安城寿子/Hissako Anjo

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「鬼滅の服飾学」余滴④:ふたたび魘夢の服装について

「ふたたび」というのは、既にtwitterで魘夢のジャケットについて簡単な説明を書いたからなのだが、書いてから、あまりにも不十分な説明だったと後悔した。しかも、その不十分なtwが私にしてはめずらしく多くの方に閲覧いただいたため、少し怖くなったりもした。こうしてnoteで「余滴」を書き始めたのも、魘夢の服装に関するもう少しまともな説明をtwitterのように小分けにせずに書き残しておきたいと思ったというのが一番の理由である。 早速本題に入ろう。 まず、魘夢のジャケットに注目

    • 「鬼滅の服飾学」余滴③:禰豆子の着物の文様のことなど

      ※この記事は最終段落に「鬼滅の刃」の軽微なネタバレを含んでいます。まだ結末を知らないという方はご注意ください。 さらに引き続き、『SPUR』2021年8月号に掲載された対談記事「鬼滅の服飾学」の「余滴」としていろいろなことを書いていきたい。あと3滴ぐらいは続くと思う。 今回の対談の中で少し戸惑ったことの一つに、「鬼滅の刃」のキャラクターの衣装の文様に込められた意味を聞かれるということがあった。私が考え過ぎなのかもしれないが、例えば禰豆子の着物の文様に込められた意味は、作者

      • 「鬼滅の服飾学」余滴②:鬼殺隊隊服のことなど

        引き続き、『SPUR』2021年8月号に掲載された対談記事「鬼滅の服飾学」の「余滴」として、この対談記事から零れ落ちてしまったいろいろなことを書いていきたい。 対談の中で、「アニメ(第一期)で一番印象に残っているシーンは?」という質問を受けた。「一番」というからには一つだけ挙げるべきなのだが、私の中では、第22話(コミック第6巻45話)で隊服をそれぞれに着こなした柱が集結するシーン、それから、第5話(第2巻8話)で髪の色の異なる双子が炭治郎ら最終選別の生き残りに向かって「隊

        • 「鬼滅の服飾学」余滴①:大正初期の人々の服装のことなど

          『SPUR』2021年8月号(6月23日発売)に「鬼滅の服飾学」と題する対談記事が掲載された。スタイリストの飯嶋久美子氏との対談である。私が服飾史の研究者であることからご依頼をいただき、とはいえ、例えば禰豆子の着物の「麻の葉文様」の由来などは専門外であるため、対談に先立ち、いろいろ勉強する良い機会にもなった。 対談記事は見開き1ページと短い。十分に説明を尽くせなかった点や準備していたことで盛り込めなかった部分も少なくないので、どれだけ需要があるかは分からないが、「余滴」とし

        「鬼滅の服飾学」余滴④:ふたたび魘夢の服装について