豆腐三昧
4月からサバティカルで京都に滞在するのですが、その半年間を幸福なものにするため、公務のかたわら、抱えている原稿仕事を死ぬ気でやりまして、ようやく、ひとまず手放すことができました。まだ、やるべきことはいろいろありますが、まあ、一段落です。
そんな私がたのしみにしていたのが、毎食の豆腐です。
豆腐!
若いときはまったく興味がなく、そもそも好きでもきらいでもなかったので、あったら食べるけどわざわざ自分で買い求めない、というものでしたが、歳を重ねるにつれて、豆乳に納豆、そして豆腐、と要するに大豆食品が大好きになり、いまでは毎食欠かさず食べております。
冬は木綿を「蒸し豆腐」(味がぎゅっと詰まっておいしいんですよ)にしてたのしんでいたのですが、それでもだいたい、買うお気に入りの豆腐は決まってました。
しかし原田信男『豆腐の文化史』(岩波新書)を読んで、その豊穣な世界にあらためて目を開かされて、これは保守的に同じ豆腐を食べるばかりではなく、いろいろ試してみよう、と思い立ったわけです。
いやあ、そういう目で見てみると、近くのスーパーでもいろいろあるものですね。そしてデパ地下などを物色すると、さらにバラエティ豊か。
いままでは庶民的な価格帯でおいしいものを、と探していたのですが、その制限をとっぱらい、といっても豆腐ですから極端に高いわけでもなく、いまはあらゆる豆腐を試しているところです。
そうしてたどりついた佐賀の某メーカーの豆腐が、とにかくおいしくて、あらたな定番になりつつあります。充填豆腐っておいしいんですね。たぶん、できたてをすぐに食べられる環境だとまた別なんでしょうが、輸送を前提にすると、充填豆腐の方が風味を損なわないのかな。
しかし豆腐だけで幸せになれるんだから、安上がりでいいものです。
今後は旅先でもスーパーに寄って、ご当地豆腐を買い求めることになるかもしれません。
しかしそうなると、道ばたでパックを開けて「立ち食い」するんでしょうか。韓国だったら、刑務所から出てきた人と思われるかもしれません(出所したら豆腐を食べる風習があり、イ・チャンドンの映画「オアシス」でも描かれてます)。それも一興ですね。
なにより、京都といえば豆腐! これはたのしみです。
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