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京の豆腐

研修期間が1年ではなく半年であるというのは、もちろんもっとあればな、という思いはあるのですけれど、一方で、これはうかうかしていられない、とほどよい焦りを感じさせまして、じつにフィールドワークがはかどりました。

おかげさまで、すでに京都の名の通ったところはほとんど行くことができまして、あとはマニアックな落ち穂拾いや季節変わりの再訪をすればよいか、という状況です。

しかし、久足は「変態」ですよ。当時行ける場所は、ほとんど行っているといって過言ではありません(しかも何度も)。そして、いまではあまり知られていない(当時としても有名ではない)ところも積極的に足を運びますから、メジャーもマイナーも満遍なく詳しくなります。

いやあ、向こう10年、いや一生分のネタを仕込んだ感じです。仕事面でもプライベートでも、我が人生の画期になりました。想像以上に。

さて、フィールドワークという表のテーマとは別に、せっかくなので裏テーマがほしい、と思っておりました。

そして、京都出発前に設定した裏テーマは、豆腐。そう、豆腐三昧です。

寺社仏閣とともに、各地の豆腐屋をめぐりました。そしてフィールドワークを一巡したいま、京都の豆腐屋もあらかた一巡しました。その数、37軒。まず、これだけの数の豆腐屋があることがおどろきです。

それでは、37軒、めぐった順に紹介しましょう。

大徳寺京豆腐 小川

大徳寺京豆腐 小川

スタンダードな豆腐もおいしいのですが、黒蜜をかけてデザートとして食べる吉野豆腐が絶品。いなりや白和えなど、お惣菜系もとてもおいしいです。

嵯峨豆腐 森嘉

嵯峨豆腐 森嘉

言わずと知れた名店です。個人的には、湯豆腐にしたとき、真価を発揮するように思います。ひろうずは、ここが一番じゃないかな。

加茂とうふ近喜

加茂とうふ近喜 木屋町店
加茂とうふ近喜 西木屋町店

ごく近くに二店舗あります。とにかくハイエンド豆腐を食べたければ、ここでまちがいありません。

千代とうふ

千代とうふ

読みは千代(ちしろ)です。超個性派で、クリーミー系の極北です。こんな濃密なのがあるのか、と豆腐の概念を変えてくれます。豆乳なんてシェイクみたいですよ。

平野とうふ

平野とうふ

まっとうでスタンダードな豆腐。こういうお店が繁華街近くにあるのがうれしい。

豆腐工房 うえ田

豆腐工房 うえ田 御所南店
豆腐工房 うえ田 直売所

本店(直売所)は大原野にありますが、御所南のお店も最近できたそうです。ここの豆腐はどれも絶品ですが、関連商品も充実。御所南店では、手あげバーガーが食べられまして、けっこうハマります。

てづくりとうふ すがい

てづくりとうふ すがい

高価格帯で勝負してます。「極」はさすがです。一度、二階で豆腐料理を食べてみたいなぁ。

久保とうふ店

行ったとき、雨がひどくて写真を撮っていないのですが、やわらかめのまっとうな豆腐でした。

入山とうふ店

入山とうふ店

これぞ老舗って感じです。案外、トッフル(豆腐のワッフル)が好きです。

並河商店

並河商店

こちらも老舗。どの商品もリーズナブルでおいしい。いわゆる「胡麻豆腐」ではない、胡麻を練り込んだ豆腐がまた絶品。

清水とうふ

清水とうふ

ワイルドな町の豆腐屋。固めで好みでした。リーズナブル。

一乗寺とうふ

一乗寺とうふ

新しいお店のようなのですが、おお、と感心するおいしさでした。豆乳は袋でけっこうな量でしたが、さすがでした。

京豆腐にがりや

京豆腐にがりや

大原野の郊外型(?)豆腐店。種類豊富な豆腐ドーナッツもイケます。

堤食品

堤食品

クリーミーでしっかりした固さで、好みでした。

まるまん内藤豆腐店

まるまん内藤豆腐店

ここのもきめ細かで好きです。

北野豆腐店

北野豆腐店

きちんとしている町の豆腐屋です。

中井豆腐店

中井豆腐店

卸メインかな、って感じでしたが、ちゃんと売ってくれました。スタンダード。

久在屋

久在屋

久在で「きゅうざ」と読みます。予備知識なしだったんですが、名うての高級豆腐なんですね。写真の和服のマダムがそれを物語っています。さすがにうまい! ハイエンド商品の青豆の地豆腐は絶品です。

京豆腐 服部

京豆腐 服部

こちらも有名店。4月から水曜定休になったそうで、折悪しく休みだったのですが、ちょうど居合わせたお店の方が、親切にも売ってくれました。いや、おいしい。めっちゃ好みです。

