえいないことだってある。
しかしその時には必ず歌仙に一言、或いは一筆残されていた。
審神者と歌仙が揃っていない朝は、これが初めてとなる。
皆、珍しいこともあるものだと首を傾げながら、それでもいつも通りわいわいと食事を始める。
ただ一振、青江だけが静かに食べ進めていた。

「あの、青江さん…具合悪いんですか…?」
「うん?五虎退?」
「虎くんが、青江さん…気にしてて…」

振り返れば、いつもは元気よく駆け回っている虎たちが、今は行儀よく座っている。曇りないその目は、もしかしたら何か気付いているのかも知れない。威嚇されるよりも、ただただじいっと見つめられることの方が責められているような気がしてくる。
青江は一つ息を吐くと虎の頭をくすぐった。途端に甘えてじゃれだすが―

「さすがに四体同時に相手をするのは、ねぇ?」

ちなみに残る一体は五虎退の膝の上だ。五虎退から朝食を分けてもらいながら、更なるおかずを狙っている。

「僕は大丈夫だよ、心配してくれたのかい?」
「はい…あの、本当に大丈夫…ですか?」
「うん、平気だよ」

僕は、と心の中で呟いた。この後みんなを前に自分がしたことを告げるのは相応に緊張するけれど、生死の境にある彼女に比べればこんなもの。
青江はもう一度虎の頭を撫でてやり、食後の茶を飲みながら他の者たちが食べ終わるのを待った。
皆考えてもいないのだろう、霞月がここにいない理由を。いや、最初は考えたのだろうが、今はもう楽しそうに食事をしている。そういう意味では、霞月の願いは果たされていると言える。
自由に振る舞い時に振り回してきた彼女が、その裏でどれ程皆を想ってきたか。それが解らない者はいない。そして彼女が…審神者がいることが当たり前と、皆無意識に思っている。不在であってもそれは一時的なもので、必ずここに帰ってくると。
それを揺らがせたのが、脅かしたのが自分だと告げたら、皆どう反応するだろうか。この本丸にある刀剣は凡そ四十五振、それが一斉に自分に敵意を向けるのかと思うと、さすがに恐ろしい。
それでも、僕がやってしまったのだから。青江がそう決意して、頃合いを見計らっていた時だった。食事が終わり、特有のまったりとした空気が流れ始めていた頃、今日幾度目かの彼の声が聞こえた。

「皆様こちらにお揃いでしょうか」
「あっれこんのすけ、どうしたの?主なら今いないよ?」
「歌仙なら…ってそうか、歌仙も今朝から姿が見えないな。珍しい」
「二人で政府のところにでも行っているんじゃないのか」

それぞれ加州、蜂須賀、山姥切が応じたが、こんのすけは首を振り〝皆様にお知らせしたいことがあります。〟とだけ告げた。
こんのすけは皆の目に届く場所に移動すると、静かに続けた。

「皆様のご様子から察するに、審神者様がどこに行ってしまわれたのか、未だご存知ないのですね?」
「こんのすけ、それはどういう…」

不穏が波のように広がり食堂がざわつく中、青江だけが変わらず平静を保っていた。どこか張り詰めた様子で。本体の脇差と同じく鋭利な空気を纏って。
その先を、彼に言わせるわけにはいかない。

「こんのすけ。そこから先は僕が」
「……はい」
「青江さん…?」

青江はぐるりと見回し、全員の視線を受け止めた。そして―

「夜明け頃―だったと思う。審神者が、彼女が僕の部屋に来ていた。何故僕の部屋にいたのかは解らない。が、彼女はいつもと違い人型をとっていた。そして僕は……霊と間違えて、斬った」
「なっ⁉」
「そんな…」

食堂は蜂の巣を突いたような混乱に包まれたが、青江は調子を変えず、淡々と続けた。

「整備士に頼んで応急処置はしてもらったけれど、それだと足りなかった。だからこんのすけを通じて政府に頼んで、病院に搬送してもらっている。歌仙が付き添っているけれど…正直、いつ死んでもおかしくな―」
「貴様…ッ‼」
「ぐ、ぅっ」

