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Windowsのフォントのこと

モリサワの「BIZ UDフォント」は素晴らしい

(3464文字)モリサワのフォントである「BIZ UDフォント」。2018年10月のアップデートからWindows 10に標準搭載フォントとして正式採用された、ユニバーサルデザインのフォントファミリーです。

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これらのUDフォントを、これまで入力文字やブラウザ表示用フォントに使ってました。そして少しずつ活用範囲を広げ、最近からはWindowsのシステムフォントにも設定して使ってみてますが・・・

このフォント、かなり良いです。

何が良いって、小さい文字でも潰れずにしっかり読めるのです。ブラウジングしたり文字を書いたり読んだりすると、小さい文字でも視認性が高く読み間違いがないので脳にスッスと入ってきます。

【設定編】システムフォントの変更

私はシステムフォントの変更には「Advanced System Font Changer」を使っています。これを使い、システムフォントを「BIZ UDPゴシック」にします。

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適用されると以下のように表示されるようになります。↓ 

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小さい文字も数字も、とても読みやすいです。また、日本語・英語が混在しても調和が取れていて美しい。

【設定編】アプリの解像度を4Kディスプレイ向けにする

Windowsはアプリによって4Kディスプレイで表示すると正しく綺麗に表示することが出来ないものもあります。例えば、私がFDM式3Dプリンター「Qholia(クホリア)」で愛用しているスライスソフト「KISSlicer」などはその典型です。

アプリごとの解像度設定を、フォントを一番キレイに表示出来る「システム(拡張)」設定にしようとするとこのように3Dビューポートの表示がバグってしまいます。↓

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フォントは綺麗に描画されるのですが、3Dビューポート面が拡張解像度に対応していないようです。

ちなみに本来の正しい表示はこのような感じです。↓ 妥協策で「システム(拡張ではない)」設定にしています。

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メインで使用しているZBrushなどは全て「システム(拡張)」設定にしています。なるべくならメインで使用するアプリはすべてこの設定にしたいところですが、こればかりはアプリ側の対応次第、という感じです。

【設定編】システムのスケーリングを4K向けに設定する

解像度が高いディスプレイで100%表示すると小さすぎて読みづらくなります。27インチの4Kディスプレイだと最低でも150%くらいにするといい感じです。ちなみに私は目が悪いので175%に設定しています。↓

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「設定編」は以上です。

~ 理屈編 ~

【理屈編】横幅の狭い日本語UIフォントが嫌い

この手のWindows 10のシステムフォント変更をWebで調べると、游ゴシックUIが読みづらいという理由でメイリオUIに戻すのを推奨する記事を見かけます。システムフォントは個人的な趣味趣向の問題なので否定はしませんが、メイリオUIに戻すことは正直私はあまり好みではありません。

理由は、結局どちらも横幅が狭いUIフォントだからです。もともと長年Macがメインだった私から見ると、MS UIゴシックなど昔からWindowsによく使われているこの横幅の狭い日本語のUIフォントに読みづらさと違和感・居心地の悪さを感じてしまいます。本来1バイト文字前提で作られたUIの狭い領域に2バイト文字を詰め込むために考え出されたような感じで、その文字が本来あるべき形ではないのが一番の理由かなと考えています。

同じUIフォントならメイリオより游ゴシックのほうが基本デザインが美しいですし、前のバージョンのフォントに戻すのもなんだか後退しているような気分がします。

【理屈編】「UDフォント」って何

「UDフォント」とは「ユニバーサルデザイン」フォントです。ユニバーサル・デザインとは、御存知の通り

「できるだけ多くの人が利用可能であるようなデザインにすること」

という考え方に基づくデザイン思想です。

なんとなく一般的なイメージになってしまっている「障害者のための特別なデザイン」ではないことに注意。そもそもの根本的な哲学は

「ユーザーに負荷をかけない、あらゆる人のためのデザイン」

です。UDフォントはそういうデザイン哲学に基づいたフォント、というわけでです。

ひとつひとつの文字との出会い・触れ合いはほんの一瞬。ですが、ディスプレイ文字というものは日々大量に・長時間向かいあいます。それを考えるとブラウザ等のフォントは結構重要です。

