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少額(本人)訴訟をやってみた

※この内容はフィクションです※
以前ツイートした通り、外構工事業者へ少額訴訟(本人)を行いました。
結果は原告(私)の主張がほとんど認められての和解となりました。

中には裁判のご経験がある大家さんもいらっしゃると思いますが、
実際に踏み切る方は少ないかと思います。
少額訴訟未経験の方、今後、少額訴訟を検討されている方の参考になればなと思います。

               ~経緯~

①賃貸併用住宅建設の際に工務店の算出した外構工事費用が想定より高額だったため分離発注を決意
②怠慢をこいて2-3社への見積依頼を出して安易に一番安いところに発注
(工務店が120万円で被告である業者見積は70万円程度でした)
③契約時に前払い金の要求をされる。工期遅延が避けられないため契約。
 (入居付け開始しており、入居日も決まりかけていた)
④防草、砂利引きのみ施工し、その後の工事が何度も中断、
 下請けに代金が払われていない事が判明し、施主から下請けに何度か費用を立替する
⑤2度の工期遅延、遵守する姿勢も見当たらないため契約解除


⑥(境界標を飛ばしていますので境界損壊罪で)警察署に相談し刑事訴訟を相談するも故意犯でないので構成要件にならないと断られる。


ただ、被告に誠意ある対応をするように一応架電してくれました。
(その後、被告から1回不在着信があったのみで、折り返しは出ず)
※警察に相談した記録は相談措置票として後日請求することが出来ます。
 裁判の証拠として使用するため、県庁に足を運び請求しました。
https://www.police.pref.kanagawa.jp/mes/mesa0006.htm
こんなのがもらえます。

警察措置票


⑦直接被告宅に訪問するも不在、催告書を投函、その後も連絡がこない
こんな経緯を経て訴訟に至りました。ちなみに契約時、怪しいと思って動画を撮っておりました。※写真はイメージです※

被告隠し撮り


そんな怪しいと思うなら契約するなよwと思われるかもしれませんが
人間焦ったら冷静な判断が出来ないものです。

その後もこれヤバいかも?と思われる出来事(違和感)が少しあったので
工期中は証拠保全に努めました。最近、TLに違和感は必ず実現すると書いてありましたが、そんな気がします。

~どんな訴訟方法があるか~

今回選択出来るのは、民事訴訟です。民事訴訟の種類は主に3つです。

(1) 通常訴訟
(2) 手形小切手訴訟
(3) 少額訴訟

今回、請求としては60万円以下の金銭でしたので(3)少額訴訟を選択しました。少額訴訟は1日で結審しますので(何回も呼び出されることはない)、それがメリットです。デメリットとして、原告が少額訴訟で提訴しても被告が通常訴訟に移行する旨(送達時)意思表示すれば通常訴訟になってしまいます。

~少額訴訟の準備~

通常訴訟と準備するボリュームが違うか不明ですが、変わらない気がします。これが本当にストレス。証拠数が多ければ多いほど大変です。
また、初めての裁判なので、何もかも知らないことばかりです。
(そっちの学部出身ですが、遊んでたのでポケット六法も綺麗でしたw)
弁護士に頼んだり、司法書士に頼む方法もありますが、
訴訟額が低いのでコスト負けしちゃいます。

<次々に浮かんでくる疑問点>
・訴状の提出先はどこ?
・訴状のフォーマットってどこにあるの?
・訴状以外の提出物とそのフォーマットは?
・結局いくらかかるの?
・提訴してどの程度の期間でゴールを迎えるの?
・裁判当日どうやって進むの?被告こなかったら?
 被告にメンチきるの?裁判時、「裁判長!」とか言うの?

などなど疑問だらけです。

>・まず訴状の提出先はどこか?
ネットで調べると被告の居住先近くの裁判所に提訴することと出てきましたが(この被告が秦野なので小田原地裁になる)、裁判所に訴状等を一度作成して相談したところ、原告最寄りの裁判所でOKでした。裁判所職員の方々割と丁寧でした。

>・訴状のフォーマットってどこにあんの?
>・訴状以外に何ださなあかんの?そしてそのフォーマットは?
これ!と決められたフォーマットはないようです、ネットの裁判所ページにpdfはありましたが、excelはありません。根気強くネットを探せばエクセル等出てきますのでそれを元に加工しました。

提出した書類一覧ですが‥ざっと以下です
①訴状
②第一準備書面、第二準備書面→追加分
③証拠説明書、証拠説明書(2)→追加分
④各証拠文書が約20式(原本や写し)
(被告法人登記簿、見積、注文書、振込明細、境界写真、メール、電話記録、監視カメラ写真、内容証明郵便、警察の相談措置票、音声(DVD-R)と反訳書、請求額根拠、境界復元工事見積)
⑤補足説明資料→追加分

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証拠説明書

※追加分というのは訴状提出後に書記官(担当者)から今頂いている資料だけでは、立証や理解に不十分なので補足、追加してくださいと要求があったためです。
※訴状、準備書面、証拠説明書、反訳書は
 1行37文字・1頁26行・左余白30㎜・上余白35㎜です。と決まっていますのでそれを遵守して作成します。
https://www.nichibenren.or.jp/legal_advice/oyakudachi/format.html

上記の書類は2式必要になります(正本・副本)。あと裁判当日は原本の確認要求をされる場合があるようです。ちなみに私はありませんでした。
正本と副本は手元に残らないのでコピー入れると3式分必要です。

ちなみに反訳書っていうのも結構大変で音声の書き起こしなんですが、
5分程度の音声で6ページ分くらいになりました。
最近はGoogleの音声入力機能があるのでそれを使うとだいぶ短縮出来ます。

>・結局いくらかかるの?
実際に掛かった費用は、約1.4万円程度です。以下内訳、、

収入印紙代:私の場合5,000円。
訴訟の目的の金額(訴額)に応じた手数料を収入印紙で納付します。
~30万円なら3,000円、~40万円なら4,000円

予納郵券代:私の場合5,830円(後に1,000円ちょっと返納あり)
郵券(切手)は訴状の送達や判決の送付等に使用されるため、必要分を購入し裁判所へと提出しなければなりません。ただし、少額訴訟が終了した際にに郵券が使用されずにあまった分は、申立人へと返却されます。
管轄の裁判所により若干変わるので必ず確認が必要です。

・その他、文書通信費、交通費等 3,000円くらい
裁判所への訴状提出時における郵便費用やFAX(コンビニ等からでもOK)
訴状内容確認時、訴状(正本・副本)提出時、追加書面提出時
そもそもの大量の印刷(A4でいうと200枚くらいあったかも)

>・提訴してどの程度の期間でゴールを迎えるの?
約3か月は掛かります。追加や修正等が入ると4か月はみておいた方が良いです。少額訴訟で完結する場合(和解・判決)に限りますが当日で終わります。

>・裁判当日どうやって進むの?被告こなかったら?
原告、被告双方が出頭した場合、改めて少額訴訟で審理を進めて良いか?
原告に対して訴状内容の確認があります。そこから原告、被告(答弁書)の内容について確認されます。
私の裁判では、裁判長が中央に座り、横に司法委員(一応専門家らしい)、下段に書記官が座って原告、被告が中央スペースを隔てて座りました。

少額訴訟は30分~3時間程度で終わることが多いようです
(私の場合は2時間コースでした)

私の場合は、
①1時間強 双方の主張を行い、何となく妥協点が見えてきた際に、
 被告を退廷させる(被告は控室に移動)。
②裁判長、司法委員と原告で妥協点について話し合い。
③次に原告が退廷(原告は控室に移動)し、被告が入廷。話し合い。
④次に再度原告が入廷(被告は再度控室に移動)し、被告の希望条件を聞かされます。原告了承の場合、この条件で再度被告へ確認となります。
⑤改めて被告が入廷し、和解内容を確認、そこで結審となります。

後日、和解調書(4枚綴り)が送られてきます。

第1回口頭弁論調書(和解 少額訴訟)

詳しく内容が書いてあるサイトがありましたのでリンクを貼っておきます。
https://bengoshihoken-mikata.jp/archives/8809#st-toc-h-11

和解内容としては、
・解決金を分割して2回に分けて期日までに原告指定口座に振込むこと
・訴訟に係る費用は双方で負担すること
・支払遅延された場合は、期限の利益を喪失し年利3%の遅延損害金を払うことと記載されていました。

           ~争点、傾向と対策~

【争点】施工の実施割合
・争点は被告がどこまで施工を実施したか、それをどこまで認めるかになりました。被告が何も証拠を提出しなかったため、原告が提出して証拠に基づいて判断されました。提出されていない証拠は一切考慮されませんので、出来る限り証拠を保全し、提出出来るかが鍵です。

【傾向】和解勧告
・強く和解を勧められます。通常訴訟のしんどさ、さらなる負担について説明があり、和解した方が良いよと働きかけられます。youtubeにも少額訴訟についての動画がいくつもありますので事前に必ずチェックしておいた方が良いです。ちなみに和解を拒んだ場合は、裁判長と司法委員で判決を出すようです。双方の主張から原告優勢であれば判決して和解内容よりも有利な条件で判決を獲得出来る可能性があります。
私は最後の攻防が数千円だったので面倒になって条件を吞みました。 

【対策】出来るだけ多くの有力な証拠を提出しましょう
・上記に述べた通り、出来る限り証拠保全、提出して端的に主張を書きましょう。そして今回のように被告が無知な場合は、答弁書の内容も微妙で証拠すら用意してこないので、原告が提出した証拠のみで判断されました。
もう一度言います、「原告の提出した証拠資料に基づいて判断されます」
ここでは詳細は伏せますが、請求出来そうなものは片っ端から集めて、提出しましょう。(思いのまま書きたいけど書けませんw)

        ~少額(本人)訴訟に向いてる人~

・実際にやってみた所感としては、ロジカルに内容を説明出来る、書ける、
 これら条件を満たせば、ご自身でも出来るのではないかと思います。
・時間に余裕のある方であれば良いと思います。
 訴訟に向けては結構な時間が掛かります。
 もちろん経験や知識、事件の特性によって異なると思いますが、
 私が費やした時間はトータルで約100時間は掛かっていると思います。

弁護士に依頼する方法もありますが、結局は証拠は自分で用意しなければなりません。手数やストレスは軽減されると思いますが、報酬が訴訟の目的価額が超えるようであれば意味がありません。

~裁判所の対応~

・意外にも親切でした。相談の要点を予め調べておいたのが良かったかもしれません。(ご婦人が相談にこられていましたが、要点がまとまっておらず、職員からの質問を質問で返していて、職員が困惑していました)
・裁判所に依りますが書記官が裁判として対応出来る曜日が決まっていて、裁判の日はほぼ曜日指定でした。
・老舗の不動産業者さん同様にFAX文化ですw メールとかないのね…

~所感~

今回、私が訴訟を起こさなければ業者は、そのまま持ち逃げが確定して、のうのうと暮らしていたと思います(ちなみに私の前の現場も飛ばしているようで実態は、詐欺師に近いと思います)。彼らは言葉巧みに騙してきますので様々な注意が必要です(対策法は以下noteの序盤に書きました)。

~今後~

もし被告が支払に応じなかった場合は、強制執行の準備段階である財産開示手続きを行います。また手数料等掛かりますが、ここまできたら最後までやり切ります。そして続きはここに書きます…(本当はもう終わりたいけど)

皆さまは、私のように騙されないでください(屍を超えていってください)
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