中辻とうふ店

中辻とうふ店

石清水八幡宮ちかくのお店。スタンダードな豆腐です。

豆徳屋

豆徳屋

割と新しそうなお店で、お若い方がやってましたが、おいしい! クリーミーで大豆の甘みがじわっときます。なんといいますか、志を感じました。

北浦豆腐店

北浦豆腐店

真面目に作っている町の豆腐屋です。スタンダード。

こだわりとうふ崎出屋

こだわりとうふ崎出屋

こういう若い感性の豆腐屋が新しくできるのが、京都のすごさですよね。ミルキーでとろける感じです。ヘルシーなドーナッツ「おからボール」もイケます。

とようけ屋 山本

とようけ屋 山本

老舗ですね。北野天満宮前のとようけ茶屋で、ここの豆腐を使った料理が食べられます。

恵美須屋

恵美須屋

醍醐にあるお店です。スタンダードです。

京豆腐 吉田商店

京豆腐 吉田商店

スタンダードな町の豆腐屋ですね。

東山とうふ 西初

東山とうふ 西初

入ると工房感満載でしたが、ほどよい固さでクリーミーで、しかもリーズナブル。やるなぁ。

いづもや

いづもや

出町枡形商店街にあります。リーズナブルでおいしい!

銭屋

京都三条会商店街にあります。写真撮り忘れました。ワイルドでした。

前田豆腐店

前田豆腐店

固めでくせがない感じです。

吉富とうふ

吉富とうふ

クリーミー系のあっさり、という感じです。

京とうふ 豆蔵

京とうふ 豆蔵

大豆の甘みを感じるクリーミー系で、好みでした。

荻野豆腐店

荻野豆腐店

豆腐もやってます、という感じの店でしたが、くせがなくて飽きがこなさそうです。

福井屋

福井屋

ほどよい固さで、すっきり甘い感じです。

洛北食品

洛北食品

ここも卸か、という感じでしたがワイルドに売ってくれました。極めてリーズナブルです。

嶌本豆腐店

嶌本豆腐店

すっきりとクリーミーのバランスのよい豆腐です。

あらいぶきっちん

あらいぶきっちん

乙訓の、新興(?)高級豆腐店です。青豆は高いだけあっておいしい。絹も濃密でよかった。

結論

いやあ、めぐっためぐった。まずいえるのは、どれもおいしいということ。さすがの京都クオリティーです。

そのうえで、散文的な結論になってしまうのですが、高いのはうまい(!)ということ。400円を超えるプレミアム豆腐は(一番高いのは、加茂とうふ近喜の青豆680円かな)、その価格をつけるだけあって、まず外れなし。加茂とうふ近喜久在屋うえ田すがい豆蔵あらいぶきっちん、などハイエンド商品をあつかっているお店では、ぜひ一度ご賞味あれ。

ともあれ、それは別カテゴリーのような気もしますので、300円前後の中価格帯、また200円前後のリーズナブルな価格帯のものを俎上に載せて検討するのが、日常的な食材としてはよろしいかと。

固さと密度などは完全に好みですから、優劣なんてつけられないのですが、個人的に、大豆の甘みを感じられるクリーミーさ、密度の濃さ、ほどよい固さ、を好みます。しかし各要素が相反することもありますので、結局バランスとしかいいようがないのですけど、マイ・フェイバリット豆腐を選ぶとすれば、豆腐工房 うえ田です。ここの「善峯」も「上田の絹こし」も、いくらでも食べられます(どちらか選べと言われたら、後者)。

また、一乗寺とうふ豆徳屋など、新興豆腐店のおいしさも見事です。老舗では、並河商店服部加茂とうふ近喜久在も毎日食べたいなぁ。

なお、基本的に全部お店を回ったのですが、デパ地下や高級スーパーなどでは、店によって品揃えは違いますが、久在服部森嘉うえ田、近喜などをあつかっています。さすがにバイヤーはおいしいのを選びますね。その意味で、店舗でしか買えないものは、ありがた味が増すかも知れません。

おっと、そういえば食べ方を書いておかなければなりませんね。基本的に、醤油も塩も薬味もなにもかけず、冷や奴としてそのままプレーンで食べております。また、買ったのも、白豆腐(あれば絹)で、木綿ではありません。ですので、湯豆腐にしたり、料理に使ったり、薬味を加えたりしたら、きっとまた評価は変わってくると思います。それも含めて、好みですね。

いろいろ勝手なことを書きましたが、ほんとうの結論は、どれを食べてもまちがいない、でしょうか。近所に豆腐屋があり、おいしい豆腐が食べられるのは、ほんとに幸せなことです。

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