UDを謳わないフォント群とはほんのちょっとした違いかもしれませんが、長時間に渡って大量のテキストデータを処理する目への負荷を考えると、この「ちょっとした違いの積み重ね」は大きい気がします。

【理屈編】こういう人にオススメ

・游ゴシックUIやメイリオUIがあまり好きでない方

・文字が読みづらくて負荷がかかっていると感じる方

・目が悪い方

・フォントにちょっとうるさい方

こういう人はこのモリサワの「BIZ UDPゴシック」を試してみてはいかがでしょう。しばらく使って慣れてきた頃に他のデフォルト設定のマシンを使ってみると、読みづらさが劇的に改善されている事に気づいて「これはもう元の環境に戻れない」と感じるかもしれません。

【理屈編】システムフォントは瞬間操作のためにあるもの

PCのシステムフォントは

「何らかの操作を瞬間的に識別して実行するためにあるもの」

という、ごくごく基本的な当たり前のことにUDフォントは改めて気づかせてくれます。

例えばアプリのメニューやファイル名などはアプリやファイルの「操作」が目的であり、視認性が悪く瞬間的に読めないと格段に操作性が落ちます。「システムフォントなのにパッと見一瞬で読みづらい」というのはそもそも本来の目的に対して全く機能していないことになります。

その点から考えるとユニバーサル・デザインの思想に基づいてデザインされて開発されたフォントはディスプレイサイズや解像度を問わず色んな環境で読みやすくデザインされているため、システムフォントとして非常に優れています。むしろ「ユニバーサルデザインフォントこそシステムフォントに相応しい」とも言えます。

【理屈編】Mac=滑らかさ優先 vs Windows=シャープさ優先

Mac・Winの両刀使いとして、OSによるフォント表示の違いについて少々私見を書いてみたいと思います。

一般的に「Macは文字が美しい」「Windowsは汚い」と言われます。「美しい・汚い」は主観的な要素も多分に入ってきますが、この件については概ね正しいと思います。それを理解するには、

Mac=滑らかさ優先 vs Windows=シャープさ優先

というそもそものMacとWindowsのフォントレンダリングに対する根本的な考え方の違いを理解しておく必要があります。それぞれのOSは、

Mac=「フォントの本来のラインに近づけるようにレンダリングする」

Windows=「シャープさを優先し、表示に最も近いピクセルに合わせるようにレンダリングする」

という事を優先に設計されているという考察があります。

システムの設定的には

Mac=「高解像度+スケーリング設定済がデフォルト」

Windows=「低解像度の後方互換を残しスケーリングはユーザー設定扱い」

Windowsの場合多様なハードウェア環境に対応しないといけないので仕方ないとは思いますが・・・古かったりスペックが低いマシンって良い環境のマシンよりも目にする機会が多いので、ジャギーに表示されてるWinマシンを見ても

「まぁ、Windowsってこんな感じよね」

という印象になっている感があります。この辺はiPhoneとAndroidの違いにも似ている感じですね。

まとめ

フォント表示周りの設定を見直すと、作業の快適さがアップし、それが作業効率アップにも繋がると思います。特に目が悪い人、長時間・大量に文字情報をさばく人、目を酷使していると感じる人は見直し&設定は必須かと思っています。

そういう意味で、読みやすさを追求して開発された「モリサワのUDフォント」はその救いのひとつになると考えています。ちなみにもちろん私はモリサワのまわしものでも宣伝のために何かもらってるわけでもありません。シンプルに、自分が「良い」と思う情報を書きたいので書いています。

以上、目が悪いのに日々スクリーン上で長時間大量に文字情報をさばいて目を酷使しているいちフォントファンの四方山話でした。

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