見出し画像

ミスコンという名の大分岐



 

みなさんは『大分岐』という本をご存知でしょうか。

 産業革命がイギリスで起こったのは有名な話ですが、当時東アジアの先進地域であった長江下流域の現在、上海周辺と日本の堺・江戸で産業革命が十分に起こりうる土壌が備わっていたという内容です。なんとセンセーショナルな議論なんだろうと授業で聞いて驚き興奮しました。


 私にも大分岐が来ていたんです。ミスコンを見るか見ないかというシンプルな選択。私の好奇心は抑えられず沼に吸い込まれ気がつけば竜宮城だったわけです。
私の人生はミスコンのおかげで想像もできなかった楽しさに溢れました。 3年前の7月に大分岐が起こっていなければ私はどうなっていたんだろうと逆に怖くなります。(この記事を書いたのは2019年11月)なぜこんなにも熱狂したのか私自身も知りたい。そんな気持ちでつらつらと書きます。



 私が応援を始めたきっかけは単に外見から。人間とは単純で一瞥すれば一目惚れや嫌悪感を抱く。でもそれ以降の過程で私が最も惹かれたのは行動する姿。外見は中身の最も外側のものと言われるが、行動は中身の最も奥底から湧き出るものだと考えています。行動は静的な外見の次に見える動的な外見だと。発する言葉、語彙の選び方、口調、声の大きさ。発声だけでもこれより挙がります。この数ヶ月間でたくさんの行動をこなしてきたみんなを見てきました。毎日LIVE配信を欠かさない人。インスタのキャプションに日頃の思考を書く人。人一倍写真にこだわる人。ツイートが面白くて言葉選びにこだわる人。配信でハチャメチャやる人。ダンス動画をあげる人。TikTokをあげる人。あげればキリがありません。みんながみんな考えることが違くて、でもグランプリをとりたい一心で行動する。その姿に感服し、心動かされた毎日でした。みんなの頑張る姿を見て私も頑張れました。



 ミスおじ生活でたくさん大切なことを学び教えられました。外見を磨くこと、中身も磨くこと。言葉を選ぶこと。相手を第一に考えること。周りを見ること。愛を持ち接すること。みんながみんな結果を出せるわけじゃない。でもやり切ったと感じるなら、ある意味で結果だ。まだやれたと思うなら、また違う場面で全力を出せばいい。この数ヶ月間は塩湖のように濃い水中をみんな泳いできたはず。やっと陸に上がって休めるから、何も考えずに休んで欲しい。ひたすらに自分を褒めて下さい。
 たいていの人からは結果で見られるだろう。でもそれまでにどんなプロセスを踏んできたかは自分自身が一番よく知っているはず。それを誇れるならあなたの経験は輝きを失わない。それは君だけのものだから。



 私は外見に強烈なコンプレックスを持っていました。小6には鏡を見るのが本当に嫌で鏡を見る度に私の出自を恨みました。でも私は偶然にもこの世に産み落とされ、生きていかねばなりません。人生楽しんだもの勝ちの世の中なのに顔ごときで自分の機嫌や行動が左右されてたまるか!と劣等感を振り払おうとしました。しかし容易なことではありませんでした。画一的な美に近い顔の人は比較的学生時代パートナーを持つことが多かったことでしょう。私はそんなことはないけれど、自分の人生を楽しんでいました。でもネットや周りの言説を小耳に挟めば、「大学生にもなって誰とも付き合ったことがないなんてやばい」「パートナーの存在がなかったなんて人としての魅力がない」と何度きいたことか。
 でも私は気づきました。こんな自分にも魅力があることを。ミスコンを通じて知り合えた仲間から、「こんなこともできるんだ、すごいね!」「これも出来るのかよずるいよ笑」と色んな言葉をかけてもらえて、「そっか、これって自分にしかできないのかな」って思えたことも。
そこで気づいたんです。みんな本当に本当のオンリーワンなんだって。あいつはすごい、こいつがすごいじゃなくて、みんなすごいんだって。みんながみんな素晴らしい。それに自分も入っていて、みんなも含まれてる。そのとき私の劣等感は溶け去っていました。ファイナリストは全員ミスコンを極めた人。ファンは全員応援を極めた人。ほら、全員オンリーワンだよね?!



 3年間のガチミスコン生活は終わり。来年は社会人として働くから、必然的に大学生の今よりも時間的制約がはるかに大きい。会社勤めで応援できている人はいる。だけど私は妥協したくない。SNSをチェックして現場にも行き、熱も高まっているのに本番に行けないような状況は想像したくもない。本番に見に行けず会社でウジウジしてる自分が想像出来てしまうので嫌になってしまう。それは社会人として失格だ。だから私のガチミスおじ生活はここで終わり。



 ミスコンは学園祭のおまけから始まったかもしれない。でも私にとっては主役で、かけがえないもので、1年に1度しかない流れ星でした。この最高級のイベントを進行していた運営さんたちには感謝してもし切れません。特に中央のRPの皆さん。私の青春をつくっていただいて本当にありがとう。
4年間の大学生活のうち3年間はミスコンに費やしました。私には微塵も悔いはありません。私の生活や考え方、行動、色んなものに影響をすさまじく与えて、大豊作の3年間を過ごせました。私にとって誰にも奪えない財産はこの頭とiPhoneの中に詰まってます。


最後にこの言葉をみんなへ


ウチら棺桶まで永遠のランウェイ


kemio 著『ウチら棺桶まで永遠のランウェイ』KADOKAWA より




ps. 喉マジで痛い笑


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?