見出し画像

【ひすみ短歌365日】60日目~90日目 【まとめ】

◇はじめに

こんにちは。
今年の1月より「1日1題2首以上」お題に沿った短歌を詠むことを習慣に、日々短歌を作っています。
3か月を達成したのでまとめました~。
色々なお題で詠んでいるのでよかったら見てみてください~!

↓↓耳でも楽しめる短歌としてYouTubeもしています♪↓↓

◇短歌

60日目【菊】2023.3.24

陽の光をもう見ることのない君へひだまり色の菊を捧げる

どこにいても咲いているけど本当の名前は知らないキク科キク属

金色の花びらは舞う秋風に乗って誰かを導きながら

61日目【フクロウ】2023.3.25

夜色の瞳は捉える一千光年離れたる希望の光

見透かされているのだ大きなぬばたまの瞳は鏡のように艷めく

62日目【田んぼ】2023.3.26

凛と立つ青の命も実りゆけば腰を曲げて茶になる人のごと

土を苗で埋めつくしてく田植え機の赤白は宙に浮く緑色

自動化が進み続けて人が田を作らねどきっと美味い米たち

63日目【窓】2023.3.27

外の世界どんな一日だったかは窓から見える紫の空

窓サッシで彷徨う蟻が他人事に思えぬ道は狭まっていく

深窓の令嬢なんてイメージで私を檻に閉じ込めないで

透明な窓はリアルを映し出すピンクの窓であればファンタジー

社会の窓言うほど社会か限られた視野がはびこることの皮肉か


64日目【秋】2023.3.28

生命の力は白く奪われて近づく冬は秋色を濾す

哀秋には覚えがあった一人きりブランコにただ座っていた日


65日目【ドレス】2023.3.29

秘められた美を呼び覚ますイブニングドレスは月下美人を咲かす

プロポーズされるならドレスコードのない所でいつもを特殊にされたい


66日目【絶望】2023.3.30

絶望は希望を持って生きることを諦めなかった人の特権

ゆっくりと静かに減っていく刻はいつしか我の死を指し示す

こんなにも消えていたのか知らぬ間に手札がわずかしかない分岐


67日目【瞳】2023.3.31

吾の世では君は光に等しくて常に昼間の瞳孔になる

瞑っても瞼の裏が見えていて防犯カメラのレンズのような


68日目【都会】2023.4.1

都心部の空はビルに奪われた代わりに窓を埋め尽くすのだ

田舎では私が止まれば世界すら止まる都会は動き続ける


69日目【寂しさ】2023.4.2

輪のなかで相槌係となることの一人の夜に勝る寂しさ

一人でいることより寂しい一人になることに怯える群れの弱さは

好きなのは前提だからと無くなったあれこれ砕けた星の冷たさ


70日目【仕事】2023.4.3

生きてゆくために仕事が必要で仕事のために生きてはいない

コマンドに登録されてゆく「やりがい」「貢献」「ためになります」その他

【大人】とは:誰かのために労働を行える人 社会の定義


71日目【文学】2023.4.4

自分ごと墓になるなら漱石の隣でこころを感じて眠る

穴埋めのために教科書見るように生きるヒントを探す横着

早送りの開花と同じ白黒のページを捲るほどに鮮やか


72日目【文字】2023.4.5

君の「も」の丸みは雲の「も」私の硬い「も」の字は蜘蛛の「も」に近い

板書したノート爽やかさんずいの飛沫で夏の匂いになって


73日目【野菜】2023.4.6

白菜の黒い部分は栄養の証だ顔のほくろも魅力

泣くほどに傷つくほどに強くなるなんて野菜の育て方かよ

活き活きとしている野菜をクタクタに煮込む悪さが美味しい秘訣


74日目【椿】2023.4.7

人間は華やいだまま逝く花を見習え春を終点に置け

降る雪が彩度を失くしてゆく冬の端で静かに灯るは椿


75日目【家事】2023.4.8

名がなくて頼みも出来ず分担もできない家事を君は知らない

裏側になった靴下見る度に私の気持ちも裏返りそう