いつの間に詰め寄られたのか、突如襟元を絞め上げられた。当然と言えば当然、予期していたこと。むしろ問答無用で切り捨てられなくて良かったとすら青江は思っていた。そしてそんな行動に移ったのも想定済みの相手。

「長谷部、とりあえず離しなよ。そのままじゃ青江が喋れないじゃん」

そう言う加州の目も、今にも斬りかからんとする程に鋭い。
長谷部はいくらか怒りを落ち着け手を緩めたたものの、その手は未だ青江を絞め上げていた。緩めた力を、怒気として声に漲らせて。

「…何故…主を霊なんかと…!」
「夢を…目覚める直前まで、昔の夢を見ていたんだ…。昔斬った女の霊と彼女を、間違えた」
「そんな……そんなことで主は!」
「止めい!わしらが争うがを主が望むと思うがか!」

陸奥守の一喝で、それまで上を下への大騒ぎだった食堂が静まった。陸奥守はそのまま二振のところまでずんずんと進み、長谷部の手を青江から離させた。―長谷部は未だ噛み付かんばかりに青江を睨んでいたが。
皆が動向を見守る中、陸奥守は青江へ問い掛けた。詰問ではなく、ただ事実の確認として。

「青江、おんしゃあ望きやったことがやないろう」
「ああ。望んで、やったことじゃない。本当にただ間違えたんだ…」

青江は締め付けられた首を擦りながら、自分でも解らないと呟いた。似ても似つかない彼女を、どうしてあの霊なんかと間違えたのか。どうして自分の部屋に彼女がいたのか。綿毛ではなく、人の姿でいたのか。
せめて人の姿でなければ、間違えなかったかも知れない。しかし今それを言ったところで、言い訳にしかならない。

「そーね。言い訳にしか聞こえない。…でもさ」
「聞く限り、事故、なんだろう?お前が主を斬ったのは」

加州と蜂須賀が溜息と共に言い放った言葉を、青江は一瞬受け取り損なった。

「あんたがあいつをどう思ってようが俺にはどうでもいいが、あんたは望んで主を斬るような奴じゃないだろ」
「山姥切…」

青江は信じられない気持ちで三振を見た。慰められるとは思わなかった、手ひどく罰せられるか罵られるかのどちらかだろうと思っていた。

「勘違いしてんじゃないよ?あんたを責めてないわけじゃないからね。さっき陸奥が言ったように、主は俺らが争うのを望まないだろうってだけ」
「そういうことだ。あまり俺達を見縊ってくれるなよ青江。俺達は、主の刀だ。私闘なんて主の格を下げるようなことをするわけがないだろう」
「まあ、先走った奴ならいるがな」
「……」
「解らんでもないがの。長谷部がおんしゃあ責めよったのも、主を思えばこそじゃ」

初期刀と呼ばれる四振から口々に〝お前は主を望んで斬るような奴じゃないだろう〟と言われ、青江は顔を歪めた。笑いたいのか、泣きたいのか、判らない。ただ、故意でなければ主を斬ってもお咎めなしなのか、それでいいのかと、苛立ちを覚える。拳を無意識に固く握り締める程に。

「それで、主は今どうなっているんだ?病院へ運ばれたんだろう?」
「私が皆様にお伝えしたいのは、そのことです」

それまで沈黙を保っていたこんのすけが、一歩、前へと出た。それだけで空気が再び張り詰める。そして皆が注目する中、政府からの入電を読み上げるが如く、いつもと同じように。

「歌仙兼定からの伝言をお伝えします」

主の手術が終わった。
手術は成功したが傷が深く、未だ予断を許さない状態にある。
主の目が覚めるまでそちらに戻ることが適わない為、主と僕が不在の間、統括はこれまで通り長谷部に委任したい。勿論そちらで話し合って改めて統括役を決めてもいい。
他に連絡事項があればこんのすけを通じて知らせる。
―必ず、主と共に戻る。

