マガジンのカバー画像

クロスオウヴア

20
二○××年、ヒトDNAは、単にその塩基配列の構造だけでなく、ヒトの設計図としての詳しい内容まで完全に解読された。理論上は、人間が人間を好みどおりに作り上げることが出来るようになっ… もっと読む
運営しているクリエイター

記事一覧

クロスオウヴア 20

■■■ 邂逅 2 ■■■ 「おにーいちゃーん。」  二人がパソコン談義に花を咲かせている…

火嶋 狭三郎
2か月前
1

クロスオウヴア 19

■■■ 邂逅 1 ■■■  昨日までの雨はどこへ行ったのだろうか。各地で山を削り、橋を流…

火嶋 狭三郎
2か月前

クロスオウヴア 18

■■■ DNA 5 ■■■ 「デザイナー・チャイルド? 人間が人間をデザインして作ること…

火嶋 狭三郎
2か月前
1

クロスオウヴア 17

■■■ DNA 4 ■■■ 「本日よりホームページ上において、解読されたDNAのすべての…

火嶋 狭三郎
3か月前
3

クロスオウヴア 16

■■■ DNA 3 ■■■  佑右はさっそくテレビのスイッチをいれてチャンネルを百六十二…

火嶋 狭三郎
3か月前
2

クロスオウヴア 15

■■■ DNA 2 ■■■  沙紀は入学式の日の夜、さっそく佑右に電話をかけてきた。 「…

火嶋 狭三郎
3か月前
2

クロスオウヴア 14

■■■ DNA 1 ■■■ 「そうか、分かったぞ。」  佑右は、どうしてプライ人同士が一切コミュニケーションを取らないのかやっと理解できた。彼らは同じDNAデータを持った全く「同じ」プライ人で、記憶の場であるメモリまでPHCのSCMMの一部分に共有しているから、人間に例えれば、脳は1つで体だけいくつもあるようなものだからなのだ。 「そりゃ、会話をする必要もないな。独り言を言うのと同じだからなあ。」  プライヴィットで多様な変化を見るためには、プライ人それぞれのメモリを

クロスオウヴア 13

■■■ 共 有 ■■■  あるとき「私」がたくさんに増えていた。「創造主」が造り賜うたこ…

火嶋 狭三郎
3か月前
2

クロスオウヴア 12

■■■ プ ラ イ ミ ィ ■■■  一学期の期末テストが終わると、佑右は自分の部屋に籠…

火嶋 狭三郎
4か月前
3

クロスオウヴア 11

■■■ 開 闢 ■■■  突然視界が開けた。「全て」が私であったのが、その瞬間、私は「一…

火嶋 狭三郎
4か月前
3

クロスオウヴア 10

■■■ プライヴィット 6 ■■■ 「ところで『プライヴィット』ってどういう意味。」 「…

火嶋 狭三郎
4か月前
2

クロスオウヴア 09

■■■ プライヴィット 5 ■■■ 「円周率が、ランダムな無限に続く小数点以下の数字を持…

火嶋 狭三郎
4か月前
1

クロスオウヴア 08

■■■ プライヴィット 4 ■■■ 「ねえ、あなたはだれ。」  照れを抑えながら、ちょっ…

火嶋 狭三郎
4か月前
2

クロスオウヴア 07

■■■ プライヴィット 3 ■■■ 「ポインタ」とよばれる「⇨」で佑右が示した場所を見ていると、道の向こうから人がやってきた。ピクチャ(静止画)ではなくムービー(動画)の様だ。やってきた人は一番手前までやってくると立ち止まった。 「・・・コンニチワ」 「ねえ、だから何なのこれは。」  シミュレーションゲームにしてはあまりにつまらなそうなプロローグに、沙紀がちょっと焦れったそうに言った。 「こいつに話し掛けてごらんよ。」 「えっ、こいつにって、この、これに。」