【感想】『短くて恐ろしいフィルの時代』を読んで
この物語はとても奇妙だ。
全てが想像を超えてくる。真実味を帯びてきたと思ったら、次の瞬間には唐突に非現実の世界に放り込まれる(特にラストシーンでは本当におったまげた)。
随所に奇々怪界でユーモラスな描写があるが、時折それは私たちの背筋を文字通り凍らすことになる。
この短いが摩訶不思議な物語は、フィルのいう極めてユニークで奇怪でそれでいて暗示的な主人公をめぐって転がりまわる。彼は内ホーナー国と外ホーナー国という二つの国を牛耳り、独裁的な権力を振るったが、それ故に自ずから滅亡す