「…以上です」

こんのすけが伝言を伝え終えても、その場を沈黙が満たしていた。手術が成功したにも関わらず、霞月の命は未だ彼岸と此岸を彷徨い、意識は水の底にある。それは、回復の目処も帰還の目処も立たず、そのまま喪われていく可能性を示唆していた。
最先端の技術を以てしても運に委ねるだけの現状に、多くの刀剣男士が沈痛に俯いた。

「統括の任、了承した。―帰還を待っている。そう伝えてくれ」

沈黙を破った声に顔を上げれば、長谷部が凛と告げていた。霞月が戻らない可能性など、微塵も信じていない。必ず帰ってくると心の底から信じている。
そうだ、と他の刀剣男士たちも前を見る。寝惚けた青江に斬られたくらいで、あの綿毛が死ぬかと。いつだって自由で気紛れで、こっちの話を聞きもしないで、仕事しないでだらけてばかりで、遊ぶ時だけ全力で、重傷負った俺らを涙目で心配したかと思えば直った途端に体当たりしてきたり、うるさいくらいはしゃいだ直後にころっと寝たり、本当に嫌なことはしなくて、時々優しくて、泣き虫で、寂しがりで、食べるのが好きで、眠るのが好きで、よく笑って…、笑って―。主は、天命なんかに負けはしない。必ず帰ってくる。
そうして、こんのすけが目を瞬かせる程に強く、皆〝待っている〟と瞳で語った。

「解りました。必ずお伝えします」

こんのすけはその場で一礼し、素早く駆けて行った。
その様子を見送った長谷部が号を上げる。
主の不在など慣れている。そしてその帰還を信じている。ならば、やることは一つ。

「主の帰還まで、この日常を保つ!怠慢は許さんぞ、全力で事に当たれ‼」

いつもと変わりない日常を、主に。つまり〝普段通りに過ごせ〟。宣言と共に迫力のある笑みを浮かべる長谷部に、皆も笑って返した。了解、任せてくれ、オーケー、お酒取ってくるね、まずは祈祷かな、よっしゃあ!、仕方ねえな、解りました、等々。
一振、青江を除いて。

「青江」

視線を向ければ先程まで笑みを浮かべていた長谷部が自分を見ていた。真っ直ぐに。
―ああ、いつだって彼は真っ直ぐだ。ただひたすらに、彼女を見ている。だからこそ。

「なんだい?やっぱり僕を許せないから一騎打ちでもしようって?」
「主の許可なくそんなことはしない」
「許可があればするんだね」
「ああ。だが俺が訊きたいのはそのことではない」

青江、ともう一度呼び掛けられる。

「貴様、何故朝餉の前に主の話をしなかった」
「…それが、彼女の願いだったからね」
「主の?」
「……」

ポケットに手を入れれば、中の文がかさりと音を立てる。皆が食堂に集まる前にこんのすけから届けられた、彼女の言葉。

「僕だって、みんなが集まった時点で話そうと思ってたんだよ。でも、彼女から文が届いた。…正確には、歌仙が記した彼女の言葉だけれど。一時だけ意識が回復した時、僕らに残したらしい」
「主は、何と」
「―生きて、ってさ」

病院に向かう途中、彼女が残した僕らへの願い。
寝て、起きて、食べて
笑って

―生きて

もしこれを食事の前に伝えていたら、皆いつも通りに食事を摂れていたとは思えない。だから青江は、皆が食べ終わるのを待っていた。
彼女は自分が死にそうなのに、そんな目に遭わせたのは僕なのに、願うのは僕らの生だと言う。言われなくても、僕らは君がいなくなったあとも続いていくしかないのに。普通は怨み言の一つや二つ出てくるだろう、それなのに…。
文に綴られたもう一つの伝言を思い出し、青江は目を伏せた。怨み言とは程遠い文句が青江の胸を締める。
だが、その所為で長谷部が大きく手を振りかぶっているのに気付けなかった。

「いっ⁉」

バシン‼と渾身の力で背中を叩かれた。唐突の衝撃音に驚いた面々が長谷部と青江の方を見ると、叩かれた反動で背中を丸める青江がそこにいた。そして青江は、痺れる背中をかばいつつ振り仰いだ先で―修羅を見た。形相が、ではない。纏う空気がなみなみと怒りを湛えていた。〝何をするんだ〟と問い掛けようとした口が、形そのままに固まった。

「石切丸程の打撃力が欲しいと思ったのは、これで何度目だったか…」
「そんなに何度も思ったのかい⁉」
「最良の結果を主に届ける為にな」
「と言うか、彼並の力で叩かれたら折れてしまうよ」
「それでその情けない顔が直るのなら、一度折れてこい」
「ひどいなあ」
「酷いのはお前の顔だ」

これまたひどいことを。三日月や和泉守程の見目でないにしても、無代と鑑定されたこともあるというのに。

「お前の名は何だ、主は俺たちに何と託した」
「え」

――笑って

「そんなに…ひどい顔をしていたかな?」
「ああ。主が帰還された時もまだそんな顔をしていたら、お前の口の端に切れ込みを入れてやるからな」
「それは趣味じゃないなぁ」

そんなことをされたら、それこそ笑えない。

「主の言葉を受け取ったのはお前だろうが、もっとちゃんとしろ。それから罰を望むな、楽な道に逃げるなど許さん。沙汰を下すのは、主だ」

罪を感じているなら、俺たちにではなく、主に贖え。と、言外にそう告げられた。
…僕が、罰を望んでいる?だから、さっき咎められなかった時も、文を読んだ時も、僕は…
擡げた疑問はそのまま胃の腑に落ち着いた。自分でも気付いていなかったことを、どうして気付けたんだか。
まったく本当に、君は彼女に関わることには真っ直ぐで正しくて厳しいな。そしてその正しさが苦しい。けれどそれさえ自分が招いたことだから。ならば―

「解ったよ」

にこりと笑う青江を、長谷部は未だ疑わしく見ていた。

信用がない、ともとれるが、これはどちらかと言うと心配故に。きっとどこまでも霞月の為なのだろうが、長谷部が他振を心配するなど滅多にないことだ。

「なんだい?そんなに見つめて。僕に興味でも出てきたかな?」
「ふざけるな、漸くいつも通りになったか」
「なんだ、やっぱり気に掛けてくれていたんだねぇ」
「貴様…」
「ふふ、恥ずかしがらなくてもいいだろう?」
「気色悪いことを言うな。無駄口を叩く余裕ができたなら早く畑へ行け、今日の当番は貴様だろうが」
「ええ、そういうことは置物連中にやらせた方が……解った、解ったよ。そんなに睨まないでくれないかな」
「さっさと行け」
「はいはい」

いつの間にか食堂は疎らで、刀剣男士たちは皆それぞれに散って行っていた。
青江が廊下に出た際、厨当番の堀川と目が合ったが非難の色は無かった。しかしすれ違い様ににこっと向けられた笑顔は、もしかして〝主さんが帰ってきたら覚えておいてくださいね〟的な意味を孕んでいるのだろうか。
もし彼女がそれを許すなら相手をしよう。それまでは―この罪過は、自分のものだ。と、青江は静かに胸に秘めた。

麗らかに射す陽に春の訪れを感じるが、果たして彼女は桜が散る前に帰ってきてくれるだろうか。
帰ってきてくれないと困る。未だ君に一言も謝れていないのに。
そう考えて、青江ははたと自分の思いに気付いた。ああそうか、僕は君に赦されたいんじゃない。
早く、帰ってきてくれ。君に謝りたいんだ。謝れないまま逝かないでくれ。生きて、また君に会いたい。

「だって…〝ごめんね〟は、僕の台詞だろう?」

そう呟いて、青江はポケットの中の文を握り締めた。末文に記された、〝ごめんね 青江〟を潰すように。

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