【歴史文化模型造形研究談義】「ステレオタイプな思い込み」
ステレオタイプな思い込み
1940年代。「下品な露出」で警察に聴取されている女性の写真。
「下品かどうか問題」はさておき、この写真で「1940年代に見えない。1970年代の間違いでは」という議論がFacebookで湧いていました。
曰く「ファッションを見ろ。サンダルを見ろ。後ろの人達を見ろ。どう見ても70年代あたりじゃないか?」ということです。
これは誤りではなく、1946年、LIFEマガジンのカメラマンが撮った一連の写真なのだそうです。
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模型造形におけるステレオタイプな思い込み
私も自分の模型の造形作品でよく「WW1のドイツ兵に見えない、WW2のドイツ兵のようだ」「イケメンすぎる」「背が高すぎる」と言われます。
それって、その人のステレオタイプな思い込みなんですよね。「WW1兵士は身長が低くて口ひげ生やしたおっさんばかり」あるいは「自分が思う典型的なイメージ通りであって欲しい」という。
そう言う人は、当時の写真、メインの人のその背景に写っている人達を研究したり、よく探してみてください。スラリとした頭身値の高い若くてイケメンの兵士はいつの時代にもいます。
だいたい、ナポレオン時代やそれ以前に残された絵画や肖像画などにもスラリとしたイケメン、筋肉隆々としたカッコいい人は多いじゃないですか。多少美化されているにせよ、
「WW1時代の間だけ、急に男はみんな低身長でちょび髭生やしたおっさんに変わってしまう」
ことはありえません。「そういう人もいた」というだけです。
模型の世界では特に兵士の1910年代の平均身長、1940年代の平均身長の話がよく引き合いに出されます。しかし「平均身長ピッタリの人はそんなにいない」が私の持論です。WW1の時代もWW2の時代も、190cmの人もいれば150cm台の人もいたでしょう。
そもそも、それはちゃんと正確な測定をした統計データなのか?その根拠になっている大元のデータはどれなのか?という点もあります。
私がWW1兵であってもヴァイキングであっても、背(頭身値)が高かったりイケメンを造形するのは、
「栄養・文化の違いで多少背丈や顔つきが変わっても、人間はそんなに大きく変わってない」
というのが私の持論だからです。その根拠にあるのは、残された写真・肖像画から読み取れる人間たちの姿です。
まとめ
フィギュアはあくまで本物の人間ではなく「虚像」というのが私の考えです。「象徴」なので「絵になること」が大事。そこに変なリアリティを求めて「平均的なおっさん顔」にしなくても良いと思ってます。
ダビデ像・マリア像がイケメン・美女じゃなかったらあれほど素晴らしい造形と言われたでしょうか。イケメンでないガリガリのダビデなんて嫌でしょう。
それよりも何よりも、私は「本当の等身大の当時の人たち」のアイコン・メタファー・虚像を造形したいですね。そこにはイケメンもいれば非イケメンもいるでしょう。どちらも造形しますが、造形作品である以上「絵にならない」といけない、と思っています。
生々しいリアルさを追求した蝋人形を作りたいわけではありません。私に言わせれば「〇〇時代にしてはイケメンすぎる・美人すぎる」は野暮な批判です。
・・・と、長くなりましたが、この「WW2直後の庶民文化を表す写真」を見て、私が自分に作品に対してよく受ける「批判・批評」と織り交ぜながら、「いかに多くの人がステレオタイプな思い込みに毒されているか」という話を書きたくなったので書いてみました。
おわり。
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