愛しさはきっと些細な快適を守りたいって思える心


76日目【クッキー】2023.4.9

クッキーは優しいチョコもアーモンドも一緒に美味しく焼かれてくれて

人生も理想通りに型抜いて日を浴びれたら幸せだった

アラザンでデコられているスーパーの無地のクッキーギャルのガラケー


77日目【サブスク】2023.4.10

今月は生きない月として眠り来月は生きる月とできれば

永遠に自分のものにすることはできない永遠に借りているもの

永久に抱えているには重たくてすぐ手放せる物の身軽さ


78日目【閉じる】2023.4.11

明け透けの言葉は私を反射して眩しい少し君を閉じたい

開けていた車窓に枯葉が飛び込んで隔たらなければ世界地続き

その空気その感情を新鮮なまま閉じている短歌というもの


79日目【波】2023.4.12

考えや価値観は日々さざ波のように小さくとも揺らいでく

働けど豊かにならぬ社会という波にのまれて溺れる現代

進んでは下がってしまう臆病も海の波だと思えば美点


80日目【扇】2023.4.13

扇風機でだらりと涼む無粋さよそよ風になりたさの増す夏

太陽を扇子で隠す夜桜の柄が光に透けて朝焼け


81日目【傘】2023.4.14

濡れた世界濡れずに歩く優越はビニール傘のなかのみ起こる

教室の机の陰になる壁の相合傘が気になる授業

涙だとするなら薄情 人間は拭ってもらうのに空に傘


82日目【ゴミ箱】2023.4.15

パソコンのゴミ箱フォルダーみたいにさ記憶も任意で捨てていけたら

星屑は例えゴミ箱に入っても星箱として宝になろう


83日目【秘密基地】2023.4.16

大きめの傘積み上げた君と吾の世界があった公園の隅

秘密という信頼のうえある居場所ならなんだって特別だった

押し入れにおもちゃの光るペン一つ隠しきれない内緒の話


84日目【子ども】2023.4.17

一人では生きていけないのに一人生きていこうとする子というもの

宝物は大切にするものである子は宝という国は反して

綿菓子を浮かべて雲を増やそうと意気込めり子の無邪気に浮かぶ

君の目には問題ばかり並んでる視界すべてを解き明かしてけ


85日目【カフェ】2023.4.18

カフェラテをカへラテと言う未熟ゆえのほころびが降るささやかな午後

カバーせず読書している隣席の人の器は溢れないだろう

ここにいる一人客のうち何人が真に一人か一人気にする


86日目【少女】2023.4.19

可愛いをつけて可愛くなった気になれてた少女の頃の純白

少しでも視界にヒビがあれば地球終わるくらいに閉じていた春

ミニ丈のピンクのフリルスカートをタンスの奥に眠らせたまま

青春が自分のための春だって制服脱いでから気づくんだ


87日目【古い】2023.4.20

歳を取り古くなりゆく人間の作る時代は常に新しい

新品の本の白さは眩しくてスローペースに優しい古本


88日目【ハート】2023.4.21

ハートがなぜ対照かって人生を二人を合わせるためだと思う

最初から何もなかったかのように砕けたガラスのハートは透ける


89日目【血】2023.4.22

洗いたて我が身から降る経血でたちまち事件のにおう浴室

ねぇそれは私の血だよ身勝手に自分のものにしないでくれよ

隅々に流れる人脈持つ人にとって私はずっと血栓

君触れれば花咲くように熱を持ち血潮が愛を謳う肉体


90日目【不倫】2023.4.23

既に愛を知っている人の愛を奪う愉悦に酔った者共の愚行

人が守るべき筋道という「倫」を打ち消す不倫 人成らざる者

◇おわりに

YouTubeに音声付で投稿もしています♪
よかったら耳でも楽しんでみてください~